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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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『その時』がくるまで。



『KAGEROU』――儚く不確かなもの。
廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、
絶望を抱えた男。そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。
命の十字路で二人は、ある契約を交わす。
肉体と魂を分かつものとは何か?
人を人たらしめているものは何か?
深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、
かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。
水嶋ヒロの処女作、哀切かつ峻烈な「命」の物語。

***

タイトルに絡んだ文章がまったく出てこないとか
内容が単純だとか
伏線が未回収だとか
比喩表現が稚拙だとか
多少(いやかなり)展開がご都合主義的だとか
美少女がうだつのあがらないオッサンに無根拠に優しいとか
突っ込みポイントは山とあるものの、それ以外は普通に読めた。普通に面白かった。
文章も割とうまい。どうして世間で(受賞までの経緯うんぬんは措いといて)ああも叩かれてるのか
わからなかった。
読む前は私も偏見で「あーこの人この一作で消えるんだろうな。。。」と思ってたけど、
才能にかなりのびしろがあると思うので書けば書くほどうまくなりそう。
実際ちょっと鼻につんとくる(つまり感動する)エピソードや表現があったりしたし。
今後もがんばってほしい。応援します。

それにしても、〝天才バカボン〟で、馬とバカボンの脳が入れ替わっちゃって
天才のはずのバカボンがアホになってしまった、という実話だか都市伝説だかわからない逸話を
この著者は知っていたのか訊きたい(ラストを読む限り知ってそうなんだけどなー)。

割とおすすめ。さらっと読めます(1.5時間で読破しました)。
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たぶん、ずっと昔から。



これは在りし日の名探偵と生まれいずる怪人の物語――。
「人形を見せてあげる」遥はそう言って、怪異が集まる島に秋津を誘った。
そこに住むのは、幼き彼女の姿をした人形と、男たち。
遥の失踪。消えた一日の記憶。破られた封印…。命の灯が一つ消えるたび、
一体の人形が動き出す。
孤島に秘められた悲愴な真実に秋津はたどりつけるのか。

***

無貌伝シリーズ第三弾。
今回は望ではなく、探偵・秋津が主人公。
若かりしころの(そしてまだ無貌にとり憑かれていないころの)秋津を見ることができます。
「へえー、昔こんなことがあったんだ~」とにやにやしながら読みましょう。
ただ、オチはちょっと切ないというか悲愴なので笑ってばかりもいられないのですが。

それにしても本シリーズ、巻を重ねるごとにミステリ→ゴシックファンタジーへと
シフトしていっている気がする。
第一弾ファンとしてはちょっと物足りない感じ。

でもおすすめです。
もちろんシリーズ前作を読んでから読むことをおすすめします。
(でも二作目は面白くないので一冊目だけでもいいと思うけど。。。)
今から行くからね。



永遠の愛をつかみたいと男は願った――。
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。
犯人の名前は、蒲生稔! 
くり返される凌辱の果ての惨殺。
冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、
とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

***

再読。

やっぱりよく練られてるなー。
著者の構成力に脱帽です。
ただ、初読のときは気付かなかったアラも若干見受けられたけど。
(でも小説なんて皆そんなものか)
犯人はもっと狂いっぷりを披露してくれても面白かった気がするけど、
やりすぎるとサスペンスじゃなくてスプラッタコメディになっちゃいそうだから
バランス的にはこれぐらいがちょうどいいのかも。

ちなみに本作、一度読み始めたら止まりません。。。
トイレと食事をきっちりと済ませてからお読みください。。。

かなりおすすめ。

答えはいつもそこにある。



栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。
ここでは常に医師が不足している。専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、
睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、
休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、
精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。
第十回小学館文庫小説賞受賞作。

***

最初の一行からかたっくるしくて「げっ」と思ったけど
その後そのかたっくるしさの理由を説明されるととたんに本作がコミカルなものに
様変わりする、それが面白い小説だった。
中身は淡々と進むけど、作中に出てくるさまざまなエピソードの一つひとつが
読み手をじんわりと温めてくれる、ホッカイロみたいな物語だった。
登場キャラに対する主人公のネーミングセンスも抜群で、すぐに人物を覚えられることにも
著者のセンスを感じる。
終盤の安曇さんの手紙には、純粋に泣かされて涙が出てしまった。もしかするとこれ
著者自身の体験談なんじゃないの?ってぐらい真に迫ってて。
全体的に高評価。
ただ、もうちょっと主人公の奥さんのハルを活躍させてもよかったんじゃないかとも思う。
(もし続編が出るようなことがあれば、是非登場頻度を多くしてほしい)

それにしても主人公(著者)、本当に夏目漱石好きなんだな。
なつかわそうすけ、なつめそうせき。
この著者の、漱石のオマージュ的なものじゃなくありのままの文章を読んでみたい。

おすすめです。
暗闇の中に落ちていく。



生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて、政府によって造られた一大遊廓があった。
捨て子の姉弟、白亜とスケキヨ。白亜は廓に売られ、スケキヨは薬売りとして暗躍している。
美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして避けあう。
ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が…。
第21回小説すばる新人賞受賞作。

***

新人とは思えない文章のうまさ(倒置法がごろごろ出てくるのはちょっと鼻についたけど)。

大切で大切で仕方ない人というのは誰にもきっと一人はいて、
けれど大切すぎるが故に誰よりも互いをわかっているのに怖くて近付けなかったりする、
そんな当たり前のことを抉り込むように改めて思い知らせてくれた作品だった。

