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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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信じたかった。



携帯関連会社ディーウィとベビー用品メーカーのベイビーハンド。
業務提携によって結成された共同開発チームは、いきなりヒット商品を生み出した。しかし、
祝勝会の翌日、チームリーダーだった粕谷が、社内で不審死を遂げる。死因はニコチン中毒。
殺人なのか? 犯人は? 
疑心暗鬼のなか、共同開発チームに所属する水野勝は、同僚で、恋人でもある北見早智恵が
犯人である決定的証拠を掴んでしまう…。
保身と欺瞞と欲望と。つきつけられるエゴイズムとサスペンスが目をそらすことを許さない、
迫真の傑作。

***

石持氏の著作に毎回といっていいほど出てくる
〝やたら周囲に天才と持ち上げられるけど「そうかあ?」としか思えないキャラ〟が
出てこなかったので今回は読みやすかった。

推理の展開があさっての方向にいってしまっているのに
周りの誰も「それは違わないか?」と突っ込まずそのまま突き進んでしまったり
主人公勢が飲んでばかりという相変わらずの欠点はやはり見受けられましたが。

主人公が犯人を早智恵と断定するための証拠も弱いので
「本当に彼女が犯人か?」という疑念が土壇場まで捨てられないし、
途中からオチが読めてしまうのでラストを読んでも「へっやっぱりな」としか思えなかったり、
そういう瑕疵も見られましたが。。。

まあでも面白かったんじゃないかと思う。
秀作・傑作の域まではいかなくても、石持氏の本は情景描写がほとんどなくて
終始会話に費やされているのでさくさく読めるし。

まあおすすめ。
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暴力を乗せて走っている。



品番YDP2020商品名アレグリア。どうしてこんなに使えない機械を入れたんだ? 
1台のコピー機が社内の人間関係をあぶりだす。そして事態は思いもかけない方向に発展し…。
表題作に加え「地下鉄の叙事詩」も収録。

***

津村さんにしてはふるわないなー、というのが感想。
表題作も併録作も。
物語に光るものが感じられないということ以前に、
どちらの話も主人公が常にイライラしていてそれが読んでいるこっちにまで伝染するかのようで
読んでいて気持ちよくない。
これでラストにそれを覆すカタルシスでもあればよかったんだけど。

あまりおすすめしません。
アレグリアの無能っぷりがうちのプリンタとまったく同じでその点は共感できましたが。
長い年月憧れ続けた運命の中にいる。



幼な児の名はミハル。廃棄された冷蔵庫から生れた物言わぬ美貌の子。
ミハルが寺に引き取られてから集落はじわじわと変わってゆく。
そして猫の死。そして母の死。
アミダサマ!ミハルは無心で阿弥陀仏に何かを念じているようだった。
冥界へ旅立つ者たちをその手で引き止めるために。
痛切なその叫びは冷蔵庫の扉を開けた男にもしっかりと届いていた…。

***

物語の方向性が最後まで見えなかった。
ホラーならまったく怖くないし、
純文学なら内容が稚拙だし、
エンタメなら普通に面白くないし、
いったい本作はどこへ行きたかったんだろう。

ラストの陳腐さは逆の意味で驚愕のラストと言えた。

蛇足ですが大阪出身の母は爪を切ることを〝爪を摘む〟と
けったいな表現をするのですが、母と同い年の本作著者も同じ表現を使っていて笑った。
(自分と同世代の大阪出身者に訊いても「えーそんなん言わへんよ」と言われるので)

どちらかと言うと大人向けの小説(別にアダルトな意味じゃなく。それもあるけど)。
誰もがどこかで。



ひきこもりの青年の「悪魔祓い」を依頼された男と、
一瞬にして300億円を損失した株誤発注事故の原因を調査する男。
そして、斉天大聖・孫悟空――。
物語は、彼らがつくる。伊坂幸太郎最新長編小説。

***

くどい。
ワンパターン。
つまらない。
そろそろかつては敬愛の対象だったこの作者を、私は見限ってしまうかもしれない。

スタンスでいうなら、最近の伊坂氏の著作は〝ワンピース〟を描いてる尾田栄一郎氏に
似てるんだよな。
自分では面白いと思って描いてるんだろうけど読み手にとっては面白くない。著者一人で
盛り上がってる。
面白いものとそうじゃないものの取捨選択をせず描きたいものをどんどん詰め込んじゃうから
まとまりがなくて読んでいて疲れる。
有名なものの引用が多くなったのも、せっかくの氏の想像力が活かされていなくて
読んでいて悲しい。
(個人的に尾田氏より読んでいてイタかったのは、一般常識をさも特別な知識かのように
披露する点が多々あったところ。プラシーボぐらい誰だって知ってるよ)

〝アヒルと鴨のコインロッカー〟〝チルドレン〟〝死神の精度〟のころの輝きよもう一度。
時間が、行ってしまう。



「ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」
最後になった電話でそう言っていた千鶴。
彼女のことを繰り返し思い起こす奇妙な夜を描く「ハードボイルド」。

死を待つ姉の存在が、ひとりひとりの心情を色鮮やかに変えていく季節を行く「ハードラック」。

闇の中を過す人々の心が光り輝き始める時を描く、二つの癒しの物語。

***

吉本ばななさんは自分の文体を持っている人であり、だからこそ
その個性が彼女の作品を読むたびごとに自分の中で際立ってしまって
鼻についてくるのですが(要するにマンネリ気味になる)、
そういうところに眼をつぶればやはり好きな作家なのです。

内心はどうか知らないけれどばななさんが世界や人というものを基本的に肯定して
生きていて、やたらと前向きなのには自分との噛み合わなさを感じるけれど。
(彼女の描く「世界はいいぞー! 人間最高だー!」のオーラ溢れる世界観は
読んでいてイラついたり落ち込んだりすることもなきにしもあらずなので。。。)

一度彼女が書いた負の世界を見てみたい。
忘れるなんて、ありえるのか?



