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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「蘇りつつあるのよ。三世紀がね」

 

若き考古学者・葦原志津夫は、前代未聞の土偶を発見したとの報を受け、
茨城県の石上遺跡へと向かった。
しかし、現場には無惨な焼死体が転がっており、情報提供者とも連絡が取れなくなってしまう。
彼は十年前に行方不明になった志津夫の父に関する情報も手に入れていたようだった。
志津夫はわずかな手掛かりを頼りに調査を始めるが、徐々に、この事件が
人類を破滅へと導く幕開けであることに気づかされる…。
前人未到のスケールでおくる、傑作サイファイ・ホラー。

***

初めて書店で見かけて以来、もう10年以上も前から「いつか読もう、いつか読もう」と
思いつつ何だかんだでここまで来てしまった一作。
〝ダヴィンチ・コード〟ならぬ〝ヤマタイ(邪馬台国)・コード〟とでも言うべき作品です。
科学+ホラー+SFなところが〝パラサイト・イヴ/瀬名秀明〟や〝ISOLA/貴志祐介〟に
似ているので、これらが肌に合う人は読んでいて楽しいのではと思う。
ただ、本作のクライマックスはホラーやSFというよりは最早RPGゲームの勢いなので(だって
普通にラスボス戦とかあるし、キャラがほぼ全員特殊能力持ってるし)、
読む人によっては馬鹿馬鹿しいと途中で本が壁に直行かもしれません。
大昔の日本にまつわる謎を著者が独自の観点で解き明かしている点も、
非常に興味深く読めはするのですが、「いくら何でもそりゃないだろ」という論理も展開されるので
頭が柔らかくない人には正直おすすめしません。
あと、蛇が苦手な人も本作はひかえたほうがいいです。
蛇がそこまで苦手じゃない私も、作中のウロコの表現にはじんましん出そうになったので。

全体に駄作ではないし取り上げているテーマもいいとは思うのですが、
この著者は物語の書き方にかなり癖があるので(といっても文章が読みづらいといったような
癖ではなく、読んでいて鬱陶しい&イライラするような癖)、
手にとるには注意が必要(何といっても上下巻二段組みでトータル800Pをゆうに超すので)。

★主人公の性格がムカつく(女好き、その女にすぐ騙されるバカ、自己中、ガキ、ビビリ、
とにかく普通に性格悪い)。
★同じ表現が何度も何度も出てくる(語彙が少ないのか、もうほんと同じ表現が頻発。
作中のヒロインを描写する際の〝可愛い丸顔〟なんて数十回は余裕で出てくる。
「わかったからもういいって」と言いたくなる。なんか山田悠介の〝リアル鬼ごっこ〟の
〝豪華〟〝真っ暗〟の連発を彷彿とさせた←これらについて詳しくはこちら)。
★矛盾多し(とんでもない超能力が幼少時から発現した子供は村から追い出されて
一生遠い土地で暮らす、って決まりはおかしい。「村の存在を知らないほうが超能力が
発現する確率が低い」とか言ってるけど、実際ふとしたきっかけで発現してる人が二人もいるし
そうなったときは村ぐるみでかくまったほうがよっぽど安全。そのあたり意味不明)。
★くだんの身勝手主人公が自分で勝手に不幸に陥っておいて、なのにあとになって
そんな自分の不幸を呪い、何とかそこから脱しようとする展開が馬鹿馬鹿しくて
正直同情する気にならない。

上記に耐えられそうもない人は読まないことを推奨します。
あと映画の〝ハムナプトラ〟のあのサソリ男(スコーピオン・キング)に
ビビるのではなく失笑を漏らした人にもおすすめしません。
要するに(論理がしっかりしている部分もたくさんあるのですが)基本的にはB級ホラーです。

まあそれなりに面白かったけどね。

miwa.jpg








三輪山。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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