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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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それでも生きることを引き受けるなら。



傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。
いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。

***

映画を先に観てしまったもので多少そちらと比較するようなレビューになりますが。。。

純文学といっても通用する絶妙な表現の文章。
若い女性が書いたといっても少しも違和感のない女子高生の主人公・ワラをはじめとする
若者たちの巧みな心理描写。
人が傷ついた場所に包帯を巻く、という設定の斬新さ。
どれをとっても非常によくできた小説だと思う。
ラストも思わず「あらあら。。。」と(中年おばさんのようですが)ほくそ笑んでしまうような
終わり方だし。

ただ、〝包帯巻き〟という行為の発案者であるディノのキャラは
圧倒的に映画のほうが上だった(柳楽優弥の存在感と演技力のたまものなのかも
しれないですが)。
なので映画を観たあとだとちょっとディノのインパクトが弱い感じ。
ディノが抱える傷の癒し方も、原作より映画のエピソードのほうが断然よかった。
ディノはこの物語の全体を支える一番大きな存在であるだけに、原作ではそれが惜しい。

個人的には映画を観たあと本書を手に取ることをおすすめします。
映画が登場人物それぞれの〝現在〟だけを切り取って描いているものであるのに対して、
原作のほうは彼らの〝その後〟まで描かれているので、それを知らない状態で映画を観て
そのあと本作を読んで「こいつらはこうなったのか、なるほどねえ」とニヤつくもよし、
敢えて読まずに己の想像に身を委ねるもよし←あ、それじゃ本の紹介にならないか。

それにしても人間は自分の傷を隠すのがうまいものです、つくづく。
少しはさらして信頼できる誰かに傷口を舐めてもらわないと化膿しちゃうのにな。
いや、人間には言葉があるんだから、ワラが作中で言っているように
自分の痛みを〝知ってくれている〟、ただそれだけでもいいんです。

なまらおすすめ。



主観だけど本作が好きな人は〝リリイ・シュシュのすべて〟も好きかもしれない。
映画版は動画サイトで観れてしまったりするので興味のある方は是非。
小説版はこちら↓

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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