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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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Give and Takeでいこうじゃないか。



産婦人科医・笹川賢一にとってルチアーノとの出会いが破滅の始まりだった。
この執拗なおカマの尾行者のために、笹川氏の世界はハチャメチャな逆転をとげる。
優雅な「上流社会」からの脱落、家庭崩壊、そしてエイズ。
その中で笹川氏が得た真理と救済とは?
エイズを通じて人間の生の深淵をえぐる問題作。 

***

UFOならぬUSO。
〝介護入門〟で芥川賞を受賞したモブ・ノリオ氏が以前インタビューで
「友人から借りて読んだらあまりに面白く自分で買いなおした」と言っていたこと&
タイトルのインパクトに惹かれ手に取った一品。

島田氏ならではの独特かつ絶妙な文章表現、
ルチアーノをはじめとする登場人物たちの今にもこちら側の世界に飛び出してきそうな
人間くささと個性、
SF混じりの純文学といった内容が終盤でサスペンス・ミステリに〝突然変異〟する
その世界観の多様性、
面白かった。魅せられました。

ただ、どっかのカルト教団の教祖(もしくは自己啓発本)あたりが主張してそうな薄っぺらな理屈が
ところどころに見受けられて、いくら少し昔の作品とはいえそれはあまりに陳腐なのでは、と
首をひねることも数回。
プロ作家の割にものの捉え方が平凡というか既に手垢がついている感じというか(島田作品は
これが初読なので、あくまでこの物語に限った感想ですが)。
島田氏が本作で三島由紀夫賞を逃したのはそこらへんが関係あるんじゃ、と
つい考えてしまった。

全体的には良作です。
蛇足ですが、本作がツボな人は、絶対にこれ↓も好きだと思う。



逆もまた然り。片方が気に入ったら是非もう片方も読んでみてください。

蛇足2:ここで紹介しているのは文庫版ですが、単行本のほうが
表紙は圧倒的にかっこいいです。
なので中古で買う人はそっちがおすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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