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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ここにいるよ……。



東京の静かな住宅街で立て続けに起こる、陰惨な一家連続殺人。
現場には裸に剥かれノコギリで体中を抉られた両親、
宗教家のような姿勢で喉を掻き切った少年の姿があった。
自らも家庭に修羅を抱える刑事・馬見原光毅と、第一発見者となった
美術教師・巣藤浚介の人生をも巻き込んで、事件は意外な展開を見せる…。
山本周五郎賞受賞の名作が、ファンの熱い期待に応え
一九九五年当時のオリジナルバージョンで登場。

***

500P超えの長編ですが、内容が面白いのであっという間に読んでしまった。
巷のレビューでさかんに言われている「殺人描写がグロすぎる」というのも、
個人的にはまったくそうは思わなかったし。

デビュー作から思っていたけど、この天童荒太という作家は
少年少女の繊細な心の描写が本当にうまい。
二十代の私ですら十代の学生だったころの感情を忘れかけているというのに、
どうして彼がここまで子供の気持ちをわかるのかと不思議になってしまう。

ミステリとして捉えると犯人は結構早い段階でわかってしまうので
あまり評価はできないけれど、本作の主体はあくまで〝家族〟なので
ミステリ部分はおまけのようなものだと思って読んだほうがいいです>>ミステリ好きの人

それにしても。。。これって14年も前の作品なのに、家庭内で起こっている問題が
今とまったく変わっていないというのがどうにもやるせない。
親の子殺し、子の親殺し、家庭内暴力、虐待etc.。。。そういった諸々は
最近になって顕著になってきたのかとてっきり思っていたけれど、
単に当時は自分が子供でニュースを観なかったから知らなかっただけで、
こういう〝病み(闇)〟は時代から時代へ連綿と受け継がれているんだな。。。

世代が違うとギャグや流行言葉が通じないように、価値観や言いたいことが
相手に通じなくなるから親子というものは理解しあい難い。言葉というものは難しいなあ。。。

ベタ極まりないけど、医者やカウンセラーに任せるよりも、まずは相手を抱きしめること。
これが何より互いを理解する方法だと私は常々思っている。
下手に言葉を連ねるよりも動物の真似が何よりの愛情表現。

最後にグチを少々。
浚介、女に見とれすぎ。そして一見精神的に成長したような風に見えるけど
よくよく考えたら無責任すぎ。なのでこのキャラクターはあまり好きになれなかった。
あと、ある二人のセックスシーン。舞城王太郎の〝阿修羅ガール〟を読んでいた私としては
「酔ってんじゃねえよバカどもが」という感じだった。
本作を読んだあとに読んでみるといいかも。

ラストが単純なホラーオチになっちゃったのはちょっと残念だけど、
なかなかの良作だと思います。
おすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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