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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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それは、自分自身の中の無限。



偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。
そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。
一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。
犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。
超絶の森ミステリィ第3弾。

***

犯人は速攻、トリックはなおさら速攻見破ってしまったけど、
なかなかに壮大で爽快感のある物語だった。
シリーズ前作〝冷たい密室と博士たち〟よりは筋立てもシンプルで読みやすかったし。
ただ、物語の要となる天才が部屋にこもって出てこないっていうのは
ちょっと〝すべてがFになる〟とかぶってて新鮮味がなかった。
そして本作のトリック、そんな十何年も誰も見破れないはずがないし。
名探偵なんか来なくても、普通の人がちょっと考えたら一発でわかる。
ただ、著者がそのトリックの着想を得た対象があまりに深遠かつ巨大なものなので、
そこらへんは「ああ、うまく繋げたなあ」と唸らされた。

その他ちっちゃい突っ込みを入れるなら、
萌絵が作ったサンドイッチが作中であまりに不自然で浮いていることと、
皆やたらと微笑みすぎ(特に犀川)。微笑む以外に動きのバリエーションを増やしてください、
森先生。

ラスト一行はすごく好きです。
〝彼〟が、〝内側〟の世界に入っていくという心境の変化を見せたところも。
森作品は、登場人物が読者に馴れ合ってこず、いい意味で突き放してくるから好き。

ちなみに本作、引きこもりの人は読んだら元気づけられるかも。
(伊坂幸太郎氏も〝陽気なギャングが地球を回す〟で似たようなこと書いてたけど)

蛇足だけどそういえば、神様ってキリストを初めあんまり笑わないよなー。
(仏様は薄っすら笑ってるけど)
何かの頂点を極めた人は笑わないんだろうか。だったら極められる能力と器があっても
極めたいとは思わない。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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