きっとここに帰ってくる。
法で猟を規制され不満を募らせるハンターたち。
密猟でもいい。「害獣」を殺して欲しいと願う農家。
ヒステリックに動物愛護を叫ぶ団体。
親の利害関係が生み出した子供の苛め。
どうせエリートの腰掛け人事、と冷ややかに自分を見る部下。
そして、人間を餌にし始めた巨大野生動物。
心の闇が生み出した死亡事件。
──そんな四面楚歌の地に、男は孤独癖のある娘と二人でやってきた。
南アルプスの一見自然溢れ平和に見える小さな町を舞台に、
相容れぬ者が共に生きることを目指し前進する「普通の男」の葛藤と闘い。
凄まじいアクションシーンとやるせないヒューマニズムが融合した、
興奮と感動の書下ろし一大巨編!
2009年度、第二十七回日本冒険小説協会大賞受賞作。
***
ヘラヘラチャラチャラした人が多い今の世の中、
物語とはいえ久々に、矜持を持った人間というものを見せてもらった気がした。
本作はたとえるなら〝ハリウッド映画〟+〝もののけ姫〟。
迫力ある描写に息を飲む展開、けれどやや作りが単純で粗も目立ちオチも読めてしまう。
けれどそんな部分を〝もののけ姫〟的深いテーマが補ってくれている、そんな印象を受けた。
よりによって著者が一番言いたいこと、掘り下げて書きたかっただろう部分ばかりが
皆陳腐な表現になってしまっていたのはもったいないと思ったけれど、
500Pを超す長編であるにも関わらず、読んでいてだれるようなところは一箇所もなかった。
エンターテインメントとしては秀逸の作品だと思う。
特に(私もそうなのですが)
「人間はクマやイノシシを害獣害獣言うけどあっちから見たらこっちがそうだろ」と
常に思っている人間には本作はかなり共感できるので是非読んでほしい。
どうしてこうも人間ばかりが偉そうにのさばっているのか。
ほかの生き物よりほんのちょっと脳みそでかいだけの同じ動物なのに。
読んでいて改めて憤りを感じた。
人間(バカ)は死ななきゃ直らないだろうから私は人間の絶滅をだいぶ前から願ってますが、
こういう風に動物と関われるなら人間も動物もきっと少しは救われるはず。
そう思わせてくれる物語だった。
敢えて難を言うなら、じいちゃんとクマはもうちょっと活躍させてほしかったな(回想でもいいから)。
物事はそううまくは運ばないよ、という世の無常を描きたかったのかもしれないけど、それにしても
あまりにあっけなさすぎたので。
そして主人公、決して嫌いじゃないんだけど、ちょっとだけフェミニストすぎ。男性の無礼には
憤るくせに、女性の無礼は意にも介さない。そして鈍い。殺人事件の真相に気づくの遅すぎ。
殺人事件といえば、あの殺害方法じゃ明らかに警察にバレます。山梨県警何してたんだ?
最後に、マックのストローは曲がらない。
と、何だかんだ書いたけどおすすめです。
似た内容の〝シャトゥーン〟には皆さん決して手を出さないように(読後壁に全力投球しました)。
オマケ:
クマのブラフチャージ。0:15あたりから一度だけ見れます。
法で猟を規制され不満を募らせるハンターたち。
密猟でもいい。「害獣」を殺して欲しいと願う農家。
ヒステリックに動物愛護を叫ぶ団体。
親の利害関係が生み出した子供の苛め。
どうせエリートの腰掛け人事、と冷ややかに自分を見る部下。
そして、人間を餌にし始めた巨大野生動物。
心の闇が生み出した死亡事件。
──そんな四面楚歌の地に、男は孤独癖のある娘と二人でやってきた。
南アルプスの一見自然溢れ平和に見える小さな町を舞台に、
相容れぬ者が共に生きることを目指し前進する「普通の男」の葛藤と闘い。
凄まじいアクションシーンとやるせないヒューマニズムが融合した、
興奮と感動の書下ろし一大巨編!
2009年度、第二十七回日本冒険小説協会大賞受賞作。
***
ヘラヘラチャラチャラした人が多い今の世の中、
物語とはいえ久々に、矜持を持った人間というものを見せてもらった気がした。
本作はたとえるなら〝ハリウッド映画〟+〝もののけ姫〟。
迫力ある描写に息を飲む展開、けれどやや作りが単純で粗も目立ちオチも読めてしまう。
けれどそんな部分を〝もののけ姫〟的深いテーマが補ってくれている、そんな印象を受けた。
よりによって著者が一番言いたいこと、掘り下げて書きたかっただろう部分ばかりが
皆陳腐な表現になってしまっていたのはもったいないと思ったけれど、
500Pを超す長編であるにも関わらず、読んでいてだれるようなところは一箇所もなかった。
エンターテインメントとしては秀逸の作品だと思う。
特に(私もそうなのですが)
「人間はクマやイノシシを害獣害獣言うけどあっちから見たらこっちがそうだろ」と
常に思っている人間には本作はかなり共感できるので是非読んでほしい。
どうしてこうも人間ばかりが偉そうにのさばっているのか。
ほかの生き物よりほんのちょっと脳みそでかいだけの同じ動物なのに。
読んでいて改めて憤りを感じた。
人間(バカ)は死ななきゃ直らないだろうから私は人間の絶滅をだいぶ前から願ってますが、
こういう風に動物と関われるなら人間も動物もきっと少しは救われるはず。
そう思わせてくれる物語だった。
敢えて難を言うなら、じいちゃんとクマはもうちょっと活躍させてほしかったな(回想でもいいから)。
物事はそううまくは運ばないよ、という世の無常を描きたかったのかもしれないけど、それにしても
あまりにあっけなさすぎたので。
そして主人公、決して嫌いじゃないんだけど、ちょっとだけフェミニストすぎ。男性の無礼には
憤るくせに、女性の無礼は意にも介さない。そして鈍い。殺人事件の真相に気づくの遅すぎ。
殺人事件といえば、あの殺害方法じゃ明らかに警察にバレます。山梨県警何してたんだ?
最後に、マックのストローは曲がらない。
と、何だかんだ書いたけどおすすめです。
似た内容の〝シャトゥーン〟には皆さん決して手を出さないように(読後壁に全力投球しました)。
オマケ:
クマのブラフチャージ。0:15あたりから一度だけ見れます。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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