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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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いつでもつなぎ合うことができる。
結び合うことができる。



リサイクルショップ・カササギは、店員二人の小さな店だ。
店長の華沙々木は謎めいた事件に商売そっちのけで首をつっこむし、
副店長の日暮はガラクタを高く買い取らされてばかり。
でも、この店には、少しの秘密があるのだ――。
あなたが素直に笑えるよう、真実をつくりかえてみせよう。
再注目の俊英による忘れ得ぬ物語。

***

ミステリの賞でデビューした作家さんがどんどんミステリじゃない方向へ行ってしまうことの
多い昨今(伊坂幸太郎氏然り、佐藤友哉氏然り。。。)、
道尾氏のミステリ魂は未だ健在で本作は読んでいてとても嬉しかった。
直木賞受賞作〝月と蟹〟は全然ミステリじゃない上にあまりいいとも思えなかったのだけど、
本作はよかった。
まずはホームズ役とワトソン役の逆転が面白い。
本作においてホームズ役は大々的に推理を披露するのだけど、それがことごとく外れで、
一見冴えないワトソン役が、その後始末とばかりに密かに名推理を繰り広げるのだ。
ところどころに散りばめられた、笑いと作者の人柄が滲み出ているような暖かい描写もいい。
(ここ最近は文章がカチカチだったのが、初期のように砕けて久しぶりの著者の素を見た感じ。
道尾氏が楽しんで書いているのがこれでもかと伝わってきた)
デビュー作からずっと好きだったけど、本作を読んで改めて「好きだなあこのひと」と思った。

おすすめです。
第二話〝蜩の川〟が個人的には一番おすすめ。
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戦え。戦い続けろ。



遺棄された海底炭坑の島・端島。
独特の外観から「軍艦島」と呼ばれるこの島に、何のために来たのか、思い出せない。
まして、なぜ、ここで戦わされているのかは、見当もつかなかった――。
神の仕掛けか、悪魔の所業か。
地獄のバトルが今、始まる!

1997年日本ホラー小説大賞、
2005年日本推理作家協会賞長編賞、
2008年日本SF大賞、
2010年第1回山田風太郎賞 
各賞撃破! エンターテインメント界の鬼才が贈る最新長編!

***

本作は非常に読み手を選ぶ作品だと思うのですが、
私はハマれなかった。
貴志作品を数十回は再読してる私でも無理だった。。。
おそらくこの世界観は、女性より男性のほうがハマりやすいのではと思う。
男の人って根っから戦い好きだし。
これから本作を読むというひとは、将棋・囲碁・チェスのいずれかのルールを
事前に最低限知っておいたほうが吉。でないと途中で投げたくなると思う。

しかし。。。
将棋としか思えない人間同士の戦いも、またその合い間に挟まれる断章も
正直面白いとは言い難いし、
著者が難しい言葉や知りもしないマイナーな動物の名前をバンバン作中で連発するので
読んでいてストレス溜まるし、
オチはしょぼいし、
何だか、貴志氏は完全に自分の趣味で書いたんだろうな~、というのが伝わってくる作品だった。

ネットでは評判いいみたいですが、私はおすすめしません。
特に女性には。
かしでえんま……。



作家志望の赤井は上司の命で山深い秘湯へ出かける。
宿に着き、悪友との旧交を温めている最中、大きな地震が発生。その影響で
宿と外界を結ぶ唯一の経路だった吊り橋が落ちてしまう。助けを呼ぼうとするが、
携帯は圏外、電話線も切断されていた。
絶体絶命の窮地に陥った赤井たちに襲いかかる更なる悲劇とは。

***

久々にこんなレベルの低いミステリに出会った。

現実にあったことやほかの作品からの模倣でぎゅうぎゅう詰めの重箱状態。
伏線もミステリ初心者が考え付きそうなほどしょぼいし、
〝陸の孤島〟という鉄板のシチュエーションで人が一人ひとり殺されていくならまだしも
ただいなくなるだけという実に地味な物語展開。
読み終えたあとも何も残らない。
いや、総じて不快極まりない登場人物たちはある意味印象に残った。
それと失笑もののトリックも。
(犬はどこから連れてきたんだよ?)
蛇足な設定も。
(主人公の奥さんが子供嫌いなのは何でだよ? ていうか苦手なら
何途中から普通に面倒みてんだよ?)

