忍者ブログ
読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
[157]  [156]  [155]  [154]  [150]  [148]  [147]  [146]  [145]  [144]  [143
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

あなたの前にいた、私を信じて。



唯一の肉親であった祖母を亡くし、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に
同居することになったみかげ。
日々の暮らしの中、何気ない二人の優しさに彼女は孤独な心を和ませていくのだが…。

★収録作品★

 キッチン 
 満月――キッチン2
 ムーンライト・シャドウ

***

いくら才能に年齢は関係ないとはいえ。。。
父親も有名な作家とはいえ。。。
どうして二十代前半の人間が、ここまでクオリティの高いものを生み出せるのか心底不思議。
〝ムーンライト・シャドウ〟なんて、ばななさんの日芸時代の卒業制作ですよ。なのにこの出来。
もちろん「うわーまだ文章が若いなあ。。。」と思うような部分はたくさんありますが、
その若さ故の拙さ・粗さが逆に無邪気な魅力となって読むものの心に訴えてくる。
ラブストーリーアレルギーの私ですら、〝ムーンライト・シャドウ〟には泣きましたよ。
それはもちろん物語のテーマが、恋愛を超えた、そして恋愛よりなお深い人と人の間の絆に
あるからではあるのですが。

〝キッチン〟〝満月〟は、ちょっと主人公に都合のよすぎる(そして少女マンガ的すぎる)
展開が目立つため私の中では〝ムーンライト~〟ほど評価は高くないのですが、
それでも要所要所にどきりとする台詞や表現があってページを繰るたびにはっとさせられる。
ばなな作品の恋愛は、恋人=最高の理解者、という解釈で人間が描かれることが多く、
それは現実世界では極めて難しいことではあるのですが、彼女が書くと少しも違和感がなく、
「ああ自分もいつかそういう人間と巡り合いたい。よし、探そう」という気に自然とさせてくれる。
どんと背中を押すのではなく、ぽんと肩を叩いてくれる、そんなさり気なさで
読む者をして前へ進む力を与えてくれる物語です。

ああそれにしても、オカマの父親・えり子さんの最後の台詞が印象的だ。
マヌケなほどにあっけらかんと、それでいてすごく格好いい。
本作の男キャラ、えり子さん&柊の恋愛の仕方はひどく偏執的で歪んでいるけど、
それはかなり素晴らしい歪み方だよなあと思う。
はたから見る分には憧れる。
自分がそんな風に愛されたら「頼むからやめてくれ」と泣いて頼むけど。
だってあまりに切な過ぎるし。
PR
この記事へのコメント
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※チェックを入れると管理者へのみの表示となります。)
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
Copyright © 【イタクカシカムイ -言霊- 】 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
忍者ブログ [PR]