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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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お願いだから死んでいて。



彼との部屋を出て新しい彼と付き合い始めた私。
彼が女と浮気をしていると知り自殺を考える僕。
彼と共に暮らすことになっても不安なままの私。
彼女が突然去ってしまった部屋で待ち続ける俺。
彼と結婚することになったが、絶望していく私。
夜燃え尽きて朝蘇り、再び夜に燃え尽きる日々。
救いなき道を歩み始めたそれぞれの世界の果て。

★収録作品★

 星へ落ちる
 僕のスープ
 サンドストーム
 左の夢
 虫

***

金原ひとみさんの本はいつもデザインが格好いいよなあ。。。

とかいうのはまあいいとして。
デビュー当時の荒々しさが、新刊が出る度毎に落ち着いてきているのは、
著者が年齢を重ねたためか、あえてそういう方向に作風をシフトしているのかは
定かではありませんが、割りと抑えた筆致で書かれた本作は
個人的には好きだし満足できた。

ただ、主人公が恋焦がれる相手に抱く感情の烈しさは相変わらずで、
「人は人をここまで想えるものだったっけ」とオバンみたいなことを考えてしまう自分が
ちょっと哀しくもある(著者と同世代なのに。。。)。

各話が繋がった物語ですが、私的には表題作〝星へ落ちる〟が
単品として見て最高傑作と思えた。
読み終えた瞬間ぞくりときた。純文学の良さを改めて思い知った次第。

彼女の作品では〝ハイドラ〟が一番好きなのですが、
〝星へ落ちる〟一編だけなら〝ハイドラ〟も超すな、私の中では。

おすすめです。
ちなみに作中に出てきた〝コックローチドリーム〟はこちら
著者、前作ではソリテアにハマってたのに今度はまたエラいマニアックなものに。。。
(ちなみに私は何も考えたくないときにはひたすらネットチェスに興じる。
キングを追い詰めてるとき無意識に浮かべてる薄ら笑いに気づくと
自分で自分が怖くなります=-=;)

それにしても本作のヒロイン、恋敵が死ぬことでその人物が
愛する〝彼〟の中で美化され、永遠の存在となってしまうことは
怖くはなかったのかな。そこだけが疑問。



ていうか余談だけど、正直くだらない携帯小説のブームに乗るみたいにして
蛇にピアス〟が映画化されたのにはかなりムカついた。
同列に扱うなよ。確かに内容の方向性は似てるけど、表現力や内包してるテーマが
全然違うっつーの。
皆さんどうか騙されないでください。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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