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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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お願い、こないで。



私は、自分が生き残るために両親と姉を殺しました。
構想五年、執筆三年、今世紀最大の犯罪と言われる連続監禁殺人事件をモチーフにした、
「新堂冬樹史上最悪の問題本」のベールが、ついにはがされる。

***

実際に起きたこの事件を元に書かれた半ばノンフィクションである本作。
文章が読みやすいので二日で読破してしまったけれど、
内容は首を捻らざるを得ないものだった。

まず、展開があまりに単調。
主犯の男・富永が人質に婉曲に虐待または殺人を命令、
それに従う人質たち、
それを見て「ああ何てことを」と罪逃れのために嘆く振りをする富永、
全体を通してこれの繰り返し。
同じ台詞や文章表現がこれでもかと出てきたりもするし、
著者のプロとしての文章力にかなり疑問をおぼえた。

あとは拉致された(といっても逃げようと思えばいつでも逃げられる)人間たちが
ことごとく富永に簡単に洗脳されすぎ。
そりゃ何年もかければ精神的に束縛されて相手に逆らえなくなるだろうけど、
捕まって数日であっという間に相手の言いなり。
それ以外にもあまりに富永にとって都合のいい展開が続くし(女たちが揃いも揃って
富永の性奴隷になるし、もっと富永と渡り合えるはずの男性陣があっという間に心折れちゃうし)。
あまりにリアリティがなさすぎ。本作が実際の事件を元にして書かれたものなら尚更。

富永と最初に出会う貴子は単にストックホルム症候群に陥ったのか
それとも厳格な父親の元で縛り付けられるように育ったせいで
誰かに束縛されていなければ人生をわたっていけなかったのか、
どちらにせよいい歳して情けなさ過ぎると思う。
これは相手に虐げられる恐怖で正常な判断力を失っていたのではなく、
単に強烈な依存心からこの凄惨な事態を打開できなかっただけだとそう思う。
(まあだからこそあのラストなのでしょうが)

新堂氏はそろそろノンフィクションを元にフィクションを書くのはやめて
新境地を開拓すべきだと思う。
あっという間に読めたのはある意味それだけ内容が薄っぺらだったということでもあるし。

あまりおすすめしません。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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