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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
「普通の人たちって、何事もないんだね」



こんなに叫んでも、
私たちの声は届かないの?

幸せな日常を断ち切られた女子高生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも、
三人の少女はしなやかに酷薄な大人たちの世界を踏み越えていく。

最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を
物語に結実させた著者の新たな代表作。

***

まず、主人公三人の言葉遣いが古い。
仕事上十代の子を教えている身としては、違和感が拭えなかった。
「~じゃんか」とか今どきの子は言いません。
「超」のことを「チョー」と書くのも、荻原浩氏もそうだったけど
年輩の作家さんが無理に若者言葉を使っているのが丸わかりな印象。
昭和のスケバンかと思うような言い回しが随所に見受けられたし。

そして、けっこう散々な目に遭っている少女たち、
その痛みがまったく伝わってこない。
つらいことがあったときの表現が「泣く」ことだけなので、
表現の乏しさを感じた。
レイプされた真由にしても、そうされた苦しみが描写不足。
男が怖くて仕方なくなるだろうに、JKビジネスに手を出そうとしたり、
男の家に転がり込んだり、また別の男にフラフラついていったり。
あんた本当にレイプされたトラウマ抱えてるの?という感じだった。

主人公たちの行動パターンも、フラフラと悪い男に付いていく→
後悔して逃げる、の繰り返しなので、ただの馬鹿にしか感じなかった。
そうせざるを得ない切迫した感じも伝わってこないし。

何より真由の性格が掴めない。
育ちの割といい女の子、という設定なのに、品行方正なキャラかと思えば
いきなり馬鹿なギャルみたいな乱暴な言葉遣いしたりと、最後までキャラが掴めなかった。
もうひとりの主人公・リオナのキャラ設定はしっかりしていたけれど、
繰り返すけど本当に真由のキャラがわからない。
三人組のひとりが痛い目に遭っても、「えーうそーかわいそー」みたいなノリで
アホの子みたいだったし。
ミトが妊娠して流産しても主人公三人たちのノリがアッサリし過ぎていて、
妊娠するってことをナメてんのか?と腹が立った。
ミトのラストも、「やっぱ懲りねえなこいつ」と鼻白んだ。というか
安い漫画のご都合主義みたいな展開で白けた。
三人が転がり込んだ金持ち大学生の家に何で都合よく金属バットが
あったのかも謎だし。セキュリティ完備のマンションに、たとえ防犯目的でも
そんなものあったらおかしいだろうに。

年齢を感じさせない作品を書く作家さんもいることは確かだけど、
桐野氏が齢67にして女子高生を描くことは失敗だったと言わざるを得ない。
これは十代の子供を知る人間が読んだらリアリティのなさに
呆気にとられるのでは。

桐野さんは好きな作家さんだけど、本作は私の中では駄作。
無理に若者を書くのはやめて年相応のものを書けばいいんじゃないかと思う。

おすすめしません。
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お願いだから静かに逝かせて――。



田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、
彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら
彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、
そしてあまりにも哀しい真実。
幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…
筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
日本推理作家協会賞受賞。

***

あっという間に読み終えた。
ページを繰る手が止まらなかった。
そういう本に出会えたのは本当に久しぶり。
そして読後一日が経過した今でも、胸が痛い。
大袈裟でなく苦しさが治まらない。

ひとは絶望したときに死にたいと思うものだけど、
絶望を伴う希死念慮ではなく、「死」というものを
唯一の希望と捉えるヒロインの姿が苦しくて仕方なかった。

人間はたったひとりにでも必要とされれば生きていける。
でもそういう存在がいても、彼女は駄目だった。
自分を必要としてくれる相手との、哀しい「その先」を見てしまった。
ここまで混じりっけのない、純粋な「絶望」を見たのは初めてだった。

実際に本人に会ったわけでも、話をしてその人となりを知ったわけでもないのに、
与えられた情報だけで相手の人間性を断じてしまう人間の浅はかさにも
哀しみを覚えた。自分にも少なからずそういう部分があるので、
陳腐な言い方だけど本作を読んで反省した。
相手をろくに知らずに糾弾したり「このひとはこういうひとだ」と
決めつけて憤ったり馬鹿にしたりする、そんな自分を恥じた。

