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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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あなたですか?



言えたはずの言葉が胸の中に積もっている。
聞けたはずの言葉をいつも虚空に探している。
人の想いは死んでなお、愛する人によびかける…。
18歳の時に両親を亡くし、家業の葬儀屋を継いだ森野。
30万人の心に沁みた『MOMENT』から7年。
ほんとうに大切なものは、いつも側にあると気づいた。
関わった「死者」たちと、遺された人々が奏でる不思議な愛の物語。

***



某雑誌で著者が「続編が出ます」宣言をしてからずっと待ち侘びていた本作、
前作↑収録の〝WISH〟で号泣したことは未だに記憶に鮮明です。

だから本作はなかったことにしたい。

前作主人公はキャラ変わってるし、
森野のことは頭の中でずっと南海キャンディーズのしずちゃんだと思って読んでいた私には
前作主人公との恋愛的絡みは正直つらかった。
そもそもこの二人には恋人じゃなく親友でいてほしかったので(前作ラストで嫌な予感は
していたものの「あーあ、やっぱりか」)と失望。
著者の本多氏はほんとに何でも恋愛に持っていくのが好きだよなあ。。。

森野の考え方は好きだし森野自体も好きなだけに、
尚更恋愛要素が彼女の魅力の邪魔をしていた気がしてならない。
本作は遺族や近所の人たちとのやり取りだけで十分いい物語になったと思うのに。
(現に前作がそうだった)
そしてあのラストシーン。寒すぎ。今どきあんな会話って。。。
あれに感動する二十代後半(つまり私と同世代)の人とは正直友達になれないと思う。

あとは単純に内容がつまらない。
〝MOMENT〟の感動はどこに?
というか〝死〟がテーマにも関わらずまったく涙腺に来ない小説というのも
ある意味珍しい気がする。

前作で感動した人にはおすすめしません(まあそうじゃない人にも)。
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夜の先に、また別の夜があるのだとすれば。

 

福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った
金髪の土木作業員に殺害された。二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか?
佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、
出会い系サイトへアクセスする。そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、
彼は殺人を犯していた。彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。
光代を駆り立てるものは何か? 
その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。
誰がいったい悪人なのか?
事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは?
毎日出版文化賞と大佛次郎賞受賞した著者の最高傑作、待望の文庫化。

***

文章うまい。
構成力抜群。
内容めちゃくちゃ面白い。
久しぶりに〝当たり〟の小説に出会えた気がした。

ベタなキャッチコピーをつけるとすれば、本作の場合
 〝誰が悪人だったのか〟。
貫井徳郎氏が書きそうな内容なので、氏の〝乱反射〟が面白く読めた人なんかは
こっちも確実におすすめ。

それにしても著者の吉田氏の女性心理の描写力はすごい。
男性作家でここまで巧みに描き出せる人もそういないと思う。
ある女性がウザい女として描写されてるシーンでは、
「ああ、ほんとにいるわこういう女」と妙に感心してしまった。
もちろん女性だけに限らず、とにかく人間の心理描写が非常にうまい作家さんなので、
大勢登場するどの人物にも感情移入することができて、
それぞれのキャラクターと一緒に笑い、怒り、怯え、泣き、と感情の休まる暇がなかった。

終わり方がほんのちょっとだけありきたりだったのが残念。
でもこの手の物語は大抵ラストで主人公が死んで(殺されて)終わる、というパターンが多いので
そこに落とさなかった著者は(偉そうだけど)でかした!と思う。

それにしても本作の主人公は、恋愛の〝恋〟じゃなく〝愛〟がとにかく欲しかったんだろうな。
どの女性に向ける激情も一途で激しいけれど決して恋ではなかった。

この物語が終わったあと、描かれていないその後の人生で、
彼がどちらも手に入れてくれることを願ってやまない。

加えていい物語と出会えたことに心から感謝したい。

Can you see me?
Can you hear me?
Can you see the truth?



ある虹の朝、ニューヨーク市警の失踪人課の男のもとへ、一人の少年が訪ねてきて言った。
「ペギーがいなくなったんだ」と。
彼の捜す少女は、一年ほど前から様子がおかしかったというのだが――。
一方、男の知り合いであるCGデザイナーの日本人の青年も、
ふとしたきっかけからある少女の行方を追い始める。
二人がそれぞれ動いた末に明らかになった真実とは――。
想いあう気持ちがみちびいた、哀しい現実に胸が締めつけられる、
小路幸也待望の書き下ろし長編。

***



の続編。
意味不明に連発される著者の口(?)癖〝~んだ。〟に恒例の文句を言う前に、
これちゃんと推敲した?と本気で訊きたくなった。
これ本気で書いてないでしょ?とも。

これはゲームでたとえるならあれだな、〝FFⅩ-2〟。
第一作目があるから読むけど単体で評価したら最悪、っていう。
そういや一作目の内容も〝FF-Ⅹ〟とかなりかぶってたしな。

