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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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〝森は青く深い……眠りに就くにはまだ遠い〟



前作『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社)で推理作家協会賞を受賞、さらに
「このミステリーがすごい!2007年版」で第1位となるなど、
小説界の話題を席巻した異才の第二短編集。
テレクラで売春する女たちを殺して皮を剥ぐ快楽殺人者たちを主人公にした表題作をはじめ、
吸血鬼、食人鬼、人狼がこの最低な世界に跋扈する!
想像力と表現の限界に挑み続けた戦いの成果、7編を収録。

★収録作品★

 テロルの創世
 Necksucker Blues
 けだもの
 枷
 それでもおまえは俺のハニー
 或る彼岸の接近
 ミサイルマン

*** 

グログロなのにどこか洒落ている、そんな不思議な世界観を描ける個性派の作家さんです。
脳みそのどの部分使ったらそんな発想が湧くの? と、〝枷〟を読んだときなどには
心底著者に訊いてみたくなったほど。
〝テロルの創世〟で描かれている、ミステリ作家が割りと話に取り入れがちな〝クローン〟ネタも、
平山氏の場合はひねりが効いていてオチにもおっと意表をつかれる。
全体にどこかゲーム的なにおいが漂っているものの決して子供向けというわけじゃなく、
何かの深遠に触れるような、静かで寂しい心地よさの中に読み手の心を誘ってくれる。

ただ一つ惜しむらくは、著者自身無意識なのか自覚的なのかはわからないけど、
あまりに奇を衒い過ぎて上滑りしている作品もあったりすること。
せっかくもともと持っている独創的な感性を不必要にごてごてと飾り立ててしまっているようで、
「素のままで十分なのに。。。」と、厚化粧をしている美人を見てしまったときのような気分になる。
前作〝独白するユニバーサル横メルカトル〟では〝すさまじき熱帯〟に、
本作では表題作〝ミサイルマン〟に、そんな印象を持ってしまった。
もっとシンプルでいいのにな、と(ただ、〝ミサイルマン〟のラストシーンだけは、あまりに凡庸に
過ぎて「そここそをもっと奇抜な展開にしてよ」と突っ込みましたが)。

本作を読む人は、BGMに是非これをどうぞ。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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