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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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貴方がいた、という記憶だけを残して。



得意客ぐるみ慰安旅行としゃれこんだ喫茶店〈北斎屋〉の一行は、
瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島へ。
かつて新興宗教の聖地だった島に、波瀾含みのメンバー構成の男女八人が降り立つ。
退屈する間もなく起こった惨事にバカンス気分は霧消し、やがて第二の犠牲者が……。
孤島テーマをモダンに演出し新境地を拓いた、第四回鮎川哲也賞受賞作。

***

時折出てくる精神論や文体がよしもとばななを彷彿とさせる、
いかにも若い女性が書いた作品、といった感じだったけど(本作受賞時、著者は24歳)、
ミステリ小説としての骨格は非常にしっかりとしていて、そこにそういった
巧妙な人間ドラマが組み合わさることで、読み終えたあとトリックだけが頭に残って
キャラクターは速攻頭から消え去ってしまうようなお決まりの本格推理ではなく、
恋愛小説や純文学としても読めるような深みのある物語に仕上がっていた。
まあクライマックスでオチはほとんど読めてしまうんだけど、それでも十分に堪能できた。

ただ、’93年に出版された本にしてはカタカナ表記がやたら古臭く(たぶん狙ってるんだろうけど)
〝モォタァボォト〟とか出てきたときは一瞬本を閉じそうになった(すぐに慣れたけど)。
森博嗣氏よりすごいカタカナを使う人を初めて見た(森氏の著作に〝ディナ(Dinner)〟って
表記が出てきたときも思わず本を閉じそうになったなあそういえば。。。)。

トリックは割かしシンプルなので、推理小説初心者や、ミステリマニアでも
たまには初心に帰りたいと思っている人におすすめ。

それにしてもこの年の鮎川哲也賞の予選通過者すごすぎる。
西澤保彦に貫井徳郎。。。そうそうたる顔ぶれ。
ちなみに本作の著者・近藤史恵さんと共に最終候補に残った
貫井氏の〝慟哭〟は書籍化されてます。
こっちもかなりおすすめなので是非。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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