2012年に国内で発表された数百の短編から、
日本推理作家協会が選び抜いた、短編推理の決定版。
★収録作品★
父の葬式/天祢涼
本と謎の日々/有栖川有栖
機巧のイヴ/乾緑郎
青い絹の人形/岸田るり子
ゆるやかな自殺/貴志祐介
妄執/曽根圭介
宗像くんと万年筆事件/中田永一
悲しみの子/七河迦南
探偵・竹花と命の電話/藤田宜永
青葉の盤/宮内悠介
心を掬う/柚月裕子
暗い越流/若竹七海
***
◆父の葬式◆
本編が収録されている単行本は読んだことがあったので再読。
うまいです。派手な話ではないけれど綺麗にまとまっている。
S県でしか葬儀が行われない世界という特殊な設定もいい。
しみじみくる話。
◆本と謎の日々◆
起承転結はなくのほほんと進む物語ですが、
ちっちゃな手品をいくつか見せてもらったような楽しい気分で
作中に仕掛けられた謎を読み進めることが出来る。
本当にありそうな話なところがいい。
有栖川氏は本当に文章が読みやすくて面白くて
好きなミステリ作家のひとりです。
◆機巧のイヴ◆
時代物は苦手なんだよなあ。。。と思っていたら
機巧(要するにロボット)が出てきて「お?」と思い、
ラストではこれが切ないラブストーリーだとわかって
しみじみとした感動とやるせなさに包まれた。
傑作だと思う。
時代物を読んで感動したのはこれが初めてかも知れない。
やるな乾氏。
◆青い絹の人形◆
それなりにまとまっているけれど、好きになれなかった。
読者を置いてけぼりにせんばかりにどんどん進む物語、
三流ドラマのような展開、
挙げ句拳銃の発砲音が「ズギューン」って。。。ダサすぎ。
これが日本推理作家協会賞短編部門最終候補作って。。。センス疑う。
この著者の作品は読まないでしょう。
◆ゆるやかな自殺◆
ごく単純なトリックがここまでのミステリに仕上がるのは
さすがベテラン貴志氏ならでは。
〝硝子のハンマー〟の榎本に再会出来るのも嬉しい限り。
何かの中毒のひとが読むとぞっと出来るかも。
◆妄執◆
ある意味バカミスだと思う(←褒めてる)。
ここまで突き抜けてるといっそ痛快。ラストは腹抱えて笑った。
小説というのは主人公の目線で世界が見えるものだけれど
そのこと自体をトリックにしてしまうこの著者は
やはり感性がほかの作家と一味違っているんだろう。面白い。
◆宗像くんと万年筆事件◆
乙一氏だとわかって読むと確かに乙一テイストなんだよな、
作風も文体も。
相変わらず、一見とぼけているようでいてミステリ的伏線の張り方と
その回収の手腕は見事です。
ラストの切なくてあったかい感じもいい。
乙一氏とか伊坂幸太郎氏とか道尾秀介氏は
ひとを見る目が温かくて読んでいて癒されます。
もちろんそれだけでは済まない毒がふんだんに含まれているところが
好みなんだけど。
◆悲しみの子◆
既読につきこちらを参照。
◆探偵・竹花と命の電話◆
極めてオーソドックスなミステリ。
孤独=寂しい、という世間に浸透した概念を
さり気なく覆してくれる内容には気分がすっと楽になるようだった。
確かに(余談ですが)私も孤独が大好きで独りの時間を満喫していた時期が
ありました。
◆青葉の盤◆
囲碁とか碁盤とか興味ないしなー、と思いながら読むうちに
ふと気づけばその世界観にのめり込んでいた。
伏線の張り方も絶妙で物語としても素敵な余韻を残す、
良作です。
◆心を掬う◆
既読につきこちらを参照。
◆暗い越流◆
これは日本推理作家協会賞短編部門最終候補に
残るだろうなーと思ってみてみたら本当に残っていた。
ベテランならではの、コミカルながらも読み応えもインパクトもある
ミステリ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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