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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「I know」



「西の魔女」とは、中学生の少女・まいの祖母のこと。
学校へ行けないまいは、田舎の祖母のところで生活することに。
まいは、祖母の家系が魔女の血筋だと聞く。祖母のいう魔女とは、
代々草木についての知識を受け継ぎ、物事の先を見通す不思議な能力を持つ人だと知る。
まいは自分も魔女になりたいと願い、「魔女修行」を
始める。この「魔女修行」とは、意志の力を強くし、何事も自分で決めること。
そのための第一歩は規則正しい生活をするといった地味なものだった。
野苺を摘んでジャムをつくったり、ハーブで草木の虫を除いたりと、
身近な自然を感じながらの心地よい生活が始まる。次第にまいの心は癒されていく。
魔女はいう。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。
サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
そしてまいは、この「西の魔女」から決定的なメッセージをうけとるのだった……。

★収録作品★

 西の魔女が死んだ
 渡りの一日

***

映画化されてますね。
有名な女優・シャーリー・マクレーンの娘さん、サチ・パーカーさんが
〝魔女〟の役を演じています。ご両親共に親日家で、サチという名前も
日本語の〝幸子(Blessed Child)〟を意味するそうです。
と、映画の話はまあいいとして。。。

とても心地いい文体で、一日で読み終えてしまいました。
読み終えて最初の感想。
「あ、魔女になろう、自分も」
地道にがんばれば誰にでも道は拓けているみたいだから。

私にはアメリカ人の叔父がおり、日本人の親戚と違って
私への愛情表現も自分の考えも語り継ぐべき大切なことも皆照れずにストレートに伝えてくれる
叔父のそのやり方がとても好きなのですが、本作の主人公・まいの祖母である
生粋の英国人の祖母も、まさにそんなやり方で自然に、押し付けがましくなく、
大切なことを孫に教えていきます。
それも、いかにも大人が子どもを諭しているというようなお堅い方法じゃなく、
〝魔女のなり方〟というユーモラスでミステリアスなモチーフを交えることで
柔らかく解きほぐしながら。

〝西の魔女が死んだ。〟
というショッキングな一文で始まるこの物語ではありますが、
読み進めるうちにまいと同化した心が少しずつ〝生〟の意味を理屈ではなく感覚で
読むものに教えてくれます。
併録の〝渡りの一日〟とあわせて、ラストにちょっとしたサプライズが待っているところなんかは
ミステリ好きの人にもおすすめかも。

窮屈に凝り固まったものの考え方をほんの少ししなやかにしてもらった、
読み終えたときそんな気がした。

BGMにはもちろんこれをどうぞ。


手嶌葵さんも学生時代に登校拒否経験があるそうです。
だからこんなにも歌声がこの物語にマッチするのかな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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