年上の知人が、あるとき「人間の愛情というものは必ず冷める」と
言っていて、確かにそのとおりだと思ったものですが、
本作の「幸乃」を必要としてきた人間たちも、結局は彼女を忘れ、
それぞれの人生を生きている。幸乃に感情移入してしまうから
それを薄情だと思ってしまったけれど、人間なんて結局はそういうものだ。
でも、それでもそんな彼らに幻滅を感じずにはいられない。
人間の薄情さを、一度は大切に思った相手を切り捨てて
ひとりで自分の道を行ってしまう傲慢さを、
責めずにはいられなかった。
仕方ないこと、当然のことだとわかってはいても。

幸乃の持病(恐らくナルコレプシー?)は、そんな薄情な人間たちから
眼を背けるための、必死の抵抗だったのではと思う。
神様のように人間の罪を許し、受け容れてきた彼女が持ち得た、
唯一の武器だったのではと。

エピローグの女刑務官の台詞はちょっと腑に落ちませんでしたが。
あれ? 幸乃には「あなたを必要としてるひとがいる」って言ってたのに
恋人には言ってること違くないか?と。
あと幸乃がどうして「彼」を好きだったのか、その描写が弱いなとも。
「ハッキリ」とか「キレイ」とか、カタカナにしなければ
もっと美しい描写になるのに、と思うこともたびたび。
 
でも細かいことは気にしないことにします。
これほど心を引っ掻いてくる作品に出会えたんだから。

ミステリ要素はかなり弱いけど、ある孤独な人間の抱えた、
希望という名の闇、絶望という名の光を描き出すことには見事成功しているので、
非常に読みごたえがあります。

とてもおすすめ。

それにしても、読み終えたあとに表紙を見ると、
何でこういう絵なのかがわかってやっぱりどうしようもなく
胸が痛くなるな。。。


わたしたちは永遠の共犯者。二度と離れることはない―(「Partners in Crime」)。
夏祭りの日、少年は少女と町を出る(「Forever Friends」)。
難病におかされた少年に起こった奇跡(「美しき余命」)。
“交換殺人してみない?”冗談のはずが、事態は思わぬ方向に(「カフカ的」)。
苦境の作家の会心作。だが酷似した作品がインターネット上に―(「代償」)。
五人のミステリ作家が描く、共犯者たち。驚愕のアンソロジー。

***

◆Parters in Crime/秋吉理香子◆

元々B級ミステリを書く作家さんですが、本編もやはりB級。
うまくまとまっているとは思うけど、深みを感じられなかった。
私の中では「それなりに面白い作家さん」の域を出ないまま。
ヒロインの行動も「?」という点が多かった。

◆Forever Friends/友井羊◆

青春譚も交えた素敵な話。
本アンソロジーの中では、淡々としながらもレベルが高い。
痛くて切ないラストが刺さる。

◆美しき余命/似鳥鶏◆

今までこの作家さんは好きではなかったけれど、本編で見直した。
ミステリ要素は弱いですが、昨今の「本当のことをろくに知りもせず
与えられた情報だけで相手を一方的に判断する」
という人間の薄っぺらさ、マスメディアの危うさへの問題提起力がすごい。
深みもある。非常に面白く読めた。

◆カフカ的/乾くるみ◆

好きな作家さんでしたが、本編はクソだった。
滅茶苦茶過ぎて逆にオチが読めないという。。。
メフィスト作家は何故こうも書く作品が玉石混交なのか。
読んだ時間返してほしい。
もうちょっと書き込めばいい作品になったのにと思えるぶん残念。

◆代償/芦沢央◆

速攻オチ読めた。
芦沢氏は好きな作家さんだけど、「獏の耳たぶ」など駄作を書くことも
あったりするので油断が出来ない。本編は駄作とまではいかないけど
期待していたぶんがっかり感が半端なかった。
「許されようとは思いません」とか面白かったのにな。。。



