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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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げに、人間ってのは怖いもんだ。



隆の住む麹町の住人は、非常時に臍の「結節器」で他人と繋って巨大生物と化し、
外敵から町を守る。その行為に、隆は快感を覚えるようになり…。
エロスとバイオレンスに満ちたパラレルワールドへ誘う、全9篇の短篇集。

★収録作品★

 むかでろりん
 鬼を撃つ
 MEET IS MURDER
 ピノコな愛
 八つ裂けな妻
 肝だめ死
 もうどうにもとまらない
 子供は窓から投げ捨てよ
 トワイライト・ゾーンビ

***

遠藤氏の著作を読むのはデビュー作〝姉飼〟以来。
以前たまたま雑誌で読んだ〝肝だめ死〟があまりに面白かったため、
同作が収録されている本著を手に取った次第なのですが。。。

何じゃこりゃ?
と読みながら自分の首が傾いていくのを感じた。
シュール。もうほんとあまりにもシュール。
いや別にシュールでもいいんです、大好きですよ絵画でもマンガでもシュールな芸術は基本的に。
ただあくまで、そのシュールさの中に何かしらの面白みorテーマが読み取れるならっていうのが
前提だけど。本作収録の短編にはほとんどそれがない。シュールというか荒唐無稽。
読み終えたあと「え? 何だったの? 作者は何が言いたかったの?」と首90°ぐらい傾いた。
何だか著者が見た夢をそのまま書き連ねた〝夢日記〟でも読まされているような感じがした。
正直、奇を衒えばいいってものじゃないと思う。

まあ全部が全部そうというわけじゃないんですが。
上に書いたとおり、〝肝だめ死〟は物語としても面白くてテーマにも深みがあるので
読んでいてうならされたし。
ただやっぱり〝お話〟として一話一話を見ていくとどうにも不完全感が拭えない。
〝MEET IS MURDER〟や〝トワイライト・ゾーンビ〟のオチはありがちすぎて正直冷めたし、
〝八つ裂けな妻〟のラストは〝犬夜叉(高橋留美子著)〟に出てきたある敵キャラを
彷彿とさせるし(パクリ? とすら思った)、
〝もうどうにもとまらない〟は舞城王太郎氏の著作とイメージがかぶりまくっていて
いっそ彼に書いてほしいぐらいだったし)。

むしろ本作はそれぞれの話に挿入されている小ネタのほうが面白いんだよな。
〝MEET IS MURDER〟の芥川賞ネタには爆笑したし、
〝ピノコな愛〟の〝カラフルふるふるキャンディー〟は描写が魅力的すぎて
かなり食べてみたいし(笑)。

ただ、言語学を研究している遠藤氏の割りには今回文章を形作る言葉選びに新鮮味がなく、
特に若者の描写が圧倒的にヘタで(十代の女の子が登場する話では
彼女の口調があまりにオバンくさいので途中まで十代と気づかなかった)
どうしたの? と心配になってしまった。
言葉遊びが空回りしているというかくどくて上滑りしているというか。。。
デビュー作の作文センスが絶妙だっただけに肩透かしを食らった気分。
むしろ無理に言葉遊びをするより先に、最終話の男の子が〝タケウチタケユキ〟って
無茶苦茶ゴロ悪いネーミングなのをどうにかしてやってくれよ、と心の中で突っ込む始末。

全体的になんだかなあ。。。という印象の作品でした(〝肝だめ死〟を除く)。

遠藤氏と平山夢明氏は作風が少し似てますが、レベル的には平山氏のほうが高い気が
自分的にはする。

次回作に期待します。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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