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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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あのフィルムの最後の記憶(フレーム)。



1979年、NY――。
映画編集者デイヴィッドの作業スペースに紛れ込んでいた邪悪で完璧に美しい一本のフィルム。
あれは、本物の“スナッフ”!?
出演女優アンジェリカと、失踪したもう一人のアンジェリカの行方を追うデイヴィッドが覗いた
暗黒の淵とは?

***

新人とは思えないぐらい文章がうまい(前書きと共にややキザだけど)。
自分が主人公になったような倒錯した気分で読み終わることが出来た。

ただ、あらすじほど内容は面白くない。
某ホラーゲームと話の流れもオチもほぼ同じで(決してパクリじゃないのでしょうが)
新鮮味に欠けたし。

台詞の横にいちいち英語のルビを振るのも「あんた(著者)が英語出来るのはもうわかったから」
という感じでちょっと鼻についた。

まあおすすめ。
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このまま無事に終わるといいわね。



津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。
そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。
学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、
漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

***

やばい、今現在の恩田陸さん作品より面白かった。。。
ホラー+ミステリ+青春ストーリー、これら三つの要素がもう見事に融合していて
各キャラの立ち具合もそれぞれの心理描写も秀逸。
ちょっと無理のある点や消化不良な部分、若書きならではのラノベ風文体が
多少引っかかりはするものの、内容に惹き込まれて一気に読んでしまった。

それにしても、最終選考で酷評されて落選、その後出版されるもすぐに絶版という本作が
栗山千明さん主演でドラマ化までされるなんてねー。
世の中わからないものです。

個人的にはこの小説、辻村深月さんファンのひとに一押ししたい(空気感が似ているので)。

おすすめです。
――ウマレタランカナ。



大阪の下町を流れる川・古川。長屋の人々の生活と密接に結びついている古川だが、
そこではかつて、何人もの人々が命を落としていた。
ある台風の夜、幼い少女の幽霊が古川から現れて――。
「癒し系」ホラーの名作。

★収録作品★

 古川
 冥い沼

***

ホラーにしてもノスタルジック・ファンタジーにしても弱く、あまり楽しめなかった。
内容も怖いと言うより〝不快〟だし(そしてありがち)。
話を無理やり感動的にしようという作為が透けて見えるし。
著者が野球ファンだということだけは読んでいてよくわかりました。

同じ和風ホラーなら、恒川光太郎氏の〝夜市〟のほうが遥かにおすすめ。

期待してたぶんがっかりでした。
Nothing really matters.



17歳の鴇谷春生は、自らの名に「鴇」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている。
俺の人生に大逆転劇を起こす! ――ネットで武装し、暗い部屋を飛び出して、
国の特別天然記念物トキをめぐる革命計画のシナリオを手に、
春生は佐渡トキ保護センターを目指した。
日本という「国家」の抱える矛盾をあぶりだし、
研ぎ澄まされた知的企みと白熱する物語のスリルに充ちた画期的長篇。

***

本作はあくまで〝小説〟なのに物語の半分をトキに関する文献が埋めているのはどうかと思うし
かと思えば旅先で主人公が女の子と出会うって展開は打って変わってペラいけど(というか
本作自体に正直深みはあまりないけど)
全体的には面白く読めた。
主人公の性格が一貫してないところにも妙にリアリティを感じてよかった(一歩間違えば
〝キャラの性格が破綻してる〟という評価も受けかねないスレスレのラインなんだけどね。。。)。

いい大学や会社に入ろうとか幸せな結婚しようとか人生の目標を見つけようとか
そういう〝プラスの目標〟に辟易してるひとにおすすめかも。
〝負の目標〟でも人間は動ける、それがわかって楽になれるはず。

他人に大迷惑かけない範囲でならそれもありかなと思う今日このごろ。。。

許せない、と思った。



若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人魔“指蒐集家”vs“名探偵”刑事。
ふたりの壮絶なる頭脳戦の行き着く先は…。
リアルな警察小説にして衝撃の本格ミステリ。『ポンツーン』連載を加筆・修正し単行本化。

***

犯人誰かわかりやすすぎ。
でも警察の面々には個性があって楽しく読めた。
物語自体もシンプルだけど面白かったし(〝乱反射〟には負けるけど。。。)。

でも某巨大掲示板(つまりあれ)のIDって日付けが変わると変わるんじゃなかったっけ。。。?
(初めはトリップ付けてるのかと思ったけどよくよく読むとそうじゃないみたいだし)

ていうか主人公がいきなりホームレスになってるのに笑った(でもそのあたりの、
〝弱りきっているからこそ人のほんのちょっとした優しさが身に染みるし泣けてくる〟
っていうのは(そんなの当然のこととはいえ)よかったけど)。
ていうか(again)愛人、実家に帰るとか言ってないで主人公を助けてやれよ。

それにしても、何でこの物語にこのタイトル?
合ってない気がするんだけど。。。これじゃ二流純文学だよ。もったいない。
不思議なことと言えばもう一つ、
犯人の過去にあんなすごいことがあったならもっと早く誰かが気づいたんじゃないかと
思うんだけど(だって実名も出たはずだし)そこんとこはどうなんだろうか。

何はともあれおすすめです。
――助けて。



ボランティアで児童虐待の電話相談をしている秋生。彼女自身、かつて
育児ノイローゼになりかけていたところを保健婦に救われたという過去があった。
人はなぜ、幼い子供を虐待しなくてはならないのか――。
そんな疑問を抱く秋生のもとにかかってきた一本の電話。それをきっかけに、
彼女は恐ろしい出来事へと巻き込まれていく――。

***

面白く読みやすく一日ちょいで読破。
人として正しく生まれ変わったが故に逆に闇に取り込まれてしまうヒロインの描写もよかった。
「なぜ人間は虐待をしなければならないのか?」
この問いかけに対する答えもホラー小説ならではの斬新さを持っていてよし。
本作がデビュー作とは思えない、やっぱり今でも第一線で活躍している作家さんは違いますね。
(冒頭で多少視点の混乱はあったものの)

それにしても、本作に登場する〝天使〟から、
〝伝染るんです。〟の「すばしこい子供」を連想したのは私だけだろうか。。。?
(知らない人ごめんなさい)
想像したらちょっと吹き出しそうになったよ。

おすすめです。
あんたたちにそれがわかるかい?



