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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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今何が聞こえる?

 

コインロッカーを胎内としてこの世に生を受けたキクとハシ。
巨大な鰐を飼う美少女アネモネ。謎を求めて舞台は南海の暗い海底に移る。
破壊の意志を持つというダチュラの凶々しき響き。果してダチュラとは何か? そして、
巨大な暗黒のエネルギーがもたらすものは?
現代文学の記念碑的作品の鮮烈な終章。

***

本読みならまず知らない人はいないであろう有名作品。

リズムある独特の文体。
各エピソードの、まるで一編の掌編を読んでいるかのようなクオリティの高さ。
ただ、ひとつの物語としては響いてくるものがなかった。
主人公ふたりの人格にどことなく一貫性がなくて、場面場面での言動が
別人のように感じられることが頻繁だったし、
著者が敢えてそうしているのかもしれないけれど彼らの内面描写がひどくおぼろげで
何を考えているのかいまいちよくわからない、わかったとしてもそれは
「ああきっと彼は今こういう心情なんだろうな」というあくまで他人事的な感覚で、
彼らと気持ちがシンクロするとかこちらの感情が揺さぶられるとかいったようなことがない。
登場人物たちの言動も、どこか芝居がかっているというか大げさで、
どうもリアリティを感じられなかった。〝演じられているもの〟を観ている感じ。
主人公の一人、キクの終盤でのキメ台詞なんか思わず苦笑してしまったし。
でも、もう一方の主人公・ハシの
「広い広い広い広い広い広い広い広いコインロッカーの中に。。。」
という台詞には思い切り胸を衝かれたけれど。これ以上寂しい言葉がこの世にあるだろうか、と。
キクパートよりはハシパートのほうが物語が面白かったな。
終わり方は結構好きです。

ちなみに本作は近々日米合作で映画化されるそうですが、それならハシの役は絶対に
アメリカ人にしてほしい。
日本人歌手にだけは歌わせないでほしい。聴いててキツいしあっちでも公開されると思うと
日本人として恥ずかしい。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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