「不在」だけが、本当なのだ。
時間のねじれた村と大学街を往還する「わたし」の生活誌。
村と街のあいだにある計りきれない距離と時間を、繊細極まる文で綴る。
表題作ほか、「冬待ち」の全2作品を収録。
***
〝言葉〟というものに、とてもこだわる作家さんだと思う。
文章表現が凝っているという意味じゃなく、
〝言葉〟について常に深く考え、哲学している人に思える。
語れば語るほど、自分が口にするその対象が薄っぺらくなっていってしまう、
マガイモノになってしまう、その概念は例えるなら、
役者やミュージシャンの人気が上がれば上がるほど、そして
多くの人間がその存在について語るほど、
彼らが俗物化していく、本当の姿が見えなくなる、
その感覚に近い気がする。
私は常に物語を書いている人間なので、そういう感覚は
自分の脳内にあるキャラクターやストーリーを
文字にしてパソコンの画面上に打ち出したときに一番感じる。
頭の中では完璧だった物語や人物たちが、一文字一文字キーボードで打ち出すたびに
本来あるべきはずの姿からどんどんかけ離れていく。
下手をすると二度と手の届かない場所へ消えてしまう。
あのもどかしさと喪失感を思い出させられた小説だった。
現実にはあり得ないファンタジックな世界観に設定することで、
そういった〝大切なものを自分の手でニセモノにしてしまう、ときには失ってしまう悲しみ〟を、
著者は童話のように柔らかく、直感的に語りかけてくる。
おすすめです。
(二作目〝冬待ち〟は少し文章に気合が入りすぎというか気取りすぎな表現が目立ちますが
こちらも表題作とは違った味わいがあります。
どちらの話も、主人公が同性の友人に異常なまでの執着心を見せるのは
著者の心情の反映なのかな?
確かに女の友情は基本的には孤独であてにならないものだけど。。。)
時間のねじれた村と大学街を往還する「わたし」の生活誌。
村と街のあいだにある計りきれない距離と時間を、繊細極まる文で綴る。
表題作ほか、「冬待ち」の全2作品を収録。
***
〝言葉〟というものに、とてもこだわる作家さんだと思う。
文章表現が凝っているという意味じゃなく、
〝言葉〟について常に深く考え、哲学している人に思える。
語れば語るほど、自分が口にするその対象が薄っぺらくなっていってしまう、
マガイモノになってしまう、その概念は例えるなら、
役者やミュージシャンの人気が上がれば上がるほど、そして
多くの人間がその存在について語るほど、
彼らが俗物化していく、本当の姿が見えなくなる、
その感覚に近い気がする。
私は常に物語を書いている人間なので、そういう感覚は
自分の脳内にあるキャラクターやストーリーを
文字にしてパソコンの画面上に打ち出したときに一番感じる。
頭の中では完璧だった物語や人物たちが、一文字一文字キーボードで打ち出すたびに
本来あるべきはずの姿からどんどんかけ離れていく。
下手をすると二度と手の届かない場所へ消えてしまう。
あのもどかしさと喪失感を思い出させられた小説だった。
現実にはあり得ないファンタジックな世界観に設定することで、
そういった〝大切なものを自分の手でニセモノにしてしまう、ときには失ってしまう悲しみ〟を、
著者は童話のように柔らかく、直感的に語りかけてくる。
おすすめです。
(二作目〝冬待ち〟は少し文章に気合が入りすぎというか気取りすぎな表現が目立ちますが
こちらも表題作とは違った味わいがあります。
どちらの話も、主人公が同性の友人に異常なまでの執着心を見せるのは
著者の心情の反映なのかな?
確かに女の友情は基本的には孤独であてにならないものだけど。。。)
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kovo
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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