『この世界には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています』
禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻と櫃内夜月。
その友人、迎槻箱彦と琴原りりす。
彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく…。
様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出すが―?
『メフィスト』に一挙掲載され絶賛を浴びた「体験版」に解決編を加えた「完全版」。
これぞ世界にとり残された「きみとぼく」のための本格ミステリー。
***
西尾維新氏の独特の台詞回しや言葉選びのセンスが好きで、
〝戯言シリーズ〟はすべて読破、でも巻を重ねるにつれて(ご本人も言及されていましたが)
ミステリ部分が徐々に薄まってそのぶんファンタジー色が強くなり、
残念に思っていたところに発刊された〝本格推理〟と銘打つこの一冊。
大喜びで読んだはいいものの。。。
氏の文体と本格推理はあまり相性がよくないな、というのが感想。
(本格推理というよりはメタ本格、って感じだけど)
そもそも本格推理というもの自体がくどくどしいジャンルなのに、
それが西尾氏の悪くいえば冗長な作風と合わさるとさらにくどいことこの上ない。
事件は至ってシンプルでそれに関わる登場人物もそう多くないので(このあたりは西尾氏が
自分の文体とのバランスを図った結果なのでしょうが)読んでいて混乱するなんてことは
ないですが、
クライマックスで探偵役が事の真相を解き明かしていく件なんかねちっこい上に持って回り過ぎて
「いいからもっとシャープにさくさく明かしてくれえー('A`) 」とフラストレーションすら溜まる始末。
おまけに〝著者の意図が透けて見える小説〟というものを主人公が嫌っている割には
本作自体がまさにそれだし。
西尾氏が自作のキャラやシチュエーションに萌えているのが
これでもかと伝わってきて正直つらかった。著者と物語の距離が近すぎるというか。
遥か高みから俯瞰する〝神の視点〟じゃなく、ホームビデオを撮影する父親のような
〝馴れ合い〟の近さ。〝戯言シリーズ〟はギリギリでそういった面は回避できていたのに(西尾氏は
ちゃんとある程度突き放してキャラ&ストーリーを描いていた)、
その後に書かれたこれはなんでまたこんな風になっちゃんたんだろう?
本作の一貫したテーマである〝世界と自分との関係性〟というのも、
妙に青臭いしそれに対して主人公が導き出した解答も青臭いしっていうか凡庸だし、
「あなたならもっと突っ込んだテーマで書けるだろう」と思わず心中で著者に語りかけてしまった。
主人公も劣化版いーちゃん(〝戯言シリーズ〟の主人公の青年)だし。
でもいーちゃんほどの魅力が感じられないぶん、
周囲の女の子たちがどうして彼にそうまで惹かれるのかもいまいちわからず。
トリック部分はオーソドックスながらも正統な本格推理といった感じで○。
まあ犯人のやり方に関しては「もっとうまい方法があるだろ」と思う点がなきにしもあらずですが。
殺人の動機もあまりに弱いし 弱いというか、〝ない〟?(まあこれは
読み手の想像力次第でいくらでもとんでもない動機を後付けすることが可能ですが。氏も
それを狙ってるような気がするし。悪く言えば投げっぱなしだけど)。
著者の作為があまりにあからさま過ぎる小説だったな。
キャラもいかにも作られた感が強くて現実味がなかった(決してライトノベルだからって
理由じゃなく)。
こうなるともう世界に入り込めなくなってしまうので残念。
禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻と櫃内夜月。
その友人、迎槻箱彦と琴原りりす。
彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく…。
様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出すが―?
『メフィスト』に一挙掲載され絶賛を浴びた「体験版」に解決編を加えた「完全版」。
これぞ世界にとり残された「きみとぼく」のための本格ミステリー。
***
西尾維新氏の独特の台詞回しや言葉選びのセンスが好きで、
〝戯言シリーズ〟はすべて読破、でも巻を重ねるにつれて(ご本人も言及されていましたが)
ミステリ部分が徐々に薄まってそのぶんファンタジー色が強くなり、
残念に思っていたところに発刊された〝本格推理〟と銘打つこの一冊。
大喜びで読んだはいいものの。。。
氏の文体と本格推理はあまり相性がよくないな、というのが感想。
(本格推理というよりはメタ本格、って感じだけど)
そもそも本格推理というもの自体がくどくどしいジャンルなのに、
それが西尾氏の悪くいえば冗長な作風と合わさるとさらにくどいことこの上ない。
事件は至ってシンプルでそれに関わる登場人物もそう多くないので(このあたりは西尾氏が
自分の文体とのバランスを図った結果なのでしょうが)読んでいて混乱するなんてことは
ないですが、
クライマックスで探偵役が事の真相を解き明かしていく件なんかねちっこい上に持って回り過ぎて
「いいからもっとシャープにさくさく明かしてくれえー('A`) 」とフラストレーションすら溜まる始末。
おまけに〝著者の意図が透けて見える小説〟というものを主人公が嫌っている割には
本作自体がまさにそれだし。
西尾氏が自作のキャラやシチュエーションに萌えているのが
これでもかと伝わってきて正直つらかった。著者と物語の距離が近すぎるというか。
遥か高みから俯瞰する〝神の視点〟じゃなく、ホームビデオを撮影する父親のような
〝馴れ合い〟の近さ。〝戯言シリーズ〟はギリギリでそういった面は回避できていたのに(西尾氏は
ちゃんとある程度突き放してキャラ&ストーリーを描いていた)、
その後に書かれたこれはなんでまたこんな風になっちゃんたんだろう?
本作の一貫したテーマである〝世界と自分との関係性〟というのも、
妙に青臭いしそれに対して主人公が導き出した解答も青臭いしっていうか凡庸だし、
「あなたならもっと突っ込んだテーマで書けるだろう」と思わず心中で著者に語りかけてしまった。
主人公も劣化版いーちゃん(〝戯言シリーズ〟の主人公の青年)だし。
でもいーちゃんほどの魅力が感じられないぶん、
周囲の女の子たちがどうして彼にそうまで惹かれるのかもいまいちわからず。
トリック部分はオーソドックスながらも正統な本格推理といった感じで○。
まあ犯人のやり方に関しては「もっとうまい方法があるだろ」と思う点がなきにしもあらずですが。
殺人の動機もあまりに弱いし 弱いというか、〝ない〟?(まあこれは
読み手の想像力次第でいくらでもとんでもない動機を後付けすることが可能ですが。氏も
それを狙ってるような気がするし。悪く言えば投げっぱなしだけど)。
著者の作為があまりにあからさま過ぎる小説だったな。
キャラもいかにも作られた感が強くて現実味がなかった(決してライトノベルだからって
理由じゃなく)。
こうなるともう世界に入り込めなくなってしまうので残念。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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