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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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彼らは時に怪物になる。



片田舎の小学校に、東京から美しい転校生・エリカがやってきた。
エリカは、クラスの“女王"として君臨していたマキの座を脅かすようになり、
クラスメイトたちを巻き込んで、教室内で激しい権力闘争を引き起こす。
スクール・カーストのパワーバランスは崩れ、物語は背筋も凍る、驚愕の展開に――。
伏線が張り巡らされた、少女たちの残酷で切実な学園ミステリー。

***

小学生の塾講師をやっている身として、
「今後子供と接するのが怖くなったらどうしょう。。。」と
ある意味期待して読んでいたのですが。。。
第二部に入った瞬間、
「あ、オチ読めた」。
帯付きのものを買ったのもまずかった。帯に書いてること、
ミステリ読みからしたらネタバレ必至だよ。
文章は非常にうまくてサクサク読めたけど、真相を知っても
驚きはまったくなく。「ああ、この手のミステリね。。。」といった感想しか
浮かばなかった。
著者(女性ふたりのコンビだそうです)もそれを見越して
あらゆるトリックを作中に仕掛けていて、さすがにそれを全部看破するのは
無理だったけど、トリックがてんこ盛りすぎてもうごちそうさま状態。
決して駄作ではないのですが、読むならミステリ初心者だけにしておいたほうが
いいかも。
本作を読むなら、
消失グラデーション/長沢樹
アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎
GOTH/乙一
を読んだほうがよっぽど楽しめます。

以下ネタバレ書評

オッサンは軽蔑していた小四当時の担任教師の真似をなんでしてるの?
ですます口調とかエンマ帳とか。反面教師にならないか普通?
あと警察をナメすぎ。沼なんかどんな偽装工作をしようが真っ先に探すだろ。
子供たち一人ひとりに事情聴取も細かくするだろうし、誰かしらがボロを
出すはず。
あと第一部と第二部でマキの性格が変わりすぎていて別人だとすぐにわかる。
テツがいないのも不自然だった。引っ越したっていうミスリードを狙っていた
みたいだけど、それなら第一部で伏線を張っておくべき。
このミス大賞受賞作で好きなものは今までないけど、
本作もなんだかなあ。。。という感じだった。
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二つに裂けた娘の、長い旅が始まる。



帯留めを探して欲しい――。
売れない小説家だった祖父が遺した手紙に従い、仕事を辞めてひきこもっていた私は、
遠野を訪れる。この地の旧家で起こった80年前の不可解な殺人事件。
それは祖父の怪奇小説『サナキの森』に描かれていた「呪いによる殺人」に酷似していた…。
これは偶然の一致か?
祖父は何を知っていたのか?
時空を超えた謎解きが始まる。
平成生まれの25歳が放つ、新感覚ホラーミステリー。第1回新潮ミステリー大賞受賞作。

***

小説としてはよくまとまっていると思う。
伏線回収もしっかりとしているし、本格ミステリにほんのり恋愛要素が
入っているところも読後感をよくしている。
キャラクター造形もうまい。
ただ、作品の向こう側に作者の姿が透けて見えてしまうというか、
著者の「私はこういう人間ですよ」というのが随所に散見されるのが
少々鬱陶しかった。著者のオタクっぽさが垣間見えてしまうというか。
「サナキ」という怪異を物語の中心に据えているシリアスな話なのに、
全体にラノベっぽい文章なのも気になった。
本作がデビュー作で、25歳の新人が書いたということで点が甘かったのかも
知れないけれど、
伊坂幸太郎氏、貴志祐介氏、道尾秀介氏という名だたる選考委員が選んだのが
これかと思うと彼らの読書センスを若干疑わざるを得ない。
肝心のトリックも短編で使われるような小鉢もんの大したことないものだし。
決して駄作とは言いませんが、まあこんなものかという印象でした。
あと何でか知らないけど、現在パートの字体がいつもの新潮社のものと違って
最初ちょっと読みにくかったよ。過去パートに関しては、雰囲気を出すために
敢えてそうしたんだろうけど読みにくい漢字にルビ振ってほしかったよ。
崩壊の予感がする。



妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。連続レイプ犯。
水曜の夜ごと川辺は暗い衝動に突き動かされる。
救急救命医と浮気する妻に対する嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時――。

***

読むんじゃなかった。。。
何この駄作。
主人公の、医者でそこそこ頭もいいだろうに杜撰極まりない犯行の仕方、
一見深く掘り下げられていそうで結局ほとんど意味のない登場人物たちのキャラ造形、
二時間ドラマも呆れるほど薄っぺらい。
直木賞作家でもこんな駄目小説書くんだな。
あと文章が全体におばさんくさいというかセンスがない。
主人公が洒落者のように描かれているけど、書かれているファッション
普通にダサいだろ。
久々最後まで本を読みきってみようと思ったらこれだ。
今信頼出来る作家さんの小説を読んで口直ししているところです。

