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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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そのなんの変哲もない一瞬に。



2033年、人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人。
しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。
世界的英雄となった明日人を巻き込む人類史を揺るがす秘密とは?

***

群像劇?
エスピオナージ?
恋愛モノ?
人間ドラマ?
物語としてどうこうして以前に、ジャンルとしての着地点が見えない物語だった。
あらゆる要素のごった煮で、どれも味が中途半端。
登場人物の台詞は政治家たちを抜かしても演説&説明口調ばっかりで
読んでてうんざり気味になったし。
はっとするエピソードがあるかと思えば肝心な部分は昼ドラみたいにチープだったりと
物語のクオリティにムラがあるのも何だかな。。。
そもそも物語の舞台がアメリカで登場人物もほとんどアメリカ人だから
どうにも感情移入しづらい(翻訳ものをよく読む人にはいいのかもしれないけど)。
著者の言いたいことを掴めないまま、気づけば読み終えてしまっていた。

前作〝決壊〟に比べて、三人称の文章は格段にうまくなっててびっくり(と、
芥川賞作家に向かってこんなこと言うのも偉そうだけど、
純文学から僅かに娯楽小説にシフトした上記作の三人称文体は
冗談抜きでひどかったので。。。)。

何だろう、敢えて読み取れたとすれば、陳腐だけど
〝時代が移り変わっても人間の愚かさは変わらないけど、
同時にいい部分も変わらないよ〟
そういうことかな、あのラストシーンを読んだ限りでは。

ラストシーンといえば、最後に主人公夫婦がどういう言葉を交わしたのか、
読者は普通に想像できるので敢えて書く必要はなかったと思う。蛇足。

本作は個人的には著者の平野氏が宇宙飛行士と近未来という
架空の身体と時代を借りて描いた自伝のようにも思えるんだけどどうかな。

それにしても、本書付属のしおりに書いてあった〝火星がテーマの映画一覧〟は
面白かったので下に列記しておきます。

Flash Gordon 1936
Rocketship X-M 1950
Invaders from Mars 1953
War of The Worlds 1953
Conquest of Space 1955
The Heavens Call 1959
Robinson Clusoe on Mars 1964
On The Comet 1970
MAC and Me 1988
Total Recall 1990
Mars Attacks! 1996
Mission to Mars 2000
Red Planet 2000
Space Crawler 2015
The Dream of Chameleon 2017
Empire of One billion years 2020
The message Delivered Wrongly 2020
Blue and Red 2021
Lost in Heaven 2022
Rewritten Dictionaly 2024
Lovers of a vacuum 2025
Mars Explosion 2025
Planet of Love 2034
A Feast of Mars 2036
MISSION 3 2028
War of The WorldsⅡ 2028
Odyssey 2033

ていうか冒頭で主人公が使っていたモニターがもう現実に開発段階というのに驚き。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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