それにしても、五編中三編が不倫ネタというのはちょっとアレでは。
まあまあ楽しめましたが。
心から、そう、望む。



学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、
ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、
城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、
驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

***

漫画家・松井優征氏の「暗殺教室」を読んだとき、
ボロ泣きしつつもデビュー作の「魔人探偵脳噛ネウロ」のほうが
個性が爆発していて好きだな、と思い、でも万人受けするのは
暗殺のほうだろうな、そういう風に書かれてるし、と思ったことを思い出した。

本作も、とても読みやすい文体で書かれていて、万人受けする内容だけど、
著者の全盛期を知っている身からすれば、
「このひとはもっと個性的で胸に刺さるものを書けるひとなんだけどな」と
少し物足りなく思った。
特に、この世で一番好きなミステリが、彼女の著書「子どもたちは夜と遊ぶ」
である私としては、どうしてもそっちと比べてしまって
「これぐらいわかりやすく書かないと、今の時代ベストセラーにはならないのかな」と
悲しくも思ったり。

良書ではあると思う。
本作を読んで励まされる十代の子供もきっと少なくないと思う。
けれど大人が読むにはやや幼かった。
本作は雑誌「yom yom」で途中まで読んでいたけれど、いつの間にか
定期購読をやめていたぐらいだし。
クライマックス間近で明かされるある真相も、だいたい読めていたので
驚きはなかった。
ラストは読めず、「ああ、そうだったのか。。。」とはっとさせられたけど。
本作のキーパーソン・喜多嶋先生が、あまり深く描かれていないなと思ったら
そういうことだったのか、と。

私の教え子の中学生にもとても繊細で感じやすい子がいて、
大きな苦しみを抱えていたり、それを募らせて冬のプールに飛び込んでしまうぐらい
あやうい子がいたりするけど、そういう子たちに読ませてあげたいなとは思った。
学校なんて数ある居場所のうちのほんのひとつに過ぎないし、
その場所に息苦しさを感じたからといって決して駄目な子というわけじゃない、
いやなら別の居心地のいい場所を見付ければいい、と常々思っている身としては。
心を通わせられる相手は必ずしも「学校」という場所で見付けなければいけないって
わけじゃないんだよ、と本作を通して教えてあげたくなった。

作中に、
「闘わなくてもいいんだよ」
「逃げないで」
という対比する台詞が出てくるけれど、闘うだけ無益なときと、
どうしても自分に打ち克たなければいけないときとの、その境を
大人が子供に教えてあげなきゃならないんだということなんだなと
本作を読んで胸に刻み付けた。

小学校のとき、途中で不登校になってフリースクールに通うようになった
仲のいい男友達がいたのですが、その子のことを思い出しました。
元気にしているといいなと心から思う。

未来で待っているに違いない、自分を救ってくれる誰かのために、
生きてみよう。そう思わせてくれる物語だった。

ある言動をきっかけに、この著者の人間性が嫌いになり、
以来かなり色眼鏡で彼女の著作を読んでいた私ですが、
本作を読んで久々に「やっぱりいい作家だな」と思った。
前述の「子どもたちは夜と遊ぶ」みたいな物語をまた書いてほしいなとは
相変わらず思うものの。

児童文学として読むぶんにはおすすめです。
余談ですが、カバー下の装丁が子供のころ枕元に置いて眠るぐらい好きだった
ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」と似ていて何だか嬉しかった。
アル・ツァヒール!
ここは酷く寒い。



雨が降りしきる河原で大学生の西川が出会った動かなくなっていた男、
その傍らに落ちていた黒い物体。
圧倒的な美しさと存在感を持つ「銃」に魅せられた彼はやがて、
「私はいつか拳銃を撃つ」という確信を持つようになるのだが…。
TVで流れる事件のニュース、突然の刑事の訪問――次第に追いつめられて行く中、
西川が下した決断とは?
新潮新人賞を受賞した衝撃のデビュー作。単行本未収録小説「火」を併録。