ぼく片桐稔は、ある日、姉の家で何者かに頭を殴られ、一ヶ月間意識不明に陥る。
目覚めたぼくは、姉があの日殺されたと知らされ、そして、鼻から「匂い」を失ったかわりに、
とてつもない嗅覚を宿すことになった。
姉を殺したヤツは同じ手口で次々と人妻を手にかけていき、ぼくは――。
斬新な発想で独自の世界を築き続けてきた著者が、満を持して放つ、新たな衝撃作。
類書なき、嗅覚サスペンス。

***

ひと言で言えば主人公が行方不明になった友人を嗅覚を使って探し出す物語なのですが、
全然作中に登場しないまま忽然と姿を消した〝友人〟をいくら主人公が必死に探しても
読んでいるほうはどうにも感情移入することが出来ず。
犯人を推理するような話でもないので「どいつが犯人だ!?」とハラハラすることもないし。
主人公が恋人に抱く感情も、嗅覚がベースになっているせいか妙に変態っぽいし。
あとは(個人的なことですが)「キュッキュッと笑う」という表現が生理的に受け付けなかった。
(おばけのQちゃんだってそんな風に笑わねえよ)

でも550Pという長さを感じさせない、一気に読ませる物語ではあったと思う。
ラストは、中盤で主人公の眼に異変が置き始めたことも絡めてアンハッピーエンドで締めれば
より印象深い物語になった気がするけどなー。

ちなみにタイトルは〝嗅覚記〟とでも訳せばいいかな?

なかなか楽しめた一作でした。
もう一度よみがえらせる。



第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。
多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となる
スピンアウトストーリーを収録。

★収録作品★

 光る石 
 星良一の優雅な日常 
 思い出の銀幕 
 岡夫人は観察する 
 由良公は運が悪い 
 逃げる男 
 なごりの月

***

言葉では知っていても〝萌え〟という感覚がいまいち掴めなかった私が
初めて「これがそうか。。。!」と知ったのは本作に登場する行天の存在のお陰(?)。
こういう奇人大好きです。身近にいたらまず間違いなくホレる。
私もいい歳こいてもこういう挙動がデフォルトの人間になりたい。

本作は〝まほろ駅前多田便利軒〟の番外編なので、
そちらを読んでからのほうが圧倒的に面白いです。
ただ、最終話だけは圧倒的に切ないですが。。。

でも基本的には爆笑できるシーンの連続。
曾根田のばあちゃんの「したんだよ」と
行天のカラオケにはかなり笑わせてもらった。

第一作ともどもおすすめです。
お前も踊れ。

 

厳しいルールと鉄条網で世間から隔離された施設で暮らしていた少年は、
父危篤の情報を得て脱走、拮抗する悪の組織と対決することに――。
人間存在の根源を問う、著者渾身の壮大なるロードノベルファンタジー!

***

シリアスなロードノベルがいつの間にかハリーポッターも顔負けのファンタジーに。
一体何だったんだこの小説は。
かめはめ波みたいの中盤で出てきたりするし。
言いたいことはわかるけど全体的に内容がペラい。
少なくともいい大人の読むものじゃない。
あと主人公の飼ってるセキセイインコが賢すぎ。賢すぎてあれじゃ漫画。ギャグ。
ギャグといえば〝伝説のセキセイインコ〟とか〝闇を倒す四戦士〟とか出てきたりするし、
もう世界観が何がなにやら。

この作家さんには期待していただけに上下巻もの長編を読まされて
非常に落胆が大きかった。

おすすめしません。
少しは逸脱したらどうなんだ?



お祭り騒ぎは、もうお終い。
今回は愛をめぐる3つの物語だ。
暗澹(あんたん)たる日々に埋もれた無様な青年。
悪意から逃れられない少女を護り続ける少年。
密室情況の屋敷の中で繰り広げられる、贖罪を含んだ惨殺劇。
それは歪んでいて、壊れていて、間違っている。
でも確かに愛の物語なのだ。
俺は行動を開始した。
その目的は、水没した全てのものを引き戻すため。
そして、その果てに浮かび上がる真相。
そこにはもう、馬鹿げた世界は存在しない。

“記憶”と“密室”と“悪意”の三重奏(トリオ)。
主題(テーマ)は“純愛”。
戦慄の鏡家サーガ!

***

若干くどい文章がダルく、
中二病的文章に軽く引き(でも著者が執筆当時二十歳かそこらだからまあしょうがないか)、
このトリックはいくら何でもなかろうと思いつつも
結構楽しく読めてしまった鏡家シリーズ。

せめて広明くんが〝秋吉くん〟ならまだ、ねー。。。
(詳しくはネタバレになるので言及しませんが)

著者近影もキマってます。



おまけ:中村一義。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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