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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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大学生活に馴染めず中退した19歳の白秋。
彼にとって唯一の居場所はバイト先のコンビニだった。
そこに研修でやってきた女子高校生の黒葉深咲。
強盗、繰り返しレジに並ぶ客、売り場から消えた少女……。
店内でひとたび事件が起これば、
深咲は「せんぱい、このコンビニにまた新しいお客さん(ミステリー)が
お越しになりましたねっ!」と目を輝かせて、どんどん首を突っ込んでいく。
彼女の暴走に翻弄されながら、謎を解く教育係の白秋。
二人の究明は店の誰もが口を閉ざす過去の盗難事件へ。
元店員が残した一枚のプリントが導く衝撃の真実とは?

***

メフィスト賞を受賞してデビューした作家さん、
所謂「メフィスト作家」が大好きな私ですが、
ここ数年受賞作をチェックしていなかったなと思い、去年の受賞作である
本作を読んでみました。

全7章から成る本作、第1章を読んだときは、
「何だこれ。。。事件も、それに対する登場人物(コンビニのクルー)の
リアクションも、真相もショボ過ぎだろ」
と思った。
ああ少し前からよくあるラノベっぽいキャラに文体の日常系ミステリね、と。

でもメフィスト賞受賞作がそんな平凡なものであるはずがないと信じて
読み進めていくうちに、ちょっとしたどんでん返しが待ち構えていて
ああなるほどとそれなりに楽しく読了することが出来た。

ただ。。。連作ミステリとしては一つひとつの章の謎とその真相が
やっぱりショボ過ぎるんだよな。。。
オチありきで話を作っているので、一章一章の不自然さが際立つというか。
これは作者が受賞時24歳という若さだったから許容されたことで、
ベテランがやったら酷評されるストーリー運びだと思う。

あと、ヒロインがどうしても好きになれなかった。
主人公の袖を摘んで上目遣い、頬を膨らませる、出会って間もないのに
べったりくっつく、接客の最中なのに主人公の手を握る。。。
明らかに自分の容姿に自信がある女しかやらない過剰なスキンシップや
言動の数々に、あざといなこいつと不快感を覚えることがしばしば。
中でもフィクションだということを忘れて殺意さえ覚えたのが、
何か知らないけどこのヒロインやたらくるくる回るんですよね。
おまえは独楽かってぐらい。
しかも謎が解けたときとかに回る、とか決めポーズ的なものならまだしも、
意味もなくくるくるくるくる。。。
作者、それが可愛いとでも思ってるんでしょうか。だとしてもしつこい。
たぶん本作中で二十回近くは回ってるんじゃないかと思う。

そして季節の設定からしてラストシーンは読めたので、
予想通りのシーンが来たときは性格悪いですが鼻で笑ってしまった。
ただ予想通りだというだけじゃなく、平成初期の恋愛ドラマでも観ているようで。
挙げ句ラスト一行に何か既視感があると思ったら、
吉田修一さんの「さよなら渓谷」とそっくり。まあ劣化版ですが。
まさかパクったわけじゃないよな。。。と失礼ながら疑ってしまった。

ただ、私が作者と同い年のときはここまでのものは確実に書けなかったので
(今も書けるかわからないけど)、先が楽しみな作家さんではあります。
日常系ミステリはあまり好きじゃないし、こういうラノベ的作風でいくつもりなら
新作が出ても読まないけど。

行きつけのコンビニに最近ものすごく感じのいい店員さんが入って、
その人のレジに当たると嬉しいし癒されるので、
確かにコンビニは色んな意味で大事な場所だなというのは主人公に共感します。
あと私も今の自分の仕事にやりがいを感じていて大事な居場所になっているので、
その点でも共感。
居心地のいい居場所があるっていうのは大事なことですね。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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