忍者ブログ
読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
[1369]  [1139]  [1333]  [1332]  [1372]  [1367]  [1329]  [1319]  [1334]  [1286]  [1325
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

夜の中へ。



失われた過去の記憶が浮かび上がるにつれ、
男はその断片的“事実”に戦慄する。
自分は本当に愛する妻子を殺した男なのか?
そしていま若い女との幸せな生活にしのび寄る新たな魔手。
記憶喪失の男を翻弄する怪事の背景は?
蟻地獄にも似た罠から男は逃げられるか?
希代の名探偵・御手洗潔の最初の事件。

***

再読。

御手洗潔は私が初めて恋をした探偵で、
それはフィクションの存在としてではなくもう本当に実在する相手に対するように恋に落ちていて、
彼の登場シーンでは「キター!!」と冗談抜きで心臓がどきどきするし
彼が優しさを垣間見せたりちょっとおちゃめ&まぬけだったりした日には
単なる天才だけじゃないその絶妙な人間性に「あー惚れ直したわ~」などと思ったりしたものだった。

本作は御手洗潔最初の事件にして、助手兼語り部である石岡くんとの馴れ初めを描いた
記念すべきストーリー。
正直トリックはヘタすればバカミスになってしまいそうな突拍子もないものだし
主人公の言動にも「いや普通そうはしないし考えないし」とつっこみたくなるところはたくさんあるけど、
私の行っている小説学校の先生の「島田荘司氏の著作は、『何じゃそりゃ!?』と
いうようなトリックでも『まあ島田さんだからな~』と許せてしまう」の言葉どおりに
不思議と許せてしまう。
面白い、が先に立って些細な瑕疵は気にならなくなってしまう。

特に、脳科学者になって以来そのひょうきんで破天荒なキャラクターをあまり見せなくなってしまった
御手洗潔の人間的魅力がたっぷり堪能出来る本作は、私にとっては宝物とも言える
非常に貴重な一冊。
「君、僕だって一人ぼっちだ」
の台詞には「だったら私が今すぐ行ってやるよ」とばかりにもんどりうちそうになった。

御手洗シリーズ、先日古本屋でようやくコンプリートしたつもりが〝摩天楼の怪人〟だけ
持ってないことに気付いたので、ネットで頼んだ。来るのが楽しみ。

非常におすすめです。


Chick Corea"The Romantic Warrior"。
PR
この記事へのコメント
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※チェックを入れると管理者へのみの表示となります。)
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
Copyright © 【イタクカシカムイ -言霊- 】 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
忍者ブログ [PR]