忍者ブログ
読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
[60]  [61]  [62]  [63]  [64]  [65]  [66]  [67]  [68]  [69]  [70
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

大切なものを守るために。



Nと出会う時、悲劇は起こる――。
大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、
同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。
それぞれにトラウマと屈折があり、夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。
すべては「N」のために――。
タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。そして、その真実をモノローグ形式で抒情的に
解き明かす、著者渾身の連作長編。
『告白』『少女』『贖罪』に続く、新たなるステージ。

***

構成ガチャガチャ。
文章ダラダラ。
これがあの〝告白〟を書いた人?と本気で訝ってしまった。

登場人物に個性はないし(作中に出てくる老人なんて「~だからのう」とか喋る。ステロタイプすぎ。
「土下座しなさいオーホホホ」女もひと昔前の漫画ぐらいでしか見たことないし)、
二つも出てくる作中作が泣きたいぐらいつまらないし、
ラスト一行には(悪い意味で)寒気がしたし、
事件の真相は「はぁ?」だし、
あーこうやって書くともうほんっといいとこなしだよこの小説。

びっくりするぐらいおすすめしません。
中古か図書館で十分。
PR
一人ぼっちにならないで。
アタシはあなたを愛してる。




怠惰な生活を送るティーのもとに、三年前に別れた恋人、極上の美女アールからかかってきた
一本の電話。
「アタシの酷い噂話や嘘をたくさん聞くことになると思う。
ティーにだけは知っておいて欲しいと思って。アタシは変わっていない」
街に出たティーが友人たちから聞くアールの姿は、まるで別人のように痛々しく、
荒んだものだった―。彼女が自らを貶め、危険を恐れずに求めたものとは…。

***

登場人物一人ひとりを掘り下げて描写していくことで物語を進めていく、その手法は
まさに辻村深月さんの作風で、チヨダ・コーキ(〝スロウハイツの神様〟参照)の書いたものとは
思えなかった。

でもヒロインのアールは同性の眼から見てもかなり魅力的だし、
ラストでやられる小説に出会ったのも久しぶり。
思わず「えっ!?」と言ってしまった。で、その直後鳥肌。

消化不良のエピソードもいくつかあるけど最後の一行にやられたのでよし。

ちなみに最後まで読み終えたあと、更に1Pめくるとちょっと「おっ」と思えます。
(&カバーを裏返すと更に)

かなりおすすめ。

きっと誰がいなくなっても。



「あなたはこれよ。断らないでね」
奇妙な迫力を持つ大学学生部の女性職員から半ば強要され、仕方なく指定されたアルバイト先に
足を運んだ大学生たち。そのアルバイトは、彼らに何をもたらすのか?
五人の若者を通して描かれるのは、さまざまな感情を揺り動かす人間ドラマと小さな奇蹟の物語。
小説の楽しみを存分に詰め込んだ愛すべき傑作、鮮やかに登場。

★収録作品★

 ヒカレル 
 モドル 
 アタエル 
 タベル 
 メグル

***

個人的には〝タベル〟が一番よかった。佐藤さん切ない。そして小泉、是非友達になりたい。
乾ルカさんの本領発揮という感じ。
〝アタエル〟〝メグル〟は早い段階で真相が読めてしまったのでサプライズが少なく残念。
〝モドル〟は読み終えて初めてタイトルの意味、そして秀逸さに気づける仕様。
全編に登場するホスト役(〝世にも奇妙な物語〟で言うならタモリポジション)のユウキさんは
第一話で過去が明かされてしまうのでせっかくのミステリアスっぷりが減少してしまっているのが
これも少し残念。

ていうかユウキさん、頼むから私にもバイト先紹介してください。。。

そしてなぜ乾ルカさんの書く食べ物描写は死ぬほど美味そうなんだろう。。。
一度グルメミステリ書いてみてほしい(そして拓未司氏と勝負してほしい)。

文章や構成がしっかりしていて安心して読める一作です。
今の季節には特におすすめ。
殺されるのを待っていた。



ネットカフェ在住の元警視庁警視・根深陽義、就職浪人・窓居証子、人気小説家・窓居京樹が
京都で発生した殺人事件の謎に挑む。
「戯言シリーズ」「化物語」で人気沸騰中の西尾維新が放つ、怪心の新・スイリ(推理)小説。

***

この程度のトリックのためだけにこんなにページを割く必要はないだろ。
西尾維新作品らしからぬ登場人物たちのキャラの薄さは一体?
というのが主な感想。
この人の作品はラノベとして読むと面白いけど、こうして普通のミステリ小説として読むと
若干稚拙な感が否めない(〝戯言シリーズ〟みたいな言葉遊びを封印すると文章下手だし)。

次は言葉遊びもりだくさんの作品を期待します。
もし、間に合えば。



出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹……。
妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。
謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ドミトリイ」、
小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。
透きとおった悪夢のようにあざやかな三篇の小説。

***

登場人物たちが軒並みポエム口調で会話しているのを抜きにすれば、
さすが芥川賞受賞作家! と素直に認められるクオリティの小説だった。
特に表題作〝妊娠カレンダー〟のオチには背徳的な感動に頭がグラグラした。
〝ドミトリイ〟はちょっと蜜蜂蜜蜂うるさいけどしんみりする切ない物語。
〝夕暮れの給食室と雨のプール〟はいまいち消化し切れてない気がするけど
何かを思い返すときに湧くような温かみを読んでいる間中感じられる話。

