おかえり。
高学歴、高年齢、高層マンション住まいの3K女・二宮咲子は、
元彼の御厨に未練たらたらの日々を送っていた。
週末の友人の結婚式で御厨と奥さんに再会することを悩む咲子は、
占い師に一週間で出会いがないと一生独身と宣言されてしまい…。
そんな彼女には、誰にも言えない楽しみがあった。
それは、年下青年の住むぼろアパートを中古の天体望遠鏡で覗くこと。
今の彼女の心を暖めてくれるのは、月夜に望遠鏡を通して知り合った
青年・瑞樹との交流しかなくて――。
第18回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。
***
図書館で借りた膨大な量の本を返却期日までに読まなければと思いつつ、
書店で購入した本作に手が伸びてしまうことがしばしば。。。一度開けばページを繰る手が止まらず、
ついさっき(現在AM2時前)とうとう読破してしまった。
結論から言うと非常に面白かった。
最近読んでいて面白い本、読み終えて「よかった」と思える本にまったく出会えていなかったので、
「文壇のレベルが落ちてるんだろうか。。。」と危惧していたのだけれど、
まったくそんなことはなかった。
主人公と世代や境遇が近いせいか、最初から最後まで主人公の咲子に完全にシンクロして、
一緒に泣いて笑って怒って、それがとても心地よかった。
物語の内容はオーソドックスとでも呼ぶべきもので正直目新しさはないのだけど、
その悪く言えば使い古されたモチーフでここまで独自の世界を展開出来ることは称賛に値する。
本作を読んでいる間中常に感じていた切なさの正体がわかったときには
「ああそうだったのか」と更に込み上げる切なさとやるせなさに
涙ぐみ口もへの字になってしまっていたけど、それでも本作は幸福感に包まれた
優しいハッピーエンドの物語だと思う。
一方的に「してもらう」だけじゃなく、自分から大切な人間のために行動する主人公の姿は、
ありがちなラブストーリーの受け身系ヒロインの典型から心地よく外れていて好感が持てた。
本作の登場人物・友引さんの言葉を借りるなら、やっぱり彼女は「凛として」いて素敵だ。
本作は友人である成田名璃子さんのデビュー作なのですが、
彼女の紡ぐ文章・物語はもうずっと大好きだったので、
こうして彼女の作品が世に出たことは非常に誇らしく喜ばしい限り。
いかにも彼女のキャラクターらしいあとがきにもちょっと感動してしまった。
名璃子さん、素晴らしい物語をありがとう。
このレビューを見た皆さんも、よかったら彼女の透明で優しい世界に是非一度触れてみてください。
高学歴、高年齢、高層マンション住まいの3K女・二宮咲子は、
元彼の御厨に未練たらたらの日々を送っていた。
週末の友人の結婚式で御厨と奥さんに再会することを悩む咲子は、
占い師に一週間で出会いがないと一生独身と宣言されてしまい…。
そんな彼女には、誰にも言えない楽しみがあった。
それは、年下青年の住むぼろアパートを中古の天体望遠鏡で覗くこと。
今の彼女の心を暖めてくれるのは、月夜に望遠鏡を通して知り合った
青年・瑞樹との交流しかなくて――。
第18回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。
***
図書館で借りた膨大な量の本を返却期日までに読まなければと思いつつ、
書店で購入した本作に手が伸びてしまうことがしばしば。。。一度開けばページを繰る手が止まらず、
ついさっき(現在AM2時前)とうとう読破してしまった。
結論から言うと非常に面白かった。
最近読んでいて面白い本、読み終えて「よかった」と思える本にまったく出会えていなかったので、
「文壇のレベルが落ちてるんだろうか。。。」と危惧していたのだけれど、
まったくそんなことはなかった。
主人公と世代や境遇が近いせいか、最初から最後まで主人公の咲子に完全にシンクロして、
一緒に泣いて笑って怒って、それがとても心地よかった。
物語の内容はオーソドックスとでも呼ぶべきもので正直目新しさはないのだけど、
その悪く言えば使い古されたモチーフでここまで独自の世界を展開出来ることは称賛に値する。
本作を読んでいる間中常に感じていた切なさの正体がわかったときには
「ああそうだったのか」と更に込み上げる切なさとやるせなさに
涙ぐみ口もへの字になってしまっていたけど、それでも本作は幸福感に包まれた
優しいハッピーエンドの物語だと思う。
一方的に「してもらう」だけじゃなく、自分から大切な人間のために行動する主人公の姿は、
ありがちなラブストーリーの受け身系ヒロインの典型から心地よく外れていて好感が持てた。
本作の登場人物・友引さんの言葉を借りるなら、やっぱり彼女は「凛として」いて素敵だ。
本作は友人である成田名璃子さんのデビュー作なのですが、
彼女の紡ぐ文章・物語はもうずっと大好きだったので、
こうして彼女の作品が世に出たことは非常に誇らしく喜ばしい限り。
いかにも彼女のキャラクターらしいあとがきにもちょっと感動してしまった。
名璃子さん、素晴らしい物語をありがとう。
このレビューを見た皆さんも、よかったら彼女の透明で優しい世界に是非一度触れてみてください。
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プロフィール
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kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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