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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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この痛みと共生する。



ある日、彼女は秘密を打ちあけた。
「私は、0.0001%の運命を背負って、生きているの」
サヨナラを言えば、2人は幸せになれるかもしれない…それでも、僕の心はこう叫ぶ。
絶対に、彼女じゃなければ、ダメなんだ。
今すぐ大好きな人に会いに行きたくなる、極純のラブストーリー。
第二回新潮エンターテインメント新人賞受賞。

***

プロも応募できる賞の受賞者とはいえ、そこらのプロ作家よりずっと文章がうまい。
内容も、ある二人の恋人のやりとりを特に大げさなエピソードを交えることもなく
淡々と書き連ねているだけなのですが、著者に筆力があるので最後まで一気に読ませる。

ただ、こういった難病ものをテーマにした小説は仕方がないのかもしれませんが、
読み終えたあとは「ああ、やっぱり予想通りのところに落ち着いたか。。。」と
何の感慨も抱けなかったのが残念といえば残念。
特に私は、もし自分が遺伝性疾患を持っていた場合は、絶対に子供はつくらない
決めている人間なので、本作のラストにはいまいち共感しづらかった。

ただ、主人公の青年が、安易に「僕が支えるよ」「僕が一生一緒にいる」等と
ろくに現実を見ようともせずに自己陶酔だけで簡単に口にする男じゃなかったことには
すごく好感が持てた(悲しいことに実際には、そういう自己陶酔野郎のほうが多いし。
自分に酔って安請け合いして、いざ容赦ない現実を目の当たりにすると即逃げ出す。
これなら最初から逃げてくれたほうがまし)。

パートナーが窮地に立たされたとき、長く面倒を看てやるのは決まって女のほうで、
男は絶対的に少ないのはどうしてなのかな。
女は男を人間としても見るけど、男は女を女としてしか見ない人が多いからかな。
だから相手が女としての機能を果たせなくなったら離れていく。

この物語の主人公みたいな人が、男女問わずこの世に増えてくれれば
寂しさや孤独を感じる人間も減るのにな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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