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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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忘れられない。



夏の終わり、僕は裏山で「セミ」に出逢った。
木の上で首にロープを巻き、自殺しようとしていた少女。彼女は、それでもとても美しかった。
陽炎のように儚い一週間の中で、僕は彼女に恋をする。あれから十三年…。
僕は彼女の思い出をたどっている。「殺人」の罪を背負い、留置場の中で――。
誰もが持つ、切なくも愛おしい記憶が鮮やかに蘇る。第42回メフィスト賞受賞作。

***

メフィスト賞受賞作の割にミステリというよりは純文学寄りの内容だったけど、
よかったです。ミステリを期待して読み進めていたのでちょっと肩透かしは食らったけど、
ラブストーリーで感動したのは本当に久々かもしれない。

それはたぶん、登場人物たちの男♂と女♀の部分だけじゃなく
〝人間としてのその人〟も丁寧に書き込まれているから。
ちょっと人物設定や文体が村上春樹氏に似てしまっている気はしたけど、
かなりの筆力を持った新人さんであることに変わりはなく、
安心して物語世界に身を委ねることができた。

知り合った場所や知り合ったときの肩書きや互いの年齢、性別、(服装等を含んだ)外見。。。
そんなさまざまな要素が絡んで、人と人との関係は形作られていく。
もし別の出会い方をしていたら二人の関係を表す単語(恋人、友人、etc.。。。)は
変わっていたかもしれないし、すぐに別れていたかもしれない。逆により親密になってたかも。
そういった人間の関係性の脆さや、そして逆に関係性に縛られない絆の強さ、
その両方を本作には教えてもらった気がする。

素敵な話でした(何よりタイトルが秀逸だ。読後ぞくぞくっとなった)。
おすすめ。



おまけ:
本作に主題歌を付けるとすれば絶対にこれだと思う。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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