***

改めて読んで、やっぱりこの著者はすごいと思った。

著者の中村氏の敬愛する作家・太宰治の言葉に、
「ひとりでいても常に自分を見つめる第三者の眼を感じていた」と
という言葉があるけれど、本作の主人公もそう。
ひとと接するときは常にそれを冷静に見ているもうひとりの自分の眼があり、
その「自分」が主人公を動かしている。「自分」が命じるままに
他人を自らの言動でコントロールし、コントロールされる人間を
醒めた眼で観察している。
貴志祐介氏の「青の炎」にも同じように自分の言葉で相手をコントロールする
主人公が出てくるけれど、作家というものは皆こういうところを
持っているんじゃないかと思う。自分の物語の中で人間を動かすことを
生業としているひとたちだものな。

拾った銃に次第に魅せられ、恋愛感情以上のものを抱き、
「この銃に嫌われたらどうしよう」とまで思い詰める主人公の気持ちが、
不思議とわかる。
誰かに強く惹かれるとき、ひとはその相手を自分の中で最大限に神格化して
その想像上の産物を宗教的なまでに愛するものだけど、
本作の主人公はそれが人間ではなく「銃」だっただけのこと。
物言わぬ相手だからこそ、粗が見えることも幻滅することもなく
より神々しいまでの存在として自分の中に居座らせてしまった。
そしてその「愛しくてならない存在」への気持ちは、意図していたのとは
別のところで、ほんの些細なことで爆発した。
他人をコントロールしていた人間が、その大きな存在に逆にコントロールされて
しまうラストは、初めて読んだ10年前から今も心に強く残り続けている。

月並みなことを言うなら、電車って確かに必ず1、2人はウザい人間が乗ってて
それに苛立ちを通り越して殺意さえ湧くことって確かにあるしな。
中村氏もそういう経験がきっとあるんだろうな。

最近の中村作品は、描かれるテーマが大きいものが多いですが、
本作はただひとりの人間の心理を丁寧に丁寧に描写していて、
私はそれこそが氏の本領だと思っているので、
またこういう作品を書いてほしいなと思う。

おすすめです。
併録の「火」も、個人的には「短編が苦手なのかな?」と思っている
中村氏の短い作品の中では抜きん出て素晴らしいものなのでおすすめ。

本を読んでいると、その作者がどこまで真剣にその物語を
書いているのかがわかるけど、
本作は全身全霊で書かれた物語だということが感じ取れる。
中村氏は私の知っている限り常に全力投球のひとだけど、今の時代、
こういう自分の魂を削るぐらいの勢いで書いてる作家さんって少なそうだから、
貴重な存在だと思う。

出会えてよかった。


広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の
碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。
外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる
碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を
通わせていく。実習を終え広島に帰った
碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。

彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか?

ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を
彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?

***

Amazonレビューで死ぬほど高評価で、本屋大賞にもノミネートされた本作。

結論から言えば、怖くなりました。
この程度の作品でもここまで評価されてしまう今の文壇が。

出だしからいやな予感はしてました。
文章表現が極めて稚拙&キャラの個性がなさ過ぎ、という点からもう。
ヒロインの描写なんて、童貞が書いた「ぼくのりそうのかのじょ」みたいだったし。
「上目遣いで」「頬を膨らませ」「小鳥のように小首を傾げて」「肩をすくめ」
って昭和のドラマでもそう見ねえよと。
彼女の唇が桜色なのはよくわかったからいい加減もういいよと。
いつ死んでもおかしくないヒロインに向かって自分の将来を語り出す主人公も
神経イカれてんの?って感じだったし、
イカれてるといえば後半で「彼女は君の妄想だったんだよ」と周りに言われ
あっさり「そうか、妄想だったのか」と納得する単純さも正直どうかと。
ヒロインが何故図書館に行ってあそこまで喜んだのかを考えることもしないのには
何この主人公、と呆れた。