幼児性虐待を取り扱った物語は最近多いけど、
本作のそれは生理的に受け付けなかった。
登場人物たちの思考回路や挙動がキモすぎて鳥肌が立った。
一作目を読んだ人は絶対読まないほうがいいです。
巡矢も大して活躍しないし、作中で固有名詞付きのレストランがばんばん出てきて
「著者経費でどんだけ豪遊してんだよ」
と読んでて何か腹立ってきたし。
腹も立つわ鳥肌も立つわ、考えたら最悪の小説だなこれ。

しかもブッシュが大統領の時代にこんだけのCG技術が何である?
こんな技術あと100年、最低でも50年は経たないと持てないだろ。
そして終盤、ダンに向かって彼の父親が「ダニエル」と本名で呼びかけるのは、
息子に最後のメッセージを残すという厳粛な状況である以上当然のことなのでは。
なのにダン、何でそこを訝る?

ミステリ部分も面白くないし、あーもう時間と体力と精神力返してくれ。
そしてこの著者の本を読むたび突っ込んでるけど、〝僕は~した。〟が普通のところを
〝僕は~したんだ。〟とかわざわざ書くの何かキモいからやめてくれ。

心の底からおすすめしません。
あーあ、デビュー作と〝東京バンドワゴン〟は結構よかったのになー。残念。
さあ、はじめようか。



初恋に秘められた謎(ミステリ)を追え! 
吹奏楽の“甲子園”――普門館を目指す弱小吹奏楽部で繰り広げられるチカとハルタの名推理。
『退出ゲーム』の続編にして青春ミステリの決定版。

★収録作品★

 スプリングラフィ 
 周波数は77.4MHz 
 アスモデウスの視線 
 初恋ソムリエ

***



の続編である本作。
タイトルと表紙デザインから敬遠する読者(特に男の人)もいるでしょうが、
別にラブコメとかじゃないです。
ひと言で言えば〝ブラバン(吹奏楽)コメディ〟。
〝のだめカンタービレ〟の二ノ宮知子さんあたりに是非漫画家してほしい(ギャボー)。

それにしてもやっぱりこの著者、シリアスよりポップのが断然うまい。
今後はベースをそっちにして新作ばんばん書いてってほしい。
まさに音楽と言っていいほどにリズミカルな文体もさることながら、その内容に今回も何度
爆笑させられたことか。まさに〝文字で読む漫画〟といった感じ←褒めてる
〝周波数は77.4MHz〟、何気にナナシ(774)で2ch入ってるし。

日常の謎系ミステリ小説の中では秀逸です。かなりおすすめ。
少しずつ才能ある奏者が増えていくブラスバンド部の今後も楽しみ。

ていうか主人公のチカ、羨ましすぎる。何でこんなに周囲に変人が集まるんだろ?

strin1.jpg








この感情は何だろうか?



刑務所内での密室殺人。
社会派でありながら超本格。
読み落としていい箇所はラスト一行までどこにもない。
あなたは絶対に鉄壁のトリックを見破れない。
そして必ず、二度読む。
第55回江戸川乱歩賞受賞作。

***

↑「見落としていい箇所はない」というのは、
内容がひねりまくってあるのでちょっと眼を離すとあっという間にわからなくなるよ、の意。

多すぎて誰が主人公なのかわからない登場人物、
さらにそのうちの何人もが入れ替わってたり偽名使ってたりで
もう脳内地図作成に必死。
何で娯楽のはずのミステリで自分は苦痛を感じてるんだろ?と
読み進めるうちにどんどん疑問が湧いてくる始末。

人物たちの会話も何か変だし(強いて例えるなら英語の教科書の直訳っぽい)、
〝ヤフオク〟とか直截には使わないほうがいい単語をばんばん使っちゃうセンスのなさ。
トリックも〝プリズン・トリック〟なんてタイトルにしてるぐらいだから
さぞかしすごいんだろうと期待してたら、何だそれ。そんなもんがトリックか。
じゃあ何かこのタイトルは単に〝プリズンブレイク〟をもじっただけか。
ラストで読者を驚かせようという魂胆が見え見えな割りにそれも途中で簡単に予想つくし。
物語のキーになる〝トマトファーム事件〟はつまらんし。

今回の乱歩賞はハズレだな、というのが率直な感想。

すすめません。

明日あなたが無事でありますように。



小説家を目指す赤井は、ある日河川敷で必死に助けを求める少女と出会う。
知らない男に追いかけられていると訴える少女。
だが、男は少女の父親だと言いはる。
助けようとする赤井だったが、居合わせた大人たちに少女を男に返せと言い含められ、
その場をやり過ごしてしまう。
そして後日、少女がその男性に殺害されたということを知り、罪の意識に苛まれて、
彼女の葬儀に参列。
そこで「虫とりのうた」という奇妙な唄に纏わる都市伝説を聞くことになる……。

