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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「私としっかり手を繋いでいれば平気よ」
 


異様な暑さに目を覚ますと、「僕」は砂漠にいた。
そこへ突如降ってきたのは、
ごくごくありふれた電話ボックスだった。
――いったいなぜ?
混乱したまま電話ボックスに入り、
助けを求めて119番に電話をかける。
だが、そこで手にした真実はあまりにも不可解で…。
過去と現在が交錯する悪夢のような世界から、
「僕」は無事に生還することができるのか。
ミステリアスな傑作長編。文庫書き下ろし。

***

薄い紙の上を鉛筆で擦るように塗りつぶしていく。
そうすると紙の下に置かれている何かが浮かび上がり姿を現す。
そんな感じで少しずつ少しずつ主人公に起こっていることの全景が
見えてくる、そんな物語だった。
気付いたら砂漠にいてそこに公衆電話が降ってくる、という
シチュエーションは一見突拍子もなく感じてとっつきにくいかも
知れないけれど、この物語を展開する上でこれ以上の舞台はないことに
読んでいれば否応なしに気付かされる。
何気なく散りばめられたエピソードに無駄はひとつもなく
すべて伏線として回収されていく。その手腕は見事のひとこと。

ただこの著者、どうしても性的な表現の部分は村上春樹氏を
彷彿とさせるんだよなー。影響かなり受けていると思う。
身体だけの関係が愛に変わりますみたいな都合のいい展開も
好きじゃないのでそこもちょっとどうかと思ったし。
あとラストシーンがちょっとわかりにくく、え? 結局どうなったの?
と二度読み返してしまった。あそこはもうちょっと切ないわかりやすい
書き方出来たろうにと思うともったいなく感じた。

マッキーのファンのひとに共通するうさんくさい明るさが好きじゃない、
とか、ところどころに散見される著者のものの感じ方が読んでいて
面白かった。この著者けっこうヒネてて嫌味に面白いひとだと思う。

ミステリとして非常によくまとまっているのでミステリファンには
おすすめです。

ああそれにしても、途中まですごくよかったのに
ラストが本当にもったいない。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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