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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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離れていく曖昧な輪郭。

  

「いまどき、まっとうな青春小説」がミリオンセラーになってゆく夏、
結婚を控えた29歳の「僕」は、「青春の終焉記念」一泊合コンに出かける。
怪しげな新ビジネスを立ち上げる奴の行く末、昔の友人の転落と自殺。
「こういうのがお望みなんだろ?」とシニカルにうそぶくほろ苦い日々を描くデビュー作。

★収録作品★

 さりぎわの歩き方
 長い名前

***

読みやすいのに単語の選びかた一つ一つが新鮮で
ほんの些細な日常の物語もひどく印象深いものとして読み手に刻み付けてくる、
そんな確かな力を持った作家さんだと思う。

私は個人的には、読み終えたあとに自分でもどう表現したらいいかわからない感情が
こみ上げてくるものが本物の小説だと思っているのですが(「面白かった」「悲しかった」
「切なかった」等とひと言で表せないもの)、本作の表題作が久々に〝それ〟だった。
苦笑いしながらも心のどこかがやるせないような。
腹も立つけどこの世の無常さに脱力して泣きたくなるような。
とにかく読後、脳の奥がぞっと痺れた感じになるような物語だった。
最近の〝文學界新人賞〟の受賞作の中では一番肌に合っていて好きだ。

〝長い名前〟は、主人公の恋人への接し方、愛し方が
とても温かく、拙いながらも人間味に溢れているので、ヒロインが羨ましくなってしまった。
終わり方もすごく好き。
こちらの言葉を「要するに~ってことだろ」みたく勝手に省略したり決め付けたりせず、
その全部を〝長い名前〟として心の中に持っていてくれる、
恋人・友人問わず、そういう人に私も会いたい。

いい作家さんに出会えた。
今後中山氏の作品はしっかりチェックしなきゃな。



おまけ:
〝パップラドンカルメ〟。初めて知った笑
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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