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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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あなたのためならなんでもする。



普通の町に生きる、ありふれた人々がふと魔が差す瞬間、
転がり落ちる奈落を見事にとらえる5篇。
現代の地方の姿を鋭く衝く短篇集。

★収録作品★

 仁志野町の泥棒
 石蕗南地区の放火
 美弥谷団地の逃亡者
 芹葉大学の夢と殺人
 君本家の誘拐

***

著書は全作持っているほどの辻村ファンの私。
今回の直木賞受賞は嬉しい限り。おめでとう、深月さん。

。。。でも正直、本作で獲ってはほしくなかったなあ。
元々ミステリ作家なのに〝芹葉大学の夢と殺人〟以外は
まったくもってミステリじゃないし、
全体としてのインパクトも弱い。
〝直木賞受賞作〟という看板に惹かれて本作を手にとったひとに、
辻村深月がこの程度だとは思われたくない。
彼女の実力はこんなもんじゃないから。

彼女の作品は読むたびにこちらの心を不安定にする。
それは、出てくる人物たちが皆身近にいそうなほどリアルな欠点を抱えているから
それが自分自身や自分の周囲の人間と重なって見えてしまうからだと思う。
本作は特にそれが顕著で、一編一編を読むたびに
「ああいるわ、こういうひと。。。」とおぞましさにも似たものを感じて
気持ちが悪くなってしまった。
エピソードもいちいち具体性があって、過去の古傷抉られるような感じがして
眼を背けたくなってしまった。
まあもちろんそこまでのものを読者に感じさせる手腕はすごいのですが。

ただ、単にリアルでさえあればそれでいいというわけじゃなく、
やっぱり物語である以上もうちょっとのインパクトはほしかった。
ものすごく丁寧に人間心理を書き込んではいるけど、何だか地味なんだよな。
彼女のよさはやっぱり短編じゃなく長編にこそ顕れると思う。

というわけで彼女の神髄を知りたいひとは
手始めにデビュー作〝冷たい校舎の時は止まる〟、
子どもたちは夜と遊ぶ〟(オチは読みやすいけど私はこれが一番好き)なんかを
是非とも読んでみてください。

それにしてもAmazonとか見ると
直木賞受賞作の割にはあまり注目されてないな、本作。。。
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鍵のない夢を見る/辻村深月 
ネットでなく街の書店で買うようなファンが多いのかも知れませんよ♪
私も歩いて行ける範囲に書店がないのでアマゾン利用することありますが、
街の書店にたまに行くと、発見があってコーフンします。思わず何冊も手に取っちゃったりして。
ayumi 2012/08/06(Mon)20:57:25 EDIT
鍵のない夢を見る/辻村深月 
あーなるほどー!
そうですね、ネットがすべてじゃないですもんね。

わたしもこないだ久しぶりに書店へ行って、
面白そうな本何冊か見つけてひとりで喜んでました。ネットと違って、お店だと「へえ、こういう本もあるんだ」って発見があっていいですよね!

ちなみに七尾さんの新作があったので
面陳されていた東野○吾さんの「ナミヤ~」の上に置いてきました。販売促進(営業妨害?)活動@笑
kovo 2012/08/07(Tue)01:16:09 EDIT
鍵のない夢を見る/辻村深月 
なぜ東野K5さんの上なんでしょうか(笑)
ayumi 2012/08/07(Tue)09:08:31 EDIT
鍵のない夢を見る/辻村深月 
一番目立つところにあったのと、
超売れっ子作家の恩恵に七尾さんが
預かれればと思ったためでございます笑
kovo 2012/08/07(Tue)12:24:11 EDIT
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kovo
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女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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