本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。なぜなら、離したとたんに
誰よりも遠くへと行ってしまうから――。
最初で最後の運命の恋、
片思いの残酷な結末、
薄れてゆく愛しい人の記憶。
愛する者を失い、孤独に沈む者たちが語る切なくも希望に満ちたストーリーたち。
真摯な対話を通して見出されてゆく真実の言葉の数々を描いた傑作中編集。

★収録作品★

 恋愛小説 
 永遠の円環
 花

***

恋愛モノを読むと蕁麻疹が出る私でもしみじみ読むことが出来た短編集。
特に〝永遠の円環〟を初めて読んだときは全身に鳥肌がたったものです。
〝花〟はそうでもないけど〝恋愛小説〟もとてもいい出来。
おすすめ。

一人と一人がする対話の中だけにもここまでのドラマがあるのだなあ、と
人間というものの深さ、複雑さについて感銘を受けた一作でもあります。
「愛あるかぎり戦いましょう。命、燃え尽きるまで」



首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。
京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、
惨劇はすでに始まっていた。
2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。
島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。

***

久々の再読。
やっぱりぶっ飛んでて面白かった。
大仰な比喩に台詞回し、いくらミステリでもあり得ない展開の連続。
薦める相手によっては怒られそうな本作ですが、私は好きです。
探偵がただの探偵で終わらないところ、
ワトソン役がただのワトソン役で終わらないところが実にいい。
推理もただの推理じゃないし(トビまくってる、というか)。

個人的にはおすすめ。
あとの責任は持ちませんので悪しからず。
だあーっ。



小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても
「変わってる」と言う。
父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。
父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、
ほかの家はそうではないらしいことを知った。父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、
過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとか
よく言っている。家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが…。
型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。

***

率直に言えば、つまらない。
534P分読むのに費やした時間を返してくれと言いたい。
そもそも冒頭から雲行きは怪しくて、「でもあの伊良部シリーズを書いた人だからなー。。。」と
面白くなっていくことを期待した自分が馬鹿だった。
あれはあれ、これはこれだった。

駄作、というのともちょっと違う、教科書を読んでいるようなつまらなさ。
同じ共闘をテーマにした話を読むなら、〝ぼくらの七日間戦争〟を読んだほうが遥かにいい。
あっちのほうがよほど共闘の面白さ、昂ぶりを表現できていたと思う。普通に面白いし。

著者が沖縄に魅せられたことだけは十分なほど伝わってきましたが、ただそれだけ。
おすすめしません。
読み終えて本投げて思わず叫んだよ。
「だあーっ」

(ちなみに関係ないけど読んでる間中、作中の父親は脳内でずっと
時任三郎で再現されていた。。。イメージ近いかなあ? どうだろ?)
やっぱ奥が深いわ、この人。



おれ―並木涼平、26歳。現在恋人なし、趣味麻雀。
歌舞伎町のペットショップ「ロン」のオーナー店長。
常連客は近所のキャバクラ嬢、地元ヤクザも顔を出す。
客の失踪騒ぎ、裏ギャンブル強盗、ペット詐欺、盗撮…
元精神科医で接客が苦手なバイト店員の湊さんと一緒におれは
繁華街のトラブルに次々と巻き込まれる。

★収録作品★

 残された猫
 二百万円とケーキ
 疑惑の動物病院
 キャバ嬢の盗撮DVD
 一万円の募金
 湊さんの過去

***

ミステリなのにスパっとしたオチがあまりない、
登場人物も個性があるようでそうでもない(ていうか麻雀してばかり)、
同じ水商売ミステリなら〝インディゴの夜〟シリーズを読んでいたほうがよほどいいけど、
これはこれでまあありかな、という感じ。

文体や世界観はちょっとだけ東山彰良氏に似ているのであっち系が好きな人も
読んでみてもいいかも(あっちのが遥かにハーボイルドだけど)。

続編出そうな終わり方だったなー。
電車の中とかでさらっと読むぶんにはおすすめです。
ていうか作者麻雀大好きでしょこれ。
私は、もう一人の私と会う。



私にそっくりな人がもう一人いる。
あたしにそっくりな人が、もうひとり。
札幌で育った女子大生・氏家鞠子。
東京で育った女子大生・小林双葉。
宿命の二人を祝福するのは、誰か。
追跡と逃走の遥かな旅が始まるサスペンス。

***

当時は革新的だったのかもしれないけど今やこの手の話はごまんとあるので
先が読めてしまって面白いは面白いけどどうしても新鮮味に欠ける。
心理描写もちょっと雑なところが多いし(ヒロインの片方、母親殺されといて立ち直り早すぎ)。
自分のクローンがいるということの恐怖はこれ以上ないくらい巧みに描き出してましたが。
そりゃあのおばさんも怖いよなあ。この世にそんなものが存在したら。
その点でいくと本作はホラーともとれると思う。

ラストはなぜかファンタジーRPGのラスト的なテイストで何か好きだった。

娯楽作品としてはおすすめ。
プロフィール
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kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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