「長い沈黙の終わりだ」
旬なミステリ作家の魅力発見!最新ベスト10を一気読み!!
結末まで読まずにいられない、美しき謎の数々!
本格ミステリ作家クラブが選んだ2007年のベスト本格ミステリ短編&評論のすべて!
★収録作品★
はだしの親父/黒田研二
ギリシャ羊の秘密/法月綸太郎
殺人現場では靴をお脱ぎください/東川篤哉
ウォール・ウィスパー/柄刀一
霧の巨塔/霞流一
奇偶論/北森 鴻
身内に不幸がありまして/米澤穂信
四枚のカード/乾くるみ
見えないダイイングメッセージ/北山猛邦
***
作品ごとのレビュー。
◆はだしの親父◆
私はてっきり父親も昔クラウン(道化)をしていて、息子たちの心もそれで開いた、というオチを
想像していたのですが(たとえば長男とケンカしたときは道化のメイクをほどこした貌で息子を
追いかけた、三男の飼っている魚の鉢が割れたときは人間ポンプになって飲み込んで家まで
持ち運んだ、とか)結果はまったくあさっての方向だった。
でも落ち着いて考えたら本当にそんなトリックだったらバカバカしすぎたかも。私は喜びますが笑
家族愛をクサくなく描いた秀作。
小ネタの〝キンギョゥバーチィ〟には笑った。
◆ギリシャ羊の秘密◆
主人公たちの推理の過程&オチに多少強引なところがあったものの楽しく読めた。
それにしても、ギリシャ神話の神々の名前ってほんっと覚えにくいよなあ。。。
ラストのトリックはありがち。
◆殺人現場では靴をお脱ぎください◆
主人公が二人とも大金持ちの家系という設定は多少鬱陶しかったものの、
これだけ短い話の中にばらまかれた伏線たちが最後で一気にひとつに収束する様は見事。
作者の力量を感じました(主人公はいったい誰なんだよ? と突っ込みたくなるところは
置いといて)。
ちなみに蛇足ですが、私だったらずかずか平気で歩きます(意味は読めばわかります)。
◆ウォール・ウィスパー◆
長い割りにいまいちパッとせず。。。
犯人の特定方法も、相手が人間という〝動く生き物〟であることと、目撃者が
幼い少女でしかもその目撃記憶自体が数十年前のものであることを踏まえれば
断定にまで踏み切ることは到底無理だし。
全体的にぼんやりとした印象のミステリ。
◆霧の巨塔◆
登場人物全員、知り合いが殺されたっていうのに(いくらミステリにしても)淡白すぎだろ。
でも俳優・真中の見た〝霧の塔〟の正体がわかったときは鳥肌が立ってしまった。
そして泣けた。本当に大きい、大きすぎる塔だよ。。。立派な塔だよ。。。(TT)
でも似たようなトリックがマンガ版〝逆転裁判〟にあったなあ。。。原案の黒田研二氏は
いったいどう思ってるのか。。。(奇遇にも同じこの本に収録されてるし)
◆奇遇論◆
犯人が自分がS駅付近に詳しいことを積極的にアピールするのはアホすぎだと思ったけど
やっぱり連丈那智シリーズは面白い。
初期の那智シリーズより文章から硬さがとれていて読みやすくなっているのもいい感じ。
フィールドワーク(外の世界を歩き回っていろんな事柄について知ること)に興味のある人には
おすすめのシリーズ。
ちなみに蛇足ですが私はいつか廃墟めぐりがしてみたい。
◆身内に不幸がありまして◆
雑誌〝Story Seller〟に収録されていた同氏の著作と空気感が非常によく似た作品。
美しい大家の女性に仕える少女、というのが今の米澤氏のマイブームなのでしょうか。
と、どうでもいいことは置いといて。
まだ若いのに文章うまいよなあと相変わらず驚嘆。
タイトルセンスも相変わらず抜群。
内容も面白くどんどん読めてしまいましたが、犯人が殺人を犯した理由に
かなりの無理があったような。。。だってむしろ毎年同じ日に身内が死んだってほうが
よっぽど周りの不審を買うだろ←ネタバレにつき薄字で。
オチも、二人が双子というならともかくまったくの他人であそこまでの偶然の一致は
いくらなんでも不自然。小説だからと言われてしまえばそれまでだけど。
でも最後まで結構楽しく読めた。彼の短編なら〝心あたりのある者は〟のほうが
おすすめですが。
◆四枚のカード◆
。。。困ったことに浮かばない、感想らしき感想が。
「へー、そう」としか思えなかった。
序盤の手品のくだりは文章だと把握しづらくてだるいし、
短い話の中に大勢の人間が出てきすぎて、しかも彼らが細かい時間でうろちょろしすぎて
そこのところもだるいし、
犯行動機があまりにバカバカしすぎて(むしろ今の若者はバカで幼稚だとでも風刺してるのか?)
