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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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まだ帰さない。



舞台は、急成長の途上にある宗教団体の聖地、神倉。
大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。
室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして
就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。
〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。
外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、
その間にも事件は続発し……。
江神シリーズ待望の書き下ろし第4長編。

***

「優等生的なミステリだなー」というのが唯一の感想。それもあまりよくない意味で。
前作〝双頭の悪魔〟と設定が似すぎていて新鮮味がなく、
犯人も影が薄いため真相が明かされたときのインパクトが弱い。
著者は格好いいつもりであろう某アクションシーンも何だか昭和のにおい漂う古めかしさで
「いまどきこれは。。。」と微苦笑してしまったし。
大自然や建築物を使った大掛かりなトリックはやはり島田荘司氏のほうが圧倒的にうまいなと
思ってしまった。
唯一興味深かったのは探偵役・江神の過去がようやく(氷山の一角ほどではあるけど)
明かされる点、
その仲間であるミステリ研の面々の個性(特に望月&織田)が
前3作に比べて際立ってたところぐらい。

全体的に、構成もストーリーもすごくきれいにまとまっていて決してつまらなくはないんだけど、
これだけのページ数&しかもこれほど期間を空けて出版されたシリーズ最新作にしては
あまりにミステリとして面白みが欠けるのでは。楽しみにしていただけに残念。
もっとこっちをあっと言わせる遊び的仕掛けがあってもよかったのにな(せめて麻耶雄嵩氏の
10分の1くらいは笑)。
だから本作がミステリ大賞を獲ったのも個人的には微妙。。。もちろん決して
駄作ではないんですが。

むしろミステリ小説としてより、中盤で貼られたマリア×アリスの会話の伏線が
ラストで見事に生かされていたところにドラマ的感動を覚えてしまった。

以前有栖川氏に、某ミステリ新人賞の選評で
「ドラマ部分は書きなれている印象なのにミステリ部分が拙い」
と評された私ですが、奇しくも本作では私が氏の小説に対して同じ感想を抱いてしまった。

そろそろこのシリーズも終わりに近づいているようなので、
完結巻までは見限らずに新刊の刊行を待ち続けるし絶対に読むつもりだけどね。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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