デビュー作のほうがまだましだった。
おすすめしません。

ミステリ作家を志す者として、悪い意味で勉強にはなったけど。
それだけを私は信じたい。



失恋ばかりの、私の体。私は彼のことが、本当に、好きだった。
32歳。気づいたら、恋に落ちていた。軽い気持ちだった、知らなかった、奪えると思った。なのに、
彼と関係を持ってから、私は笑えなくなった。恋は終わる。でも、想いは輝く。極上の失恋小説。

***

読むのは初めて西加奈子作品。
句点の打ち方と単語の反復が独特で、その心地よいリズムに酔うことができた。

ただ内容はというと著者の言わんとすることがあまり伝わって来ず
(主人公と間島の恋愛の決着のつけ方が尻切れトンボな気がしたし、
主人公が彼との交流を通して何を手に入れたのかもわかりにくく、
ラストでも「何で主人公一人でこんなテンションあがってんの?」と不思議に思ってしまった)、
何だか心がもやもやしたまま読了。

可もなく不可もなく、といった印象。
決して駄作ではないので、おすすめもしないけど否定もしません。

人間の、普段は見落としがちだけど、よく眼を凝らすと見えてくる不完全で歪んだ部分、
それを描写していたところは興味深く面白く読めたけど。
久遠の孤独を。



時は幕末。
長州藩士・一之瀬周は、新撰組に追われて瀕死の重傷を負うが、
刺青師・宝生梅倖が掌に彫った「鬼込め」と呼ばれる呪いの刺青で命を救われる。
周は不老不死の運命を背負うこととなり、明治から昭和へと激動の時代を
刺青師・宝生閻魔として人目を憚るようにして生きていく。
傍らには常に、友人の遺児・奈津の姿があった。
その奈津を狙うのは、姉の仇で同じ鬼込めの技を持つもう一人の刺青師・夜叉。
少女だった奈津もやがて女として閻魔を意識しつつ、純愛を貫きながら
彼の年を追い越し老いていく……。

***

面白かったー!
久々に読み終えてしまうのが惜しい本に出会えた。
著者がラノベなんかの新人賞に投稿を繰り返していたひとのせいか
登場人物たちのキャラが見事にたっていてしかも誰もかも魅力的で
世の腐女子と呼ばれるひとたちの気持ちがわかったような気がした。
(絵とか漫画とか書けるなら書きたいもん、この話)

物語の壮大さ、きめ細かさも本作の魅力のひとつ。
日本史や時代小説が苦手な自分でも何の苦もなく読めた。
でもやっぱり何よりの醍醐味は作中を通して描かれる閻魔と奈津の恋物語。
本作にはalanの歌うテーマソングが設定されているのですが(下記参照)、
その歌詞がぴったり奈津の気持ちとマッチしていて泣ける泣ける。
これまで自分の中で最大のラブストーリーといえば
手塚治虫氏の〝火の鳥〟の〝宇宙編〟だと思ってきたけど
本作もその横に並びそうな勢いです。

あー、物語に恋してしまって読み終えた今だ心臓がどきどき言ってる。。。

非常に! おすすめです。



あーそれにしても。。。閻魔に惚れてしまいそうだ。
物語内の登場人物に惚れるのはこれで四度目。。。←やばい
かっこいーわ~。

enma.jpg






「あたりまえだろう。こんな楽しいこと、どうしてやめなきゃならん」



クインテットでの活動を休止にして海外に旅立つ唐島に、同行すると言いだした永見。
ニューヨーク、シカゴ、ニューオリンズでふたりが出合った、ジャズと不思議な出来事。
“日常の謎”的ジャズミステリーシリーズ、第三弾。
あこがれのミュージシャンが遺した楽器を手に入れた唐島を襲った災難、
ニューヨークで管楽器の盗難事件に巻きこまれた永見が見いだした真相、
シカゴで仲良くなった老人が行方不明になっていた伝説のジャズマンだったことに端を発した
騒動の顛末…、など全七編を収録。
田中啓文おすすめのジャズレコード、CD情報付。

★収録作品★

塞翁が馬
犬猿の仲
虎は死して皮を残す
獅子真鍮の虫
サギをカラスと
ザリガニで鯛を釣る
狐につままれる

***

〝永見緋太郎の事件簿〟シリーズ第三弾。

今回は何だかミステリ色が薄くてちょっと残念だった。。。
でも物語的にはなかなか楽しめた。
〝謎〟の要素が薄まったぶん、〝音楽〟が前に出てきている感じで。
アメリカに飛んでもなお健在な破天荒っぷりを見せてくれている永見の
冴え渡る推理を堪能したかった気もするけど、
たまにはこういうときがあってもいいんじゃないかと思う。
(最後の話だけはぶっとんだミステリもので痛快だったけど)