失笑。
しかも語り部はその大バカ極まりない動機を〝犯人の心を蝕む闇〟とか大げさに表現してて
噴飯ものだし(彼は作中で動機を知る術がなかったので仕方ないのかもしれないけど)。
これぐらいのことでいちいち殺人してたら私はいったい何人の人間を殺さなきゃなんないんだよ。
乾くるみ氏は決して嫌いな作家じゃないし、期待していただけに残念。
◆見えないダイイングメッセージ◆
さすが本書のトリを飾るだけあって面白かった!
しかもこの著者、この作家陣の中で最年少なのだからすごい(才能に年齢は関係ないとはいえ、
小説、しかもミステリというジャンルに置いては生きた年数や経験は少なからずそれを左右すると
思うので)。
同じダイイングメッセージネタでも(こう言っちゃ失礼ですが)、乾氏のものとは比較にならない
クオリティの高さ&面白さだった。
突っ込みたい部分はいくつかあったけど。たとえば(ネタバレにつき薄字で)、
☆ダイイングメッセージを書き残してから死ぬように加減して殴る、なんて都合のいいことが
果たしてできるものなのか? そもそも頭を殴ったりしたら思考が飛んでまともにメッセージを
残すなんて発想も頭から消し飛んでしまうのでは?
☆被害者はピアニストでもないのに何故朦朧とした意識の中指紋でメッセージを残すことを
思いつけた? 音楽やっている管理人もあんなもん即座には思いつきません。
☆被害者は息子にやられたことがわかっているのだから、息子が絶対に気づかないやり方で
メッセージを残す可能性もある。そのリスクを息子は考えなかったのか?
。。。まあこれ以上は野暮なのでやめておきます。純粋に楽しまなくちゃね。
レビューは以上!
旬なミステリ作家の魅力発見!最新ベスト10を一気読み!!
結末まで読まずにいられない、美しき謎の数々!
本格ミステリ作家クラブが選んだ2007年のベスト本格ミステリ短編&評論のすべて!
★収録作品★
はだしの親父/黒田研二
ギリシャ羊の秘密/法月綸太郎
殺人現場では靴をお脱ぎください/東川篤哉
ウォール・ウィスパー/柄刀一
霧の巨塔/霞流一
奇偶論/北森 鴻
身内に不幸がありまして/米澤穂信
四枚のカード/乾くるみ
見えないダイイングメッセージ/北山猛邦
***
作品ごとのレビュー。
◆はだしの親父◆
私はてっきり父親も昔クラウン(道化)をしていて、息子たちの心もそれで開いた、というオチを
想像していたのですが(たとえば長男とケンカしたときは道化のメイクをほどこした貌で息子を
追いかけた、三男の飼っている魚の鉢が割れたときは人間ポンプになって飲み込んで家まで
持ち運んだ、とか)結果はまったくあさっての方向だった。
でも落ち着いて考えたら本当にそんなトリックだったらバカバカしすぎたかも。私は喜びますが笑
家族愛をクサくなく描いた秀作。
小ネタの〝キンギョゥバーチィ〟には笑った。
◆ギリシャ羊の秘密◆
主人公たちの推理の過程&オチに多少強引なところがあったものの楽しく読めた。
それにしても、ギリシャ神話の神々の名前ってほんっと覚えにくいよなあ。。。
ラストのトリックはありがち。
◆殺人現場では靴をお脱ぎください◆
主人公が二人とも大金持ちの家系という設定は多少鬱陶しかったものの、
これだけ短い話の中にばらまかれた伏線たちが最後で一気にひとつに収束する様は見事。
作者の力量を感じました(主人公はいったい誰なんだよ? と突っ込みたくなるところは
置いといて)。
ちなみに蛇足ですが、私だったらずかずか平気で歩きます(意味は読めばわかります)。
◆ウォール・ウィスパー◆
長い割りにいまいちパッとせず。。。
犯人の特定方法も、相手が人間という〝動く生き物〟であることと、目撃者が
幼い少女でしかもその目撃記憶自体が数十年前のものであることを踏まえれば
断定にまで踏み切ることは到底無理だし。
全体的にぼんやりとした印象のミステリ。
◆霧の巨塔◆
登場人物全員、知り合いが殺されたっていうのに(いくらミステリにしても)淡白すぎだろ。