おすすめです。
それでも、祈ることはできる。



名門中学に通う栞は、友人とともに狂言誘拐を企て、秋津新聞社に身代金を要求した。
新聞社とは無関係な一般市民の命を救うために、身代金は払われるのか?
矢継ぎ早に送られてくる脅迫メールの内容はエスカレートし、やがて、
見るに耐えない写真が添付され……。
取材と報道という武器を奪われ、警察に通報できない状況で新聞社が下した決断とは?
著者渾身の犯罪小説。

***

タイトルは格好いいけどちょっとこじつけ入ってるよなあ。。。
テーマはいいけどその割りに出てくるキャラに悲愴感が足りないなあ。。。

まあ一応最後まで面白くは読めたけど(ラストシーンも斬新だった。ちょっと「うおっ」と思った)。

新聞社での登場人物同士のやり取りや推理は突っ込みポイント満載だったけど
石持作品をたくさん読んでるうちにいい加減慣れてきたかも←よくない兆候

ここ最近の石持氏の著作の中では一番よかったんじゃないかと思う。
いざ、蝦蟇倉!



のどかな風情とうらはらに、次々事件が!? 
架空の街・蝦蟇倉を舞台に、伊坂幸太郎、大山誠一郎ら1970年代生まれの作家陣が、
驚愕に満ちた極上の物語をつむぐ。珠玉の競作アンソロジー。

★収録作品★

 弓投げの崖を見てはいけない/道尾秀介
 浜田青年ホントスカ/伊坂幸太郎
 不可能犯罪係自身の事件/大山誠一郎
 大黒天/福田栄一
 Gカップ・フェイント/伯方雪日

***

ガマクラです。
架空の街です。

大勢の作家さんがそれぞれの世界をリンクさせながら一話完結の物語を書いていくという手法が
最近増えてきていて嬉しい(まあ、それだけ出版業界も厳しくなってきてるってことだろうけど)。

突出して面白い短編はなかったけれど、全体のバランスがよく読んでいて楽しかった。
もうちょっと街のあちこちを主人公たちに駆け巡ってほしかったなとは思うけど(せっかく
蝦蟇倉市の地図が冒頭に掲げられているぐらいなんだから)。

まあ、続編も出るみたいだし今後に期待というところ。
今晩は。
さようなら。




電話こそ知恵の根源であり、電話コードこそ人間の連帯の具現である――。
「電話」を通し、現在の閉塞感を打破し、絶対的なコミニュケーションを実現しようと企てる
“電話男”たち。
到来したインターネット時代を早々と予見し、その果てにある光と暗黒を
斬新な文体と秀れた想像力で描き出した不朽の名作。

***

眼に見えない存在だからこそ
より純化・神格化されて崇められる。頼られる。縋られる。
そう考えると確かに、神と電話というこれら二つのものは非常に似通っているのかもしれない。
25年前にこんなものを書くことが出来た著者はすごい。
それは言い換えれば〝これだけの時間が経ってすら世の中はそんなに変わっていない〟
という虚しい結論に行き着くのだけれど。

個人的には電話男に電話してくる自称女優の言葉が胸にこたえた。

おすすめ。

そんな展開はつまんねーよな?



既にサークルの域は出た。活動内容もそうだが、集う人間の危険度が、だ。
ヤバイ奴らが巻き起こす熱血青春ドタバタ劇。理系男子って皆こんなに危ないの?

★収録作品★

 部長・上野直也という男 
 副部長・大神宏明の悲劇 
 三倍にしろ! 前編 
 三倍にしろ! 後編 
 勝たんまでも負けん! 
 落ち着け。俺たちは今、

***

正直面白くなかった。
Amazonで何であんなに絶賛されてるのかわからなかった。

でも、最終話のあのページを眼にしたあとだとどの話も感慨深く思えてくるから不思議。
〝読んでる最中はどうってことないのに読み終えたあと振り返ってみるとじわじわくる〟、
これ著者狙ってるんだろうなー。

主人公の奥さんは要らなかった気がするけど。
せっかくの〝キケン〟の絆に余分な第三者が介入してきたみたいで
「おい男のロマンに水さすなよ」
と思ってしまった。
(ドラマ〝深夜特急〟で大沢たかおの前に突然松嶋菜々子が現れたときの興醒め感に
似ていた←知らない人ごめんなさい)

1~5話は若い層向け、
最終話だけは30過ぎの大人向けの物語。
余談ですが私も高校時代が非常に楽しく今でも頻繁に思い返すので
ラストには泣きそうになってしまった。

あー、それにしてもラーメン食いたくなってきた。
優しいし、身勝手だし、忘れるんだ、人間は。



あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。中学二年でいじめを苦に自殺したあいつ。
遺書には四人の同級生の名前が書かれていた――。
背負った重荷をどう受け止めて生きればよいのだろう?
悩み、迷い、傷つきながら手探りで進んだ二十年間の物語。

***

内容が凡庸かつ平坦で、重いテーマを扱っている割りにはあっさりと読了出来てしまう。
もうちょっとフジシュン(いじめられて自殺する子の名前)のキャラを掘り下げてくれれば
より共感して読めたかもな、といった感じ。
でもやっぱり全体的に薄っぺらい。新聞のいじめ記事の寄せ集め的な印象を受けた。
フジシュンの親父さんも何でそこまで?って感じだし。
仮に本作を、まさにいじめが行われている学校の子供たちに読ませても
その心を動かすのは難しいのではと思う。

駄作では決してないけど心にはあまり残らなかった。

ラストはちょっとよかったけどね。

070712_01.jpg













プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
Copyright © 【イタクカシカムイ -言霊- 】 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
忍者ブログ [PR]