僕と歌のために僕は歌う。
NY、ソーホー。
この街に降り立った大学生・オサムは、伝説のアーティスト・ネモの
超絶パフォーマンスに心奪われる。
仮面に覆われた倒錯的世界、現実ともつかぬ生活、
未知の魔力がオサムを変容させてゆく。
自分でない、何かへ―。
***
奇抜なファッションや舞台装置や芝居的シナリオを付加することで
歌を単なる歌ではなく、ひとつの〝総合芸術〟に仕立て上げてしまう、
外国には実践しているアーティストも多いこの手法(有名どころではマイケル・ジャクソン、
日本でもEXILEなんかがそれに近いことをしている)、
そこへきてさらに自分自身の〝個性〟や〝人生〟までをも
そのパフォーマンスの中に組み込んでしまった、つまりはアーティストとしての自分を貫くために
永遠に外れない仮面をかぶり続けて生きた、
そんな狂気の人間が、本作に登場するパフォーマー、クラウス・ネモ。
モデルになったのは実在の人物〝クラウス・ノミ〟。↓
歌声に先入観を持ちたくない人は聴かないでね
主人公・シュウは彼(ネモ)の音楽や生き様に魅せられ
次第にのめり込んでいくわけですが。。。
80年代が舞台の本作、キャラの精神年齢も当時に合わせたのかどうか定かではありませんが、
このシュウという青年、異様に幼い。
恋人から恥ずかしげもなく資金援助を受けてネモに会いにNYに出向く。
(私ならその時点で恥ずかしくて尊敬するアーティストに顔向けできない)
行ったら行ったで現地での生活に夢中になってしまいその恋人にろくに連絡もとらない。
自己中心的で何か事に当たるにも常に自分の願望や快楽を優先。
自らの不注意で痛い目に遭っても反省しないどころか人のせいにして相手を罵倒。
「80年代にもこんなのいたのか?」と訝ってしまうほど。
本作は音楽小説であると同時に青春小説でもあるので、
そんな彼の〝青さ〟はまあある意味リアルな人間像だとも言えるのですが。
ただ主人公がそんな風なせいで、
衝撃のラスト(陳腐な表現ですが本当に衝撃です)もあまりすんなり納得できなかった。
あれを主人公の〝成長〟と捉えるのも変だし(むしろ〝状況に流されただけ〟と
言ったほうが近い)。
それに(ネタバレになるので具体的には言えませんが)私だったら絶対に気づく。
「おまえは○○じゃない!」と(主人公にそこまでのカリスマ性ないし)。
とまあ主人公はアレですが(笑)、
この著者は非常に文章がうまく(初めて氏の著作を読んだときはあまりのうまさに呻いた←実話)
ストーリーも突飛な発想とリアリティが絶妙に溶け合っていて
非常にハイレベルなものに仕上がっているので、読んで絶対に損はないです。
権威主義は嫌いだしああいったものは多かれ少なかれ出来レースだとわかってはいても、
なんでこの小説が何らかの賞を受賞してないのか不思議。
古きよき時代のダンス・ミュージックが作中に頻出するので、
トーマス・ドルビーやハービー・ハンコック(昔は私も彼の曲で
ストリートダンス練習し果てたものです)、
YMO好きの人なんかも読んでみると楽しいかも。
伊坂幸太郎氏が以前インタビューで影響を受けた本として紹介していたので、
彼のファンの人も是非読んでみてください(実際作中に漂う空気に相通じるものがあります)。
おまけ:
Youtubeで拾った
ハワード・ジョーンズ、ハービー・ハンコック、トーマス・ドルビー、スティービー・ワンダー
夢の共演。最高すぎ
演出がまた絶妙。
これもある意味〝総合芸術〟だよな。
NY、ソーホー。
この街に降り立った大学生・オサムは、伝説のアーティスト・ネモの
超絶パフォーマンスに心奪われる。
仮面に覆われた倒錯的世界、現実ともつかぬ生活、
未知の魔力がオサムを変容させてゆく。
自分でない、何かへ―。
***
奇抜なファッションや舞台装置や芝居的シナリオを付加することで
歌を単なる歌ではなく、ひとつの〝総合芸術〟に仕立て上げてしまう、
外国には実践しているアーティストも多いこの手法(有名どころではマイケル・ジャクソン、
