この世界に繋ぎとめて欲しい。
「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。――自殺、するんだ」
「誰が、自殺なんて」
「それが――きちんと覚えてないんだ。自殺の詳細」
不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつかは、
これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすならと
“放課後の名前探し”をはじめる――。
青春ミステリの金字塔。
***
先日観たニュース番組で、ストーカーに恋人を殺された男性が
マスコミのインタビューに答えてたのですが、
その受け答えがあまりに淡白なので「こんなもんかなぁ。。。」と違和感があったのですが、
改めて考えてみると〝自己陶酔号泣野郎〟よりはよっぽどましだなと結論付けた次第。
人は自分の近しい人の不幸を自分の中に取り込んで、それに泣いたり憤ったりしてみせることで
自己陶酔ワールドに入り込んでしまう。
よく急死した人の恋人とかのブログ等を見ると「ポエムなの?」と突っ込みたくなるような文章が
多いけど、それもその自己陶酔の一環。
自分が今まで付き合ってきた相手もそういう人ばかりだったので、
本作の〝彼〟が〝彼女〟に惚れてしまうのはかなり頷けてしまった。
自分の不幸を己の人生をドラマチックにするための手段として利用する人じゃなく、
ちゃんと痛みをわかってくれる人、わかろうとしてくれる人と私はいたい。
本作、ミステリというよりはほとんど青春小説ですが、
それが終盤で一気に翻るので青春小説・ミステリ小説どっちが好きな人にもおすすめ。
ただ、ちょっと(いやかなり)登場人物たちがやりすぎな気がしましたが。。。
あそこまでやられたら自分なら感謝の念より怒りが若干勝る。ていうか
本作を本当にいじめられてる子が読んだらかなりの高確率で壁に本ぶん投げると思う。
秀人&椿のカップリングも、何か生理的に受け付けなくて出てくるたびにうんざりした。
そして本作の舞台のような田舎だか拓けてるのかわからない土地に住んでる私ですが、
そういう場所で起こる諸問題をつらつら書いてるのもあまりストーリーに関係ない気がして(&
普通に面白くなく)「このへんの描写削って一冊にまとめてくれよ」と思った。
あとひとつ苦言を言うなら、ラスト一行、ヒロイン・あすなのキャラがあのひと言で
ガラっと変わってしまって興ざめ。
いくらそれまでにいろいろあったとはいえ、突然相手の呼び名をあんな風に一足飛びで
変えるキャラじゃないだろ。最後の最後でキャラ変わる登場人物なんて初めて見たよ。
それまではいい感じだっただけに違和感&残念。
(まあ、それを抜きにしても、ちょっとしたミスで死ぬほどの罪悪感を感じたりと(克服はしますが)
完璧主義過ぎて引くところもありますが、こういうキャラ設定はこの話だけじゃないしなー
この作者の場合。。。「どうしてそこまで神経質になるの?」ってキャラがほんと多い。
神経質が昂じてノイローゼにまでなっている自分から見てもそう思えるんだから相当だと思う)
ところで著者の辻村さん、今回は珍しく文体がライトでしたが、
この人は初期のころの淡々と静かな筆致のほうが実力を発揮できる人だと思う。
少なくとも私はそっちのほうが好き。
ちなみに本作のコンセプト、どことなく彼女のデビュー作〝冷たい校舎の時は止まる〟に
似てますが、中身はまったくの別物なので〝冷たい~〟既読の人も大丈夫です。
個人的に、今まで読んだ辻村作品の中ではあまり感銘を受けない作品だったな。
ドビュッシー〝アラベスクNo.1〟。この曲聴くとどうしてもリリィ・シュシュを思い出すな。。。
「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。――自殺、するんだ」
「誰が、自殺なんて」
「それが――きちんと覚えてないんだ。自殺の詳細」
不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつかは、
これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすならと
“放課後の名前探し”をはじめる――。
青春ミステリの金字塔。
***
先日観たニュース番組で、ストーカーに恋人を殺された男性が
マスコミのインタビューに答えてたのですが、
その受け答えがあまりに淡白なので「こんなもんかなぁ。。。」と違和感があったのですが、
改めて考えてみると〝自己陶酔号泣野郎〟よりはよっぽどましだなと結論付けた次第。
人は自分の近しい人の不幸を自分の中に取り込んで、それに泣いたり憤ったりしてみせることで
自己陶酔ワールドに入り込んでしまう。
よく急死した人の恋人とかのブログ等を見ると「ポエムなの?」と突っ込みたくなるような文章が
多いけど、それもその自己陶酔の一環。
自分が今まで付き合ってきた相手もそういう人ばかりだったので、
本作の〝彼〟が〝彼女〟に惚れてしまうのはかなり頷けてしまった。
自分の不幸を己の人生をドラマチックにするための手段として利用する人じゃなく、
ちゃんと痛みをわかってくれる人、わかろうとしてくれる人と私はいたい。
本作、ミステリというよりはほとんど青春小説ですが、
それが終盤で一気に翻るので青春小説・ミステリ小説どっちが好きな人にもおすすめ。
ただ、ちょっと(いやかなり)登場人物たちがやりすぎな気がしましたが。。。
あそこまでやられたら自分なら感謝の念より怒りが若干勝る。ていうか
本作を本当にいじめられてる子が読んだらかなりの高確率で壁に本ぶん投げると思う。
秀人&椿のカップリングも、何か生理的に受け付けなくて出てくるたびにうんざりした。
そして本作の舞台のような田舎だか拓けてるのかわからない土地に住んでる私ですが、
そういう場所で起こる諸問題をつらつら書いてるのもあまりストーリーに関係ない気がして(&
普通に面白くなく)「このへんの描写削って一冊にまとめてくれよ」と思った。
あとひとつ苦言を言うなら、ラスト一行、ヒロイン・あすなのキャラがあのひと言で
ガラっと変わってしまって興ざめ。
いくらそれまでにいろいろあったとはいえ、突然相手の呼び名をあんな風に一足飛びで
変えるキャラじゃないだろ。最後の最後でキャラ変わる登場人物なんて初めて見たよ。
それまではいい感じだっただけに違和感&残念。
(まあ、それを抜きにしても、ちょっとしたミスで死ぬほどの罪悪感を感じたりと(克服はしますが)
完璧主義過ぎて引くところもありますが、こういうキャラ設定はこの話だけじゃないしなー
この作者の場合。。。「どうしてそこまで神経質になるの?」ってキャラがほんと多い。
神経質が昂じてノイローゼにまでなっている自分から見てもそう思えるんだから相当だと思う)
ところで著者の辻村さん、今回は珍しく文体がライトでしたが、
この人は初期のころの淡々と静かな筆致のほうが実力を発揮できる人だと思う。
少なくとも私はそっちのほうが好き。
ちなみに本作のコンセプト、どことなく彼女のデビュー作〝冷たい校舎の時は止まる〟に
似てますが、中身はまったくの別物なので〝冷たい~〟既読の人も大丈夫です。
個人的に、今まで読んだ辻村作品の中ではあまり感銘を受けない作品だったな。
ドビュッシー〝アラベスクNo.1〟。この曲聴くとどうしてもリリィ・シュシュを思い出すな。。。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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