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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「優佳。じゃあね」



新学期、横浜にある女子高の特進クラスで
上杉小春は碓氷優佳という美少女に出会う。
おしゃべりな小春とクールな優佳はやがて親友に――。
二学期の中間試験で、東海林奈美絵が成績を急上昇させた。
どうやら、夏休み中にできた彼氏に理由があるらしい。
だが校則では男女交際は停学処分だ。
気をもむ小春をよそに平然とする優佳。
奈美絵のひと夏の恋の結末を優佳は見切ったようで…(「夏休み」)。
教室のどこかで、生まれ続ける秘密。
少女と大人の間を揺れ動きながら成長していく
きらめきに満ちた3年間を描く青春ミステリー。

★収録作品★

 赤信号
 夏休み
 彼女の朝
 握られた手
 夢に向かって
 災い転じて
 優佳と、わたしの未来

***

〝扉は閉ざされたまま〟のヒロイン・碓氷優佳の高校時代が描かれた本作。
著者コメントのとおり、単独でも普通に読めますが、
碓氷優佳シリーズを読破してからのほうがより楽しめます。
「ああ、優佳が気になってる男性ってあの作品に出てくるあのひとなんだろうな」
「後にあんな女性になる優佳のヤバい人格の片鱗が今から垣間見えてるな」
といった具合に。

内容としては、〝夏休み〟だけは
「そりゃないだろ。それとこれとは別だろ」と真相に突っ込みを入れましたが
それ以外はそこそこ楽しんで読めた。
「~じゃんか」という台詞がやたら出てくるのに
「この時代の女子高生はこんな言葉遣いしないだろ」とも思いましたが
まあそこも眼をつぶるとして、小粒ながらも楽しい本格推理短編集だった。
突っ込みどころは多いもののこの石持浅海さんという作家さんは
非常に独特な物語を展開するひとなので、
どんな微妙な作品を書こうと新作が出るとやっぱり手に取ってしまう。
なんだかんだ言って好きなんでしょう。

少女たちの青春期を舞台に描かれる爽やかなミステリ、
と思いきや、終わりはちょっと不穏です。
物語の語り部である上杉小春が、何故碓氷優佳シリーズに
優佳の親友として出てこないのか。それがわかるラストには
昏い感動を呼び起こされました。

なかなかおすすめです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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