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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「お前は、ちょっと別格だ」
「それは光栄だ」




孤独で気儘な探偵・頸城悦夫のもとに
元都知事の大物タレントの館にある「芸術品」を取り戻して欲しいという依頼が舞い込む。
若く美しい依頼人。
冴え渡るはずの勘が、瞬く間に鈍っていく…。新感覚ハードボイルド。 

***

新感覚ハードボイルド?
ハードボイルドもどきの間違いじゃ?

と、のっけから因縁つけたくなるような小説だった。
少なくとも私にとっては。

本作の印象をひと言で言うなら、〝アマチュア中年詩人のポエム(または日記)〟。

上っ面のかっこつけ台詞を吐くだけで至って魅力に乏しい主人公。
なんの脈絡もなく唐突にそんな彼を「愛している」などとのたまうヒロイン(初めは
利用する気満々だったのに)。
著者に妄想に走るのもたいがいにしてくれと言いたくなるほど現実味に乏しい
主人公の取り巻きの女性たち。(いっそ西之園萌絵並みにあらゆる意味で突き抜けてくれてれば
好きになれたかもしれないけど。
「会いたいよう」「いいよう」等の〝語尾伸ばし喋り〟は鳥肌が立った。森氏はこれに
魅力感じるんだろうか?)
中身のない耳に心地いいだけの単語のみで構成されたひどく薄っぺらな世界観。

ミステリ部分も、あまりに納得いかない部分が多すぎ。
誰とも分からない相手に命を狙われている人がよく知りもしない人間をホイホイ自宅に泊めますか?
どうして法輪が撃たれた部屋だけ都合よく防弾ガラス仕様じゃないんですか?(というか
防弾ガラス仕様じゃなかったら犯人はどうやってアリバイ工作するつもりだったんですか?)
主人公を利用して法輪宅に招かれそこで法輪を殺す計画だったって、もし主人公がその前に
あっさりお宝を取り返して持ってきちゃったらいったいどうする気だったんですか?

森氏が単に趣味で書いたのをそのまま出版してしまったという感じ。
デビュー間もないころの森作品はこんなんじゃなかったのに。
〝スカイ・クロラ〟シリーズも似た感じだし(あちらはまだ好きですが)、
今後はもうずっとこの作風でいくんだろうか。

森氏はかなりの量産作家だけど、そのせいで中身がこうして薄っぺらになっているのなら
寡作になってかまわないからもっとクオリティの高いものを生み出してほしい。

本作は読んだことを時間の無駄としか感じられなかった。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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