でも俳優・真中の見た〝霧の塔〟の正体がわかったときは鳥肌が立ってしまった。
そして泣けた。本当に大きい、大きすぎる塔だよ。。。立派な塔だよ。。。(TT)
でも似たようなトリックがマンガ版〝逆転裁判〟にあったなあ。。。原案の黒田研二氏は
いったいどう思ってるのか。。。(奇遇にも同じこの本に収録されてるし)
◆奇遇論◆
犯人が自分がS駅付近に詳しいことを積極的にアピールするのはアホすぎだと思ったけど
やっぱり連丈那智シリーズは面白い。
初期の那智シリーズより文章から硬さがとれていて読みやすくなっているのもいい感じ。
フィールドワーク(外の世界を歩き回っていろんな事柄について知ること)に興味のある人には
おすすめのシリーズ。
ちなみに蛇足ですが私はいつか廃墟めぐりがしてみたい。
◆身内に不幸がありまして◆
雑誌〝Story Seller〟に収録されていた同氏の著作と空気感が非常によく似た作品。
美しい大家の女性に仕える少女、というのが今の米澤氏のマイブームなのでしょうか。
と、どうでもいいことは置いといて。
まだ若いのに文章うまいよなあと相変わらず驚嘆。
タイトルセンスも相変わらず抜群。
内容も面白くどんどん読めてしまいましたが、犯人が殺人を犯した理由に
かなりの無理があったような。。。だってむしろ毎年同じ日に身内が死んだってほうが
よっぽど周りの不審を買うだろ←ネタバレにつき薄字で。
オチも、二人が双子というならともかくまったくの他人であそこまでの偶然の一致は
いくらなんでも不自然。小説だからと言われてしまえばそれまでだけど。
でも最後まで結構楽しく読めた。彼の短編なら〝心あたりのある者は〟のほうが
おすすめですが。
◆四枚のカード◆
。。。困ったことに浮かばない、感想らしき感想が。
「へー、そう」としか思えなかった。
序盤の手品のくだりは文章だと把握しづらくてだるいし、
短い話の中に大勢の人間が出てきすぎて、しかも彼らが細かい時間でうろちょろしすぎて
そこのところもだるいし、
犯行動機があまりにバカバカしすぎて(むしろ今の若者はバカで幼稚だとでも風刺してるのか?)
失笑。
しかも語り部はその大バカ極まりない動機を〝犯人の心を蝕む闇〟とか大げさに表現してて
噴飯ものだし(彼は作中で動機を知る術がなかったので仕方ないのかもしれないけど)。
これぐらいのことでいちいち殺人してたら私はいったい何人の人間を殺さなきゃなんないんだよ。
乾くるみ氏は決して嫌いな作家じゃないし、期待していただけに残念。
◆見えないダイイングメッセージ◆
さすが本書のトリを飾るだけあって面白かった!
しかもこの著者、この作家陣の中で最年少なのだからすごい(才能に年齢は関係ないとはいえ、
小説、しかもミステリというジャンルに置いては生きた年数や経験は少なからずそれを左右すると
思うので)。
同じダイイングメッセージネタでも(こう言っちゃ失礼ですが)、乾氏のものとは比較にならない
クオリティの高さ&面白さだった。
突っ込みたい部分はいくつかあったけど。たとえば(ネタバレにつき薄字で)、
☆ダイイングメッセージを書き残してから死ぬように加減して殴る、なんて都合のいいことが
果たしてできるものなのか? そもそも頭を殴ったりしたら思考が飛んでまともにメッセージを
残すなんて発想も頭から消し飛んでしまうのでは?
☆被害者はピアニストでもないのに何故朦朧とした意識の中指紋でメッセージを残すことを
思いつけた? 音楽やっている管理人もあんなもん即座には思いつきません。
☆被害者は息子にやられたことがわかっているのだから、息子が絶対に気づかないやり方で
メッセージを残す可能性もある。そのリスクを息子は考えなかったのか?
。。。まあこれ以上は野暮なのでやめておきます。純粋に楽しまなくちゃね。
レビューは以上!
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