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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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もうすぐ世界が変わる。



宿した命を喪った夫婦。思春期の闇にとらわれた少年。愛猫の最期を見守る老人。
それぞれのままならぬ人生の途に「奇跡」は訪れた。
濃密な文体で、人間の心の襞に分け入ってゆく傑作長編。一匹の猫の存在が物語を貫く。

***

今や超売れっ子になってしまったミステリ作家・道尾秀介氏が〝背の眼〟で
第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞したときに大賞を獲得したのが彼女、
沼田まほかるさん。
受賞作〝九月が永遠に続けば〟は人に薦めまくったほどのお気に入りなのですが。。。

どうもこの人の書く女性は性格悪いのが多い。
現実でも小説でも性格悪い人間のほうが一緒にいて面白いし魅力を感じることも
多い私ですが、この著者の場合キャラはただ単に性格が悪いだけで
魅力がない。そこまで性格を悪くする必要性も感じられない。ただひたすら不快なだけ。
一歩間違えば著者の人格がこうなんじゃないかと疑ってしまうほど。
(ちなみに〝九月が~〟もヒロインの性格は最悪なのですが、ストーリーと
周囲の人物に魅力があったので傑作と思えた。続く〝彼女がその名を知らない鳥たち〟も
出てくる男性陣が個性的だからどうにか読むことができた。こっちはオチも衝撃的だったし)

文章は非常にうまく純文学の賞さえ狙えるほどであるにも関わらず、
肝心なところで垢抜けない描写や表現が出てきたりして興醒めすることも少なからず。
第一部の、ヒロインとおっさんが互いにミャーオミャーオ言い合うシーンは
シリアスな場面にも関わらず思わず吹き出してしまったし、
マヌケに感じる擬音のカタカナ表記も相変わらず。
第二部の主人公である少年が、日々の中に絶望を見出すシーンも、
少年の挙動を見ていれば何も言わなくても彼の感じているそれが〝絶望〟であると
読み手には十分に伝わるのに、ラストで父親に「それは絶望だ」と
わざわざ言わせていることも不満(純文学ならまず言わせない。というか純文じゃなくても
言わせないほうが絶対よかった)。

筆致や物語のベクトルが中途半端で、実力はあるのにそういうセンスの面で
損をしている作家さんだよなあと偉そうにも思ってしまう。

第三部の老人と老猫の話はやけにリアルで、三つの話の中では一番よかった。
(まあでもたぶん、著者自身の経験に基づいたものだとは思いますが。
自分が飼っていない限り、猫との暮らしやそれを看取るまではここまで細かく
描写できないだろうし、と老犬を飼っている自分的に思う)
年老いた人間が若い人のエネルギーに精神的にすがろうとする描写も、
自分は老人でないにも関わらずやたら共感できて泣けた。

まあまあの佳作かな、というのが個人的感想です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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