まったくおすすめしません。
ああ、でも、もう間に合わない。



高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。
娘は、なぜ死んだのか。自分を責める日々を送っていた安藤の前に、
加奈のクラスメートだった少女が現れる。彼女の協力で娘の悩みを知ったとき、
待っていた現実とは――。
大切な人の命を奪われたとき、あなたはどんな償いを求めますか。
第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作。

***

お久しぶりの更新。
最近眼が越え過ぎて新しい本を読み始めても展開が読めて
最後まで読了できずにいて、小説というものに幻滅すら感じていたのですが。。。

本作は久々のヒットだった。

どんどん読み進められる魅力的で読みやすい文章、
先が気になってページを繰る手を止められないリーダビリティある内容、
細かく書かれた登場人物の心理描写。
ちょっと先がわかってしまうところもあったけれど、それでも
本作の持つ魅力に取りつかれて一気に読みきってしまった。
終わり方も「ああ、あの台詞はここに至るための伏線だったのか」
と唸らされるし切ない。

芦沢さんの著作を読むのはこれで二作目ですが、
残る一作も早速図書館で予約しました。
本があまり好きでない母親に勧めたらガンガン読み進めていて
面白い面白いと喜んでいます。

かなりおすすめ。
小説の面白さを久々に思い出させてくれた本作に感謝します。
芦沢さん、ありがとう。


田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。
彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。
周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。
思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、
整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。
そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、
狂おしいまでの情念だった――。

***

タイトル負け。
モンスターと呼ばれるほど主人公がモンスターじみた行動を
していない。
まあこれだけ整形すれば整形モンスターではあるけれど。
中盤は、
整形→風俗の仕事→整形→風俗の仕事
と淡々と進むので中だるみ。
でも、醜いが故にたったひとりの男性に何十年も固執してしまうのは
何となくわかるような気がした。
子供は二歳ぐらいから人間の顔の美醜がわかるというから、
醜かった主人公を守ってくれた幼稚園児のナイトをずっとずっと
忘れられないことは十分に理解出来る。
普通なら自分が美しくなったことで振り向かれても
どこか虚しいだけだと思うけれど、あまりの醜さに辛酸を舐めてきた
主人公にとってみれば美こそが最大の価値観であり、
それを認めてくれた長年の想い人に幻滅することはなかったんだろうな。
もうちょっとドラマチックな展開を期待していたけれど、
まあこれはこれでよかったんじゃないかと。

百田氏の著作はあらすじが面白そうな上に文章が魅力的なので
つい手に取ってしまうけれど、いつも思ったより薄っぺらいのが難点。
でもそこそこ楽しめました。

両思いの絶頂期にある男の言葉は信用してはいけないことも
本作で学んだ。
燃えるようなものじゃなくていいから静かな愛情をずっと注いでくれる
相手と出会いたいものだなと思わせられる一作です。
それでも、たしかにそこにある。



ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。
今夜も、いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごすだけの毎日を、
楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。
恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女が
店に迷い込んできた。
ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる彼らだが――。
陽気な物語に隠された、優しい嘘。驚きと感動のラストが心ふるわす――。

***
 
道尾さんが久々帰ってきた!
と思えた一作。

物語運びはありがちですが、扱っているテーマが秀逸。
道尾さんならではの人間ドラマに、心が震える思いがした。
作中に出てくる、登場人物たちが集まる店「if」の店名も、
オチがわかってから考えてみるとひどく暗示的。

久しぶりに「救われる物語」というものに出会った気がする。
私も最近ひどくつらいことがあったけれど、心の中に、
過ごす世界の端々に、「透明なカメレオン」を飼って今をしのいで
来るべき新しい未来に備えようと思えた。

非常におすすめです。


クリスマスにもたらされるささやかな奇跡の連鎖――。
有川浩が贈るハートフル・クリスマス。

***

文章の軽快さ、独特さは相変わらずでうまい。
でも内容がよくある話だった。
人間一人ひとりのキャラがよく書き込まれているところはよかったけど。
360Pとけっこう長いのに、一気に読ませる力もある。
この作家は「物語」を大事にしているんだなあということが
著作からも伝わってくる。
本当に書くこと、読むことが好きなんだろうな。

傑作とまではいかないけれどなかなか好感の持てる作品だった。
生きろ。



高校2年の優香は乗り込んだ飛行機で、謎のガスにより
乗客が大量死する事件に巻き込まれる。
生き残ったのはわずか5人。
地獄と化した機内に現れた4人の美青年たちは「NJ」という研究のデータを奪うため、
秘密に触れた優香たちをも葬り去ろうとする。
4人と対峙するうち、生きることに無気力だった優香は変わり始めるが――。
閉ざされた飛行機で、凍えるアラスカの地で、少女は“生”を見つめ直す。
名もなき花が導く、美しきサバイバル・ロマン。

***

タイトルからするとラブストーリーとでも思いがちですが、
内容は少しラノベがかったサスペンス&ヒューマンドラマ。
主人公の乗る飛行機をハイジャックする四人の外見描写が
お耽美すぎるきらいはありますが(しかもそれがくどい)、
一つひとつのエピソードが面白く一気に読むことができた。
突っ込みポイントはたくさんあるものの話の整合性は取れているし。