タイトルにもなっている〝魚神(いおがみ)〟が
あまり本筋に関係なかったことだけが唯一の不満といえば不満かな。

ラストはとても好きです。

何となくファンタジーめいているけど本作の内容をひと言で言えば「男女間のいざこざ」なので
ある程度年齢がいっている人のほうが読んでいて面白いかも知れない。

おすすめです。
おまえの力を見せろ。



奇跡が起こったよ石岡君――。
「2番手の男」が投じた友情と惜別の一球が、御手洗も諦めかけた「事件」を打ち砕く!
心踊る感動の青春ミステリー。御手洗潔シリーズ長編。

***

再読。

御手洗シリーズと銘打ってはいるものの、御手洗冒頭の数十ページしか出てきません。
あとはある人物の御手洗へ宛てた手紙が延々と続く。それが自然と、冒頭で提示された
事件の謎解きに繋がっていく。
それでも二度も読んでしまうのは、その手紙の内容(その人物の生涯)が非常に瑞々しくて
興味深いから。何があってもあきらめない〝彼〟の姿にはひどく勇気付けられたし、
〝彼〟とその友人との絆パートもとても熱い気持ちで読ませてもらった。
私はまったく野球には興味はないけど、それでも一気に読めてしまう。内容が面白いから。
だから野球にあまり詳しくない人にも(野球好きな人にはもっと)おすすめです。

シンプルかつ壮大なトリック。
やっぱりそれが島田氏の味だよな~。
かつての僕が夢見た果ての先。



「よかったら、へんじください。へんじがこなかったらじさつします。」
しがないフリーウェアゲーム作家の「僕」がネットの中で出会った女、その名は「エレGY」。
講談社BOX新人賞・流水大賞優秀賞受賞作。

***

筆致は若干ラノベ調で軽いけど、文章はかなりうまい。
さくさく気分よく読めた。
というか泉氏の著作はこれが初めてなのですが、この人一本キレてる魅力的な人書くの
うまいなあ。。。
物語も非常に魅力的。単に読みやすいからというだけじゃなく、先が気になって一気に読破。
最後の一行を読んだときは、ニヤつきたいようなあったかいような何とも不思議な気分になった。

〝すばる文学賞〟〝メフィスト賞〟とか好きな人はけっこう気に入るかも知れない(系統が似てる)。
女の読者は冒頭で投げ出してしまいそうになるかも知れないけど^^;(ニコニコ汗マーク)、
ちょっと待ってもう少し読み進めてみてほしい。

非常におすすめです。
きっと今夜もやって来る。



半年前、凄惨な四重殺人の起きた九州の孤島に、大学ミステリ研究会の7人が訪れる。
島に建つ奇妙な建物「十角館」で彼らを待ち受けていた、恐るべき連続殺人の罠。
生きて残るのは誰か? 犯人は誰なのか? 
鮮烈なトリックとどんでん返しで推理ファンを唸らせた新鋭のデビュー作品。

***

まだ作家を志す前に一度読んだことのある本作。
知識や経験をそれなりに積んだ今読み返すと改めてすごい傑作だなと感じる。
あらゆるトリック・ロジックがあらかた出揃った現代ですら読んでいて唸らされるのに、
本作が出た23年前という時代にはどんな風に世の中に受け入れられたんだろう。
あーリアルタイムで読んでみたかった。

本格推理作家志望の身としては、綾辻氏が本作を弱冠27歳で書き上げたことに
どうしてもへこまされてしまう。。。

改めてがんばろう、と思わせてくれた一作でした。

おすすめ。
ただそう思う。
そう思ってしまうのだ。



溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。
警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。
捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?
クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。

***

つい最近テレビドラマでやっていたらしいのを見逃したので原作を読んでみた。
犯人はすぐわかるし起承転結の〝転〟がどうにも弱い(伏線があまり張られていないせい?)
気がするけど面白かった。
犯人二人がタッグを組んだ理由にも「なるほどなあ。。。」とちょっと切ない気持ちにさせられたし。
文章がちょっとダサいのも(ひと昔前のマンガっぽい)軽く引いたけど慣れてしまえば問題なし。
けっこうおすすめ。
ああ今改めてドラマ観てみたいなあ。。。惜しいことした*



余談:
本作の某キャラが病院の精神科に聞き込みにいく際
混み合った院内を見て「商売繁盛で何よりだ」みたいな発言をするところは本気でムカついた。
整形外科とかで言うならともかく。。。
ほかにも「この著者ちょっと性格悪い?」と思わされる描写が多々あって誉田氏の人格を疑うところ。
悪気はないんだろうと思うけどそれだけに性質が悪い。。。
祭の後片付けは終わらない。



そのテッペンで死体ハッケン、東京タワー立入禁止。
数に呪われた男。謎に愛される少女。
東京タワー、東京ビッグサイト、東京駅、東京スカイツリー。
東京中がミステリー空間に変貌する最新・最速エンターテインメント。

★収録作品★

 333のテッペン 
 444のイッペン
 555のコッペン
 666のワッペン

***

雑誌(今は文庫にもなっています)〝Story Seller〟に掲載されていたものをちょこちょこと
読むよりも、こうして一冊になったものを通しで読むほうがより主人公の内面がわかる。
探偵・赤井との関係の進捗や、主人公の性格の変化もわかりやすい。

独特の筆致で読者を煙に撒いてミステリ的解決(動機とかそういうこと)をぶん投げてしまっている
ところなんかはちょっとおいおいと思うし、韻を踏んだ文章が出てきまくることもちょっと鬱陶しいけど、
まあ楽しめました。
特に一話目と四話目のラストが好きだな。

おすすめです。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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