日本でもEXILEなんかがそれに近いことをしている)、
そこへきてさらに自分自身の〝個性〟や〝人生〟までをも
そのパフォーマンスの中に組み込んでしまった、つまりはアーティストとしての自分を貫くために
永遠に外れない仮面をかぶり続けて生きた、
そんな狂気の人間が、本作に登場するパフォーマー、クラウス・ネモ。
モデルになったのは実在の人物〝クラウス・ノミ〟。↓
歌声に先入観を持ちたくない人は聴かないでね
主人公・シュウは彼(ネモ)の音楽や生き様に魅せられ
次第にのめり込んでいくわけですが。。。
80年代が舞台の本作、キャラの精神年齢も当時に合わせたのかどうか定かではありませんが、
このシュウという青年、異様に幼い。
恋人から恥ずかしげもなく資金援助を受けてネモに会いにNYに出向く。
(私ならその時点で恥ずかしくて尊敬するアーティストに顔向けできない)
行ったら行ったで現地での生活に夢中になってしまいその恋人にろくに連絡もとらない。
自己中心的で何か事に当たるにも常に自分の願望や快楽を優先。
自らの不注意で痛い目に遭っても反省しないどころか人のせいにして相手を罵倒。
「80年代にもこんなのいたのか?」と訝ってしまうほど。
本作は音楽小説であると同時に青春小説でもあるので、
そんな彼の〝青さ〟はまあある意味リアルな人間像だとも言えるのですが。
ただ主人公がそんな風なせいで、
衝撃のラスト(陳腐な表現ですが本当に衝撃です)もあまりすんなり納得できなかった。
あれを主人公の〝成長〟と捉えるのも変だし(むしろ〝状況に流されただけ〟と
言ったほうが近い)。
それに(ネタバレになるので具体的には言えませんが)私だったら絶対に気づく。
「おまえは○○じゃない!」と(主人公にそこまでのカリスマ性ないし)。
とまあ主人公はアレですが(笑)、
この著者は非常に文章がうまく(初めて氏の著作を読んだときはあまりのうまさに呻いた←実話)
ストーリーも突飛な発想とリアリティが絶妙に溶け合っていて
非常にハイレベルなものに仕上がっているので、読んで絶対に損はないです。
権威主義は嫌いだしああいったものは多かれ少なかれ出来レースだとわかってはいても、
なんでこの小説が何らかの賞を受賞してないのか不思議。
古きよき時代のダンス・ミュージックが作中に頻出するので、
トーマス・ドルビーやハービー・ハンコック(昔は私も彼の曲で
ストリートダンス練習し果てたものです)、
YMO好きの人なんかも読んでみると楽しいかも。
伊坂幸太郎氏が以前インタビューで影響を受けた本として紹介していたので、
彼のファンの人も是非読んでみてください(実際作中に漂う空気に相通じるものがあります)。
おまけ:
Youtubeで拾った
ハワード・ジョーンズ、ハービー・ハンコック、トーマス・ドルビー、スティービー・ワンダー
夢の共演。最高すぎ

演出がまた絶妙。
これもある意味〝総合芸術〟だよな。
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この記事へのコメント
完全演技者 トータル・パフォーマー/山之口洋
念のためこちらにもお知らせしに来ました!
伊坂幸太郎さんの回、来週のカフェイン11で
放送されるみたいです!
そして今回の「クラウス・ノメ」の映像、楽しませて
いただきました!
昨夜ちょうど「サナギ男」(←タイトル。)という絵の下絵を描いたこともあり…
人と羽や樹や何か(?)が混ざったダークなビジュアルって良いですよね!!(力いっぱい)
早く色を塗りたくなりました!!
そして歌が始まると膝で寝ていた猫ルキアが
ビックリして画面を見つめていました…
猫にも感じさせる何かが発生していたのでしょうか??
それではまた、執筆活動頑張ってください!
(前回も素敵でしたが蝶のデザイン、好きです。
忍者ブログ良いですよね^ェ^♪)
伊坂幸太郎さんの回、来週のカフェイン11で
放送されるみたいです!
そして今回の「クラウス・ノメ」の映像、楽しませて
いただきました!