ハイジャック犯の一人であるゼタが何故に仲間の双子を
溺愛するのかという理由が「美しいものが好きだから」というのは
ちょっと薄っぺらい気もしたけど。
もっと深い理由が欲しかった。

乾ルカさんの小説は私の中では「夏光」を超すものは未だないけど、
乾作品で久々に楽しませてもらいました。

主人公だって、ハイジャック犯たちに「生きてても意味はない。
歴史に君の名前は残っていない」と言われまくっているけれど、
もしかしたら結婚して名字が変わってその名前で活躍してるかも
知れないしね。
これだけ根性のある子ならそれが大きなものじゃなくても
将来的に何かを成し遂げているはず。

まあおすすめです。
助けたい。



その若者には、見たくないものが視えた。他人の「死」が。「運命」が――。
本屋大賞受賞後初の長編小説、遂に刊行!
幼い頃に両親と妹を亡くした木山慎一郎には、友人も恋人もいない。
一日中働き夜寝るだけの日々。夢も自信も持てない孤独な人生だった。
その日までは――。
ミリオンセラーを連発する著者が、満を持して選んだテーマは
「愛」と「死」と「選択」を巡る、人間の「運命」の物語。
大切な人の「死」が見えたとき、あなたなら、どうしますか?

***

文章はシンプルでうまくリーダビリティもあるのでぐいぐい読める。
ただ、作品としては駄作。
同じようなことで悶々とする主人公。素朴で純情で好感は持てるのだけど、
その喜びを同じように喜んだり悲しみを共有したりするほどの
キャラクター性がない。
オチも簡単に読めてしまう。
クライマックスも、結局付き合っている女性と幸せになりたかったのか
死んだ妹のような子供を出したくなかったのかどっちつかずでぼんやりした印象。
付き合っている女性に至っては、男が考える理想の女性のステロタイプ
丸出しで「こんな女いねーよ」と心中で突っ込んでしまった。
妙に性に対して狡猾で積極的なのもリアリティがなかったし。
「あなたの寝室が見たーい」なんて下世話な女だなと思った。

以下ネタバレ含む

葵が本当に主人公を愛しているのなら、
列車事故は彼女が止めればよかったのでは?
これまで大して他人を救っていないようだし、一回ぐらい他人の死を
止めたぐらいで死にはしなかっただろ。
主人公も葵と付き合ってほんのちょっとだし、お互いがお互いを思う気持ちが
ほとんど伝わってこなかった。
しかも付き合って二日目に70万の指輪をプレゼントしようとするなんて。。。
モテない男丸出しでちょっと引く。まあそういうキャラ設定なんだけど。
主人公の同僚の金田も都合よくいいひとになりすぎ。

しかも疑問なのだけど、金田だけを救おうとした場合と
列車事故で死ぬ大勢の人間を助けようとした場合で
主人公の身体にくる負担はどれぐらい違ったんだろう。
前者だったら主人公死ななかったかもな。

百田尚樹は「永遠の0」以外面白くないけど、
あれもフィクションとは言い難いしなー。
100%虚構の世界を描かせたら百田氏はこんなものか。

それにしても、見るからに健康そうと描写されている葵は
ひとの死を救ったことが一度もないんだろうか。
だったらやっぱり列車事故は彼女が止めるべきだったな。
それだったらハッピーエンドになったのに。

あまりおすすめしません。
たまに退廃もいいだろう。



謎のカルト教団と革命の予感。
自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。
絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、
この国を根幹から揺さぶり始める。
神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。
著者最長にして圧倒的最高傑作。

***

自己啓発書かと思った。
中村氏は作中の登場人物に「人生とは物語である」と語らせているけれど、
本作自体が物語に感じなかった。
著者の主張が前面に押し出され過ぎていて。

この著者の最大の魅力は「孤独」を描けることだったのに、
本作からはそれが微塵も伝わってこない。
登場人物はセックスしているか薀蓄を垂れ流しているだけで
誰にも感情移入出来ない。
苦しいほど主人公の痛みや苦しみが伝わってくる初期のセンスは
どこにいったんだろう。

しかも結局言いたかったらしきことは
「つらいことも多いけど人生は素晴らしいんだ! 今を楽しもう!」
。。。。。。。。。
こんな薄っぺらいテーマ、敬愛する作家であるこのひとに書いて欲しくなかった。
氏は孤独じゃなくなってしまったんだろうか。だからこんな人生礼賛主義みたいな
ことを書くようになってしまったんだろうか。
「セックスとは素晴らしい!」という作中の某人物の台詞には
失笑を通り越して脱力。

中村氏の全作品を読んできたけれど、今までで最大の駄作。
海外で評価されるようになってから作風が変わってきたなとは思ったけど
ここまで変貌されると幻滅に近い感情を抱いてしまう。

残念でした。
もう巨大な悪が出てきて主人公と対峙して云々とかはいいから
ひとりの人物の心理をとことんまで掘り下げて読み手をぞっとさせてくる
これまでのような物語を読みたい。

中村先生、帰ってきてください。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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