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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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うるせー。自分がかわいくて何が悪いんだ。



生徒の自殺未遂を機に、放課後の職員室は修羅場と化す。
いじめのせい? 教師のせい? 責任転嫁と疑心暗鬼のスパイラルを辿ると、そこには、
世にも性悪な女がいた――。
「トラウマ語り」の欺瞞を鋭くえぐるシリアスコメディ。
2006年度No.1戯曲を決める“演劇界の直木賞”こと第十回鶴屋南北戯曲賞、受賞。

***

戯曲です。小説じゃないので注意。
脚本家をやっている友人に原稿など見せてもらっているうちに興味が湧き、
本谷さんは好きな作家でもあるので手に取った一冊。

文章で抑揚がないぶん、本来なら面白いであろうはずのシーンが白けて感じられてしまったりと
(普段大量に小説を読みまくっているぶんなおさら)ちょっと読み方に工夫がいりましたが、
もし今自分が学生だったら著者の許可を得て有志で演じてみたいなーと思ったり。
本谷さんは本当に〝憎たらしくて歪みまくってて自己中で滑稽な女〟を書くのがうまいので
(しかもそんな女なのに読み進めるうちに何だか憎めなくなってくるからすごい)
本作も〝腑抜けども、悲しみの愛を見せろ〟同様、楽しく読むことができた。

本作のヒロインの持つ感情は、たぶんこの世に生きるほとんどの人が
経験したことのある感情で、でもほかのどの感情よりも自分の中で受け入れ難いもので、
だからこそ本作には誰もが共感し、同時に反発も覚えると思う。
深層心理ガツンガツン揺さぶられます。
こんなにポピュラーな感情なのに、面と向かってそれを描いたのは私の知る限り本作の著者だけ。
だからこその受賞なのではと思う。

「あなたのそれ、病気じゃなくて生まれつきです」
自分の欠点をこう言われたら誰だってめちゃくちゃ怖いよな。逃げ場ないもん。

〝遭難〟の句点は、ヒロインの人生・人間性が〝このまま一片の変わりもなく続く〟ことを
表しているのか、それとも〝しかし・けれど〟といった反意語で別の展開へと拓けていくのか。
私には後者にしか思えませんが、もしも彼女の人生に〝〟がつくとき、それは
どういう〝終わり〟なのか、見届けてみたい気もします。

いやしかし人間て醜いよね笑
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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