昨夜ちょうど「サナギ男」(←タイトル。)という絵の下絵を描いたこともあり…
人と羽や樹や何か(?)が混ざったダークなビジュアルって良いですよね!!(力いっぱい)
早く色を塗りたくなりました!!
そして歌が始まると膝で寝ていた猫ルキアが
ビックリして画面を見つめていました…
猫にも感じさせる何かが発生していたのでしょうか??
それではまた、執筆活動頑張ってください!
(前回も素敵でしたが蝶のデザイン、好きです。
忍者ブログ良いですよね^ェ^♪)
ぎゃーすいません><
クラウス・ノ「メ」になってたあああ!
というわけで直しておきました。
正しくはクラウス・ノ「ミ」です。
騙されないでくださいジンタさん!!><
ていうかルキアかわいい笑 動物さえも反応する音色って確かにあるんですよね。うちの鳥もそういうときあります(現にノミのThe cold songにもトサカ立てて固まってたし←しかもその後興奮したように「ピー!」とか声あげてました)。そのたびに「おっこれは生き物の理性じゃなくて本能に訴えかける音なのかー。おぼえとこ」とかチェックしたりしてます。
ノミの歌が「サナギ男」の触発要素になったみたいでよかったです! 少しでもあの歌の印象が混じってるであろうジンタさんの新作、見るのを楽しみにしてますね!!!
>人と羽や樹や何か(?)が混ざったダークなビジュアルって良いですよね!!
確かに。
最近木にそっくりの人と人にそっくりの木を見たんですが、異質ながらもなんだかひどく神々しく見えました。
(ちなみにこれはさっきたまたま見つけた〝横顔ツリー〟↓
http://www.algemeiner.com/images/Uploaded/tree%20as%20human.jpg)
伊坂さん情報わざわざありがとうです^^
もう来週なんですね!
質問送るの間に合わなかったな。。。
絶対聴きます@@@携帯アラームセットしときます。
絵が売れたことはもう心から喜んで&誇っていいことだと思いますよ!
ジンタさんと面識がない以上、買い手の方たちは100%ジンタさんの作品そのものを評価してくれたってことですから。
それじゃまた遊びに行きます^○^
PS:
〝重力ピエロ〟、是非読んでみてください。
私は単行本も文庫も持っているほどのフリークです*^^*
登場人物の〝春〟は、(ほんとに大げさじゃなく)私の敬愛する人間で、ネット上のあるパスワードにも彼の名前を使っているほどです。
というわけで直しておきました。
正しくはクラウス・ノ「ミ」です。
騙されないでくださいジンタさん!!><
ていうかルキアかわいい笑 動物さえも反応する音色って確かにあるんですよね。うちの鳥もそういうときあります(現にノミのThe cold songにもトサカ立てて固まってたし←しかもその後興奮したように「ピー!」とか声あげてました)。そのたびに「おっこれは生き物の理性じゃなくて本能に訴えかける音なのかー。おぼえとこ」とかチェックしたりしてます。
ノミの歌が「サナギ男」の触発要素になったみたいでよかったです! 少しでもあの歌の印象が混じってるであろうジンタさんの新作、見るのを楽しみにしてますね!!!
>人と羽や樹や何か(?)が混ざったダークなビジュアルって良いですよね!!
確かに。
最近木にそっくりの人と人にそっくりの木を見たんですが、異質ながらもなんだかひどく神々しく見えました。
(ちなみにこれはさっきたまたま見つけた〝横顔ツリー〟↓
http://www.algemeiner.com/images/Uploaded/tree%20as%20human.jpg)
伊坂さん情報わざわざありがとうです^^
もう来週なんですね!
質問送るの間に合わなかったな。。。
絶対聴きます@@@携帯アラームセットしときます。
絵が売れたことはもう心から喜んで&誇っていいことだと思いますよ!
ジンタさんと面識がない以上、買い手の方たちは100%ジンタさんの作品そのものを評価してくれたってことですから。
それじゃまた遊びに行きます^○^
PS:
〝重力ピエロ〟、是非読んでみてください。
私は単行本も文庫も持っているほどのフリークです*^^*
登場人物の〝春〟は、(ほんとに大げさじゃなく)私の敬愛する人間で、ネット上のあるパスワードにも彼の名前を使っているほどです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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