主人公が故郷・広島に帰るシーンでも、物語にまったく必要のない
広島うんちくがくどくどと書かれテンポを狂わせていたし、
事件の黒幕、あれ何なの? 「真犯人は物語の最初から登場させるべし」っていう
ミステリの法則知らないのこの著者? と突っ込みたくなった。
そして読んでいても「ああ、次はこういう表現しそう」という予想が
見事に当たるので鼻白んだ。素人に展開どころか文章の先読みまでされたら
おしまいだろうに。

ラストにもさぶいぼ立った。「うわ、やると思ったらやっぱりやりやがったこいつ」と。

普段あまり読書をしないひとには、読みやすいし面白いのかも知れません。
少し凝ったトリックを使っただけで「あれはどういう意味なんですか?」っていう
問い合わせが山のように届いたという作家さんも知人にいるし、
わかりやすい、そして「命が絡んだ恋愛」というテーマはとにかく人間を
惹きつけやすいのだろうとも思います。
でも私は本作を評価出来ない。
正直お金返してほしいです。

速攻売ります。

これだったら島田荘司氏の「幻肢」のほうがよっぽど感動したし、
映画の「シャッターアイランド」観たほうが1000倍いいです。
二人で一緒にこの道を歩こう。



大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。
性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。
やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。
同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで
2人の仲は決裂してしまうが…。
ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の
愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。

***

ジャニーズのグループ「NEWS」の加藤シゲアキ氏のデビュー作。

彼の小説を読むのはこれが二作目で、最初は友人から
氏の著作「閃光スクランブル」を貸され、ジャニーズにまったく興味のない
私は「えー、ジャニーズかー。。。」と思いつつ読んで見事にハマった次第。
専業作家じゃない小説家の中では一番好きな作家さんです。

本作からもやはり加藤氏の繊細で優しい性格が読み取れ、
文章は少し書き込みが足りない気はするものの、
表現力と感性には非凡なものを感じた。
各章に飲み物のタイトルを付け、時間軸が交差して描かれるという構成力も
抜きん出ている。
真剣に読書することと小説家になることを本格的に決めてから数年で
ここまでのものを書けるのは、ひとえに氏の才能の故だと思う。

中盤以降の展開はあまり好きじゃないけれど(「せめて本出すか映画に出るか
どっちかにしろよ」と正直思った。話の流れ的に仕方ないとは思うものの)、
ラストの「幸せな悲しさ」を表現したシーンには、そう来たか、と心を揺さぶられた。
りばちゃんはごっちのお姉ちゃんと同じ表現が出来たのだろうな、と。
 
あとがきで加藤氏は「ジャニーズにもこんな面白い奴がいるんだ、と
思ってもらえれば」ということを書いているけれど、私は実際そう思った。
今更だけど、「アイドルだってひとりの人間なんだ」ということを
感じさせてもらった。

兼業作家では、又吉直樹氏より好きです。
彼の感性がとても好きで、既刊をすべて買い揃えたので、次の作品を読むのが
今から楽しみ。

あと蛇足ですが編集さんと校正さん、「延々と」が「永遠と」になってたけど
直してあげてくれよ。
だけどいまだけは。



僕たちの夏の大冒険は、あまりにも哀しかった――。
得がたい才能を秘めた新人登場!
拓海(たくみ)と啓、雪丸と国実(くにみ)は新潟の田舎町に住むお騒がせ4人組。
小学校最後の夏、花火大会の夜に、僕たちは想像を絶するほどの後悔を知った――。
それから20年余り、惨めな遺体が発見され、悲劇の夜の封印された謎に
決着をつける時がきた。
誰もが通る少年の日々を瑞々しく描いて大絶賛された、
第三回新潮ミステリー大賞受賞作。

***

貴志祐介、伊坂幸太郎、道尾秀介。
この三人の著作を初めて読んだときには、彼らにしか書けない世界観、
ミステリ部分の面白さに非常に唸らされたものです。
その三人が選考委員を務める小説賞の受賞作というから読んでみたら。。。

