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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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さあ、どうする?



大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件がアメリカで発生していたものの――
日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。
それよりも、もっと重要なことがある。例えば、校舎の屋上でスケッチをすることだとか。
美術の課題のため、屋上にのぼった高校二年生の辻尾アカネ。そこで、
リーゼント頭の不良・国重嘉人や、願掛けのため言葉を封印した沢木淳之介、
自殺願望を持つ平原啓太と知り合う。
屋上への愛情が共通しているということから、国重の強引な提案で
“屋上部”を結成することになった四人。
屋上の平和を守るため、通行人を襲う罰神様騒動、陸上部のマドンナ・ストーカー事件、
殺し屋との遭遇などに巻き込まれることになる。
それらはすべて、ひとつの事件に繋がっていた!
『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。

***

この山下貴光という人はものすごい才能の持ち主だと思う。
トレース(パクリ)の。
絵で言うなら贋作を描く能力。

物語のモチーフや展開、
使う単語や文章表現、
台詞回しに句読点の打ち方、
まんま伊坂幸太郎。

これを賞に出して恥ずかしくはなかったんですか? と問いたい。
私なら遊び半分で出してしまったとしても受賞が決まったら即辞退する。
この人は伊坂氏の作品しか読んだことがないんだろうか?
伊坂幸太郎という作家の創り上げたテンプレートを元に執筆をして
自分で自分に疑問を抱くことはなかったんだろうか?
この人に己を作家と名乗る資格は断じてない。
伊坂氏の作品を読んで初めてミステリ作家を目指そうと思った私が許さない。

『捻る』
『~のようでもある』
『顎を突き出す』
「~だってば」
「~だっつうの」
伊坂氏がよく使う単語の、花火のような連発、連発(ほかにもいろいろ)。
中には真似を通り越して、伊坂作品に出てくるフレーズをそのままパクっている箇所も
あった。
挙げ句、伊坂氏の特徴である〝最後の一行を現在進行形で終わらせる〟まで一緒だったし。

この賞は応募作の文学的クオリティよりも〝売れるかどうか〟を頭に持ってくる傾向が
あるので、二番煎じでも売れればいいや、という結果の受賞なのだとおそらくは思う。
私はそういう出版社のスタンスも軽蔑する。

私も最初は個性の強い伊坂氏の文体に引きずられがちで
文章が似てしまうのを、時間をかけて必死で矯正したというのに。

山下貴光さん、そんなに伊坂氏が好きなら、
彼が雑誌のインタビューで言っていたひと言を送ります。

『僕はあまりほかの作家さんの作品は読まないですね。
だって人の書くものに影響されるのって悔しいじゃないですか』

大好きな作家さんの、作品より先にこの志を学べば?
もし伊坂氏を顔を合わすことがあって、堂々と胸を張って彼と挨拶ができますか?
ああ、あと金城一紀氏にも。彼の作風も多少取り入れているようなので。

おすすめしません。
この作品には一片も読む価値なし。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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