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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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救いたい。
こんどは、なんとしてでも。




臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という
二十歳の青年を担当することになる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を
受け入れることができず、美帆に心を開こうとしなかった。
それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。
その根拠は、彼が持っている特殊な能力によるらしい。
美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、
調査をしてみようと決意する。
美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、
福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。
しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる。
『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。

***

二時間ドラマ、といった程度のミステリ。
犯人は相当早い段階で察しがつくし、登場人物たちの浅はかさも話の展開も
まんまテレビのサスペンスドラマ。
まあ、〝このミス大賞〟の大賞受賞作はだいたいいつもこんな感じだけど。
(東山彰良氏の〝逃亡作法〟と深町秋生氏の〝果てしなき渇き〟だけは
ちょっと毛色が違うけど。前者の作家さんは今でもファンです)

あまり深く考えずに読めば面白いのでしょうが、じっくり読むと
突っ込みポイントがあまりに多すぎて笑えるを通り越して最早疲れる。
著者の表現の稚拙さ、それに(これは校正の人と編集者に問題がありそうだけど)
誤字脱字のあまりの多さ。
あと何と言っても主人公の臨床心理士のあまりにひどいキャラ設定。
人の心を読み解くプロでありながら今どき素人でも知っている〝プロファイリング〟を知らないし、
第三者にクライアントの打ち明けた悩みをベラベラ喋ってしまうアホっぷり。
私なら絶対にこの人には診てもらいたくない。
少年の特殊能力もあまり作中で有効に使われてないし(必要だったのか、あれ? ていうか
「能力があるから、言葉がなくてもその声だけで失語症の彩の言いたいことがわかった」って
言ってたくせに「音楽は歌詞のないもののほうが好きだ。歌詞があるとそこから感情が
伝わってきてしまう」って。。。あんた言ってること矛盾してないか? 
結局言葉と声どっちで相手の感情読み取ってんだよ)。

そしてクライマックス。
主人公が犯人に叫んだ言葉には「確かにそうだ」と感動させられたけど、
何もフェラチオして犯人が絶頂に達した瞬間を狙って反撃しなくても、
噛み切るか握り潰すかすればいいだけじゃん。
まあそれじゃストーリーの流れ的に美しくないからそうしたんだろうけど。

タイトルセンスはすごくあるので(それに惹かれて手にとったぐらいだし)
この題名だけは忘れないだろうけど、中身はまったく印象に残らなかったので
早々に記憶から消える可能性高し。

テレビドラマが好きな人には楽しめるんじゃないでしょうか。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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