次回はミステリ路線でいってほしいな。
あとがきにも書いてあったけど、二ヵ月置きの連載で
内容をすべて謎解き話にするのには相当な苦労を要するみたいだけど。
そこをどうにかがんばって田中先生!←呼びかけ

おすすめです。
永見相変わらずかっこいい
世界はこんなに美しいのに。



急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。
創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、
隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、
そこで何を研究しようとしていたのか。
同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、
難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。
暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、
「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。
イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。

***

巷での評判はかなりいいみたいだけど私は楽しめなかった。
最後のページの参考文献の膨大さを見ればわかるけど、
本作はかなり綿密な取材を元に書かれていて、だからこその圧倒的リアリティに
身を委ね楽しむことができるかと思いきや、単なる「調べて書きましたよ」的な記述が
多すぎて、「物語」として楽しむことがまったくできなかった。
つまり知識が「物語」に昇華できていないような印象。

戦闘シーンや壮大な物語性を楽しみたいなら私は福井晴敏氏の著作のほうがよっぽどいい。

あまりおすすめしません。

戦争の残虐さ、過酷さが描かれていた部分だけは興味深く読めたけど。
それでいい。



32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。
重信:東京の建設会社に勤める。
奈加子:大阪のデザイン事務所に勤め、副業でライターの仕事をこなす。
偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。
肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年間、
ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく――。
頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。

★収録作品★

 ワーカーズ・ダイジェスト
 オノウエさんの不在

***

つまらなかった。。。

もともとテーマが〝仕事〟であることが多い津村作品、今回も例に漏れず
〝働くひとたち〟を主人公に据えて物語を展開しているのですが、
これまでは〝会社〟という組織で働いたことのない私でもそれなりに楽しめていたのに
本作はいただけなかった。
ひとの話を聞かない友人に面白くない内輪ネタを延々一方的に垂れ流されているような感じ、
どうでもいいホームビデオを長々と見せられているような感じ。。。
(ラストシーンだけはよかったけど)

OLをやってるひとなら共感できて楽しめるのかなあ。。。
(でも、以前何かで読んだ津村さんのエッセイとまるっきり同じ記述が作中に出てきたり、
やっぱり小説と言うよりはブログとかの独り言に近いんだよな、本作は。。。)

あまりおすすめできません。
津村記久子さんの著作はやっぱり〝ミュージック・ブレス・ユー!!〟が鉄壁。
夜が来るまで。



恋のおまじないに囚われた女子高生の物語『恋煩い』、
絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語『妖精の学校』、
孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語『嘘つき紳士』、
怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語『終の童話』、
七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語『私たちが星座を盗んだ理由』。
これぞミステリの醍醐味。全てはラストで覆る。

★収録作品★

 恋煩い
 妖精の学校
 嘘つき紳士
 終の童話
 私たちが星座を盗んだ理由

***

一見さわやかな青春&ファンタジー小説かと思いきや、
どっこいそれでは終わらないのがメフィスト賞出身作家のいいところ。
最終話を除けばどの話もラスト一行でぞくうっと(それもそれぞれ種類の違う戦慄)きたし
(〝妖精の学校〟はオチがわからない人もいるかと思うけど、ラスト一行をそのまま
ネット検索にかけてみればおおよその意味はわかるのではと思う)
〝私たちが星座を盗んだ理由〟は北山氏の理系トリックが地味ながらに弾けていて
これぞ北山小説!という感じ。ラストの切なさもいい。

非常におすすめ。
ああもっともっと北山作品を読みたい。。。もっとハイペースで本出してくれないかなあ。
止められない。



亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。
それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。
謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。
圧倒的な筆力に身も心も絡めとられてしまう究極の恋愛ミステリー!

***

ちょっと輪郭が淡すぎて入り込みにくい描写もところどころにあるけど、
全体に良質なミステリ。ラストはあっと思わされたし、どこか哀しみを含んだ締め方もいい。
何より、人間の特定の心理状態をたったひと言、〝ユリゴコロ〟と表現してしまうセンスも
独特で素晴らしい。
狂的でなおかつ深い絆を感じさせる男女の恋愛描写は、
同著者のデビュー作〝九月が永遠に続けば〟に相通じるものがあって
読んでいて非常に面白く満足させてもらった。

カタカナの使い方に相変わらずのダサさ(と言ったら失礼だけど)を感じるのは
いつも通りだけど、内容的には満足のいく一作だった。

おすすめ。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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