これ、短編でよくないか?というのが読後最初の印象。
これだけのことに400P近くを費やす意味がわからない。
あと、事件が起こるまでの描写が長過ぎる。何度放り投げようと思ったことか。
文章が非常にうまく(漢字を開き過ぎとは思ったけれど)、主人公たちの心理描写も
卓越している(小学生がこんな大人びたものの考え方するか?とは思うものの)けれど、
それがなかったら途中で読むのをやめていたと思う(実際一度図書館に返してる)。
事件の真相も、あまりにありがち過ぎて「まさかそんなベタなオチじゃ
ないだろう」と思っていたが故に逆に読めなかった。
二時間ドラマよりも薄っぺらい事件と真相。
仮にも「ミステリー大賞」と銘打っているのだから、それに相応しい作品を
選ぶか、もしいい作品がないのなら「該当作なし」にするべきだったのでは。
ミステリ部分を抜かして少年たちの青春譚として読んだとしても、
友人関係を書いた秀作ならほかにいくらでもあるし本作を読む必然性を感じない。
そしてちょっとクサい。
クライマックスの誘拐事件も、取ってつけたようで蛇足に感じた。

ひと言でいえば「地味」な小説だった。

更にひと言付け加えるならば、女はあんな変な映像喜んで見たりしません。
吐き気を催して放り投げるのが普通。
それと、作中に「嘆息をつく」っていう表現が何度か出てくるけど、
「嘆息する」か「溜め息をつく」が正解では?
 
このひとの著作は今後読むことはないかな。

それにしても、同賞の受賞作
「サナキの森」は使い古されたトリックのラノベだったし、
「レプリカたちの夜」は独特の世界観はあるけれどまったくもって
ミステリじゃないし単純につまらなかったし、
三人の選考委員が何を考えているのかはっきり言ってわかりません。

色々な意味でがっかりした。


楽しさを追求したら、こういう小説になりました。
最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した
人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。
息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、
事態は思わぬ方向に転がっていく――。
「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ!
伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX!
あの泥棒も登場します。

***

出だしからうーんとは思っていたけれど。。。
面白くなかった。
伊坂氏の著作は全部読んでいるけれど、ランキングを付けるなら
かなり下の部類に入るかも知れない。

時間軸を行ったり来たりさせることで読者を惑わせるミスリードも
だいたい真相が読めていたのであまり驚かされなかったし、
バラバラに見えたピースがぴたっと嵌まる快感なら
同氏の著作「ラッシュライフ」のほうが断然上だった。
そして黒澤がまたしても登場するけど、彼はそんなに人気があるんだろうか。
なんかもう「黒澤シリーズ」として確立させたほうがいいんじゃなかろうか。
私は別に黒澤が好きでも何でもないので、「あ、またこのひとか。。。」としか
思わなかった。

伊坂氏が意識して書いただろう独特の文体も、
登場人物の誰にも感情移入出来ないというマイナス面しか感じなかった。
ラストも別に。。。という感じだし。
兎田が「綿子ちゃん綿子ちゃん」言うのも正直言ってウザかった。

あまりおすすめしません。
伊坂氏の小説は大好きだけど、ここまで期待を裏切られたのは初めてかも知れない。
長年のファンなので、次に何か出たらもちろん読むけど。
「あなたのそういうめちゃくちゃなところは、施設長に似てるよ」



施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。
一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない
何かを隠している―。
どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、
大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。
芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。

***

10年前、生きているのがつらくてつらくてどうしようもなくて
毎晩遠くの川に自転車を漕いでいって川岸に座って
いつ飛び込もうかと何時間も本気で考えていたときに出会った作品。
当時の私は決して大袈裟ではなくこの小説に救われたのだと思う。

中村氏の作品はどれも皆私を救ってくれたけれど、
直接的に「生きろ」と言ってくれた一番の作品は本作。
生きるのがつらくてやり切れないひとは一度読んでみてください。
本作に登場する「施設長」が、読むひとにとっては著者の中村文則さんに
なるかも知れないから。中村文則という「施設長」に救われるかも知れないから。

特に文庫版をおすすめします。あとがきはある意味、著者が語ってくれる
もうひとつの物語だと思うので。

今私が生きているのは、この作品のお陰だと言っても過言ではないです。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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