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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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うずまくような光の中に。



平均年齢世界最高齢! 梅が岡交響楽団!!

老人ばかりで構成された平均年齢世界最高齢のアマ・オーケストラ
「梅が岡交響楽団」(略称・梅響)に、ひとりの高校教師・中島が
間違って入り込んでしまうところから物語は始まる。彼は、全く演奏など論外のはずの
ど下手くそな「オケ老人」たちのなかで勿論一番若く、力も備わっていると目され、
いきなり指揮者になってくれと皆から懇願される。
その後、彼が本当に門を叩きたかった同じ町にある人気のアマオケ
「梅が岡フィル」(略称・梅フィル)との確執、
梅フィルの怜悧で完璧主義のコンマス・大沢が熱望する
ロシアの人気指揮者・ゴルゴンスキーの来日騒動などを経て、
日本・ロシアの国家機密の情報漏洩にまで話は大きく展開していくが――。

***

小説すばる(及びすばる系文学賞出身作家)。
音楽話(天使にラブ・ソングを…、のだめカンタービレ、スウィングガールズetc.)。

のうちどちらかが(もしくはどちらも)好きな人は絶対にハマること請け合い。
タイトルは一歩(というか一文字)間違えたらヤバいですが(笑)、その名の表すとおり、
老人たちの面白オーケストラ話。
クライマックスまでは割りと地味に話は進みますが、著者の構成力・文章力が
非常にしっかりしているので、安心して物語世界に入り込めます。
それにまあ中盤までが地味だからこそ、ラストの演奏シーンがものすごく迫ってくるって
いうのもある。正直泣きそうになってしまった。
文章なのに音楽が聴こえてきました、はっきり。

(すばる繋がりで)〝小説すばる新人賞〟でデビューした荻原浩氏の著作
あの日にドライブ〟で、
「人の人生を甘く見てはいけない」的な一文が出てくるのですが、本作も
最初は愚にもつかないヨボヨボ集団にしか見えなかった老人オケメンバーたちが
実はそれぞれに悩みや葛藤、そして何より圧倒的な個性や魅力を持っていることが
徐々にわかってきて「歳とるのも捨てたもんじゃないな」と思わせてくれる。
こういう老人たちがもっと増えれば、若い子たちが将来を悲観することもきっと
なくなるに違いないのにな。

出てくる人物が皆魅力的で、それぞれの人生も丁寧に書き込まれていて、
非常に読み応えのある一冊です。
映画化してほしいなー。絶対ヒットすると思う。

あ、でもラストの〝マトリョーシカの中身〟のオチには納得いかなかった。
中身に入ったメモの解釈の仕方も無理がありすぎだし、何より解釈した人物が
この小説で唯一嫌いな人物だったせいで余計「ふざけんな」と思ってしまった。
ヤツさえ出てこなければ最高の小説だったのにな。ち。

でもとにかくおすすめ。是非読んでみてください。



そういえば余談ですが実在しました、
ダイコン笛。いい感じ。是非ダイコン協奏曲吹いてみてほしい。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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