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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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私は、私を許してくれる人が欲しかった。



緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。
実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、
人気ない市営住宅に注がれた。
そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、
里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介に、
集団レイプの加害者の過去があることをつかみ、事件は新たな闇へと開かれた。
呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の傑作長編。

***
 
男女間の運命の絆っていうと綺麗で純粋なものが浮かぶけれど、
そうじゃない、もっと苦しくてもっと切実で、
ただ一緒にいるしかないから一緒にいる、っていう
運命よりも「宿命」と呼んだほうがいいような関係っていうものも
あるのだと本作を読んで改めて知った。
繕うことなく剥き出しの自分で接し合えて、たいがいのことは許し合える、
しかもその「許し」というのは上辺じゃなくいっそ本能的といってもいい部分で。。。
たとえ他人が聞けば眉をひそめるような関係だったとしても
それは見ようによっては眩しいほどに輝く
揺るぎない関係性なのだと思う。
本作に登場する記者・渡辺のように、世間一般からは後ろ指をさされるような
関係性でも、私も俊介とかなこが羨ましくなってしまった。
濁った関係、それは、見方を変えれば「濁り」ではなく「深み」になる。
読者に「あなたはもちろん答えがわかっているだろう?」と問い掛けるような
ラスト一行にもぞくりとした。

おすすめです。
本作が好きなひとには、東野圭吾氏〝白夜行〟もおすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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