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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。



天涯孤独な少年・勇介は、急逝した大伯父・如月教授が遺してくれた博物館で
秘密裏に行われているあるプロジェクトの存在を知る。
それは――脳死患者と時間旅行を研究する極秘実験。
過去を彷徨う魂を救うため、勇介は学芸員・枇杷とともに、過酷な時の旅へと出発する!
注目の著者が放つ新感覚タイムトラベル・ミステリ。

***

退出ゲーム〟が面白かっただけに(そして巷でもこれのお陰で著者の名が知れてきただけに)
その次に出版されたのが本作であることに若干もったいなさを覚える。
こういうファンタジー&シリアス路線じゃなく、コメディ路線のミステリのほうが
この作家さんには向いてると思うんだけどなあ。。。
いや、でも氏のデビュー作〝水の時計〟は前者路線なのに面白かったから、
やっぱり本作の出来が微妙なんだろうか。

まず主人公二人のキャラの創り込みが曖昧。
それぞれのどういう面を強調したいのか、著者が絞りきれていない感じで(特に男の子のほう)、
結局彼らがどういう性格なのかいまいち掴みきれなかった。
そして物語の趣旨が〝一人の少女を救う〟なのに、二人が他人まで救おうとするものだから
読んでいて視点がブレてしまい「この二人は結局何がしたいんだ?」という感覚が終始抜けず。
長編なのにトリックは地味だし(いや、個人的には本作のトリックは好きなのですが、
ストーリーかトリックのどちらかに華がないとやっぱり長編ミステリは読んでいてキツい。
ていうかヒロインが仕掛けたトリックがどういうことなのか読み終えた未だ曖昧なまま。
何? 〝言葉の誘導〟って。
というか「過去をいじっちゃいけない」とかさんざん言ってる割りには
現代ならではの智慧をこれでもかと披露してるよなー主人公二人は)。
〝ずっと手を繋いでないといけない〟っていう設定は〝ICO〟や〝ダブルアーツ〟を
髣髴とさせて新鮮味ないし(〝ICO〟のキャッチコピーなんてまんま本作に当てはまるし。なので
この記事の最上段のコピーにも本作の文章じゃなくそっちを使わせてもらいました。
ね、まんまでしょ?)。

駄作ではないんだけど読んでしばらくしたら忘れてしまう、そんな感じの物語だった。
でも初野氏は好きな作家なので次に期待。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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