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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ひとり欠けたからって、世界は何も変わらない。



高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。
彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸に
ある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。
由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、
敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?

***

デビュー作〝告白〟がよくも悪くもうまく書け過ぎちゃったんだよな、この作家さんは。。。
ベテラン作家でさえあそこまでのものを生み出せるのは何十作かに一回、とかなのに。
だからどうしても比べると見劣りしてしまう。比べまいとしてもどうしても比べてしまう。

でも敢えて〝告白〟を意識せずに読んだとしても、あまりいい出来の作品とは
感じなかっただろうと思う。
まず文章の書き方。本作には主人公が二人いるのですが、それぞれの一人称が
〝わたし〟〝あたし〟と違うことに気づくまで、一体誰が喋ってるのかわからなくて混乱した。
全体的な構成もグラグラと安定を欠いていて読みづらかったし。
時事ネタ(政治とかじゃなく)を作中に持ってくるのも、流行に媚びているようで
もうそろそろいいんじゃない?と思ったし(ていうか数年後に読んだら『古っ!』と失笑して
しまうだろ、こんな小説ばかり書いてたら)。

物語の着想は最高に興味をそそるものなのに、今回は中身がそのテーマに
ついていけてなかった感じがした。
二人の少女が友情を復活させるのも、あまりに唐突で「え?」って感じだったし。
FF12のラストの「バルフレアっ!」を思い出してしまった(FF12知らない人すいません&
最近微妙にゲームでのたとえが多くてすいません)。

友人や恋人等のほどほどに近しい人間が死んだことをネタに
悲劇の人ぶって陶酔の涙を浮かべたりなんかしてるバカ野郎は大嫌いなので、
読後は結構スカっとしましたが。
まあでも、実際そんなに好きじゃないからその相手の死に酔えるわけで、
本当に大切な相手だったらそんな余裕とてもないけどな。
(私の知人が幼いころ、「危篤の祖父を見てみたい」と不謹慎ながらも病院へ赴き、
しかし実際に臨終の際の祖父を見たらひどく気分が悪くなって
廊下にへたり込んでしまったそうです)

ちなみに冒頭に出てくる映画〝マイ・フレンド・フォーエバー〟は普通に傑作です。
皆さん是非観てみましょう(実際にはエイズの子じゃなくて友人役の子が
死んじゃったけどね。。。)。

最後に、著者の湊さん、今どき過呼吸起こして頭からビニール袋かぶる人はいませんよ。
余計苦しいんで。正しい処置は紙袋を口にあてて深呼吸、です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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