それがあなたであってほしい。
茶沢景子、15歳。クールで何事にも興味をそそられない彼女が、たった一つ、
心を奪われたモノがある。それは、同級生の住田祐一。あまりに平凡で普通すぎる彼に
近づけば近づくほど、景子の魂は祐一に共鳴していく――。
傑作漫画「ヒミズ」の新たなる結末を描いた純愛青春残酷物語。
***
大好きな古谷実氏の著作の中でもダントツに影響を受けたバイブル的コミック、〝ヒミズ〟。
本作はそれの小説版。
これがデビュー作にしては、著者はこれら↑原作をうまくまとめていたと思う。
ただねえ。。。ちょっと文章が淡々としすぎ。
もともとシリアスな物語なので淡々とした文章でもいいとは思うんだけど、
盛り上げるべきところでも静かな筆致のままなので残念。
たとえば茶沢の「オイがんばれよ!」のシーンとか。
(冒頭の三行目には「おっ古谷節をよくわかってる!」と期待したのに。。。)
あと、著者は本作を読んだ限り古谷作品を結構読み込んでいるだろうことはわかるんですが、
どうにもその古谷ワールドを捉えきれていない気がした。
主人公絶対こんな台詞言わねーよ、って台詞も平気で入れてるし(主人公の住田は
どこまでも人は人、自分は自分って人間なので、自分より幸せな相手に向かって
「おまえは俺ほどの不幸経験したことないだろ」的なことは絶対言わない)。
古谷氏ならではの個性的な言い回しも、普通の台詞に変えちゃってキャラが平凡になってる。
夜野はオドオドしてばかりで、小ずるいところが描写されてないし、
茶沢だって素でエキセントリックなところあるのに普通の恋する女の子みたいになってるし。
そして茶沢といえばクライマックスの彼女。ホームレスが変態だったって住田に伝えようと
してるけど、そんなもん伝えたら「あんなに近くにいたのにまた気づけなかった」って
彼がさらなる絶望に突き落とされることぐらい気づけよ。まあそれは原作のほうでも
「わざわざ知らせるなよ、住田の心理ぐらい読み取れ」と思ったけど。
原作には書かれていないエピソードがいくつか描写されていたのはよかったですが。
あと、原作のあまりにやるせないラストが改変されていてほんの少しだけ
救いのある終わり方になっているところもよかった(まあ、「延命治療費は誰が払ってんの?」とか
君らはよくてもこれ住田が起きたら恐慌来たしそうじゃね? とか突っ込みどころはありましたが)。
ただ、最後のその追加エピソードが完全に著者の山崎氏の想像で書かれているためか、
どの章よりもキャラがいきいきと魅力的で、茶沢の妄想なんか思わず泣きそうになってしまった。
(住田が殺人を犯したかどうか茶沢が訊ねるシーンでの彼女の本音も、
最後の夜の「ヤバい、泣けてきた」のシーンの夢想も、原作を掘り下げる感じでよかった)。
原作で住田の殺人が夢オチだったことに拍子抜けした人にも本作は満足いく仕上がりだと思う。
あくまで原作を読んでからなら、割りとおすすめの一冊です。
茶沢一途すぎて泣ける。ヘタなラブストーリーよりよっぽど泣ける。こんな女になりたいわ。
茶沢景子、15歳。クールで何事にも興味をそそられない彼女が、たった一つ、
心を奪われたモノがある。それは、同級生の住田祐一。あまりに平凡で普通すぎる彼に
近づけば近づくほど、景子の魂は祐一に共鳴していく――。
傑作漫画「ヒミズ」の新たなる結末を描いた純愛青春残酷物語。
***
大好きな古谷実氏の著作の中でもダントツに影響を受けたバイブル的コミック、〝ヒミズ〟。
本作はそれの小説版。
これがデビュー作にしては、著者はこれら↑原作をうまくまとめていたと思う。
ただねえ。。。ちょっと文章が淡々としすぎ。
もともとシリアスな物語なので淡々とした文章でもいいとは思うんだけど、
盛り上げるべきところでも静かな筆致のままなので残念。
たとえば茶沢の「オイがんばれよ!」のシーンとか。
(冒頭の三行目には「おっ古谷節をよくわかってる!」と期待したのに。。。)
あと、著者は本作を読んだ限り古谷作品を結構読み込んでいるだろうことはわかるんですが、
どうにもその古谷ワールドを捉えきれていない気がした。
主人公絶対こんな台詞言わねーよ、って台詞も平気で入れてるし(主人公の住田は
どこまでも人は人、自分は自分って人間なので、自分より幸せな相手に向かって
「おまえは俺ほどの不幸経験したことないだろ」的なことは絶対言わない)。
古谷氏ならではの個性的な言い回しも、普通の台詞に変えちゃってキャラが平凡になってる。
夜野はオドオドしてばかりで、小ずるいところが描写されてないし、
茶沢だって素でエキセントリックなところあるのに普通の恋する女の子みたいになってるし。
そして茶沢といえばクライマックスの彼女。ホームレスが変態だったって住田に伝えようと
してるけど、そんなもん伝えたら「あんなに近くにいたのにまた気づけなかった」って
彼がさらなる絶望に突き落とされることぐらい気づけよ。まあそれは原作のほうでも
「わざわざ知らせるなよ、住田の心理ぐらい読み取れ」と思ったけど。
原作には書かれていないエピソードがいくつか描写されていたのはよかったですが。
あと、原作のあまりにやるせないラストが改変されていてほんの少しだけ
救いのある終わり方になっているところもよかった(まあ、「延命治療費は誰が払ってんの?」とか
君らはよくてもこれ住田が起きたら恐慌来たしそうじゃね? とか突っ込みどころはありましたが)。
ただ、最後のその追加エピソードが完全に著者の山崎氏の想像で書かれているためか、
どの章よりもキャラがいきいきと魅力的で、茶沢の妄想なんか思わず泣きそうになってしまった。
(住田が殺人を犯したかどうか茶沢が訊ねるシーンでの彼女の本音も、
最後の夜の「ヤバい、泣けてきた」のシーンの夢想も、原作を掘り下げる感じでよかった)。
原作で住田の殺人が夢オチだったことに拍子抜けした人にも本作は満足いく仕上がりだと思う。
あくまで原作を読んでからなら、割りとおすすめの一冊です。
茶沢一途すぎて泣ける。ヘタなラブストーリーよりよっぽど泣ける。こんな女になりたいわ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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