***

文章がうまく内容も面白いので一気に読める。その点は評価する。
(主人公の思考が人の意見に合わせてコロッコロ変わるのでイラつく点はさておいて)

ただなあ。。。主人公のペンネーム(主人公は作家志望)が本作と同じ時点から
何か嫌な予感はしていて、主人公が図書館であることを調べるクライマックスあたりからは
案の定完全に著者のオ○ニー全開。
腰振りダンスは面白怖かったけど、結局自分をヒーローにするんかい!的な
失笑感は拭えなかった。

しかも、似たオチにしても同賞受賞作〝ウルチモ・トルッコ〟はまだ楽しかったけど
本作は不快。何で物語の本筋と関係ないところで不快にさせられなきゃならないんだよ。
ブラックなチェーンメールもらったときの数倍は不快だったよ。

そして赤星さん(著者)、映画の〝オーメン〟&太宰治の〝人間失格〟に
間違いなく影響受けてますよね?

全体的に低評価なものの、でもこの作家さんは欠点さえ直せば
かなり伸びるんじゃないかと思う。偉そうにも言わせてもらえば。

次回作を待ちます。

やたら早起きしてしまったので
一時間半川原の散歩。


水鳥の足跡(大小織り交ぜてあってむちゃくちゃかわいい)。
ashiato-dai.jpgashiato-syo.jpg
 

寝転がる青春(腹の上にはipod。傍から見たら不審者)。
kawara.jpg











人面石灰(誰かが固まりかけのときにやったものと思われる。
目玉部分は5円と10円)。
jinmen.jpg










川原の散歩はやめられん。
将来は川原のそばに住みたい。

お気軽に。



芸術棟に、フルートを吹く幽霊が出るらしい――吹奏楽部は来る送別演奏会のため
練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。
幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、
予想に反して幽霊は本当に現れた!
にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは? 
コミカル学園ミステリ。
第16回鮎川哲也賞佳作入選、期待の新鋭のデビュー作。

***

辛口のレビューになります。
あとがきにあったように、著者が本作を「いい出来」と本当に思っているのなら、
正直もうちょっと謙虚になることをすすめたい。もちろんそのひと言の中には
「習作として書いた割りには」という枕詞がつくのでしょうが、
本作は読み手にとっては少しも「いい出来」と思えるものではないからです。
タイトルセンスの秀逸さのみで佳作を持っていったんだろうと個人的には踏んでいる。

まず、謎がまったく面白くない。
「だから何?」級の謎を二つも提示されても読んでいてだるいだけ。
そして時々文章がくどい。
ファミレスでのウェイトレスのシーン、あそこまでウェイトレスを強調しなくても
よかったのでは(探偵役の伊神のキャラを読者に印象付けたかったのはわかるけど)。
〝ゲシュタルト〟〝ブロッケン〟等、マンガやラノベに出てくる知識をそのまま出してくる
センスもイタい(私が著者と同世代なため、著者がどこでその知識を仕入れてきたか
おおよその見当がついてしまい気恥ずかしいことこの上ない)。
探偵が終盤である人物を疑う根拠も、
中年男が目下の高校生にこんなに謙虚なわけがないから〟って
それを小説で言われてもこっちがわかるわけないだろっての。
ほかの小説じゃそんなキャラざらにいるよ。
現実だってあそこまで庇ってもらえばあんな風になる人もいるんじゃないの?
どうにも腑に落ちない。

あと、私は男勝りな女が好きな反面下品な女は嫌いなのですが、
世の中この二つを混同している輩が意外に多く、汚らしい(中身的な意味で)姉ちゃんが
「私ってぇ男っぽいからぁ~」とか言ってたりするのを眼にしてキレかけることしばしばですが、
自分を妊娠させた相手のことを「種馬」と称する本作の某女性キャラには
生理的嫌悪感さえ覚えてしまった。
やめろ作者。

犯人もトリックも悲しいほどあっけなくわかってしまうし。
内容もどちらかといえば〝理由あって冬は出づらい〟のほうが正しい気がするし。

でも全体的にほのぼのしい文章やあとがきから滲み出る人間性からいって
著者はきっといい人ではあるのだろうなと思う。

若い子はそれなりに楽しく読めるんじゃないかな。
でもはっきり言ってこれは大人の読み物じゃありません。
恋しくてしかたなかった。



誰もが振り向くような自慢の恋人をエリート医師に奪われてしまった省吾。
あることからこの医師が彼女を殺してしまうと「知った」彼は、全てをなげうって奔走する。
そんな省吾の「執着」に、周囲の人間はあきれ、次第に離れていってしまうのだが…。
やがて、事態は思いも寄らない方向へ転じていく。
痛々しいほど真っ直ぐな気持ちだからこそ、つかむことのできた「真実」とは。

***

この小説の失敗点は二つ。
一つ、起承転結のページ配分を間違えたこと。
二時間ドラマでも、犯人が捕まった時間が22時ごろだと
「こりゃほかに真犯人いるな」「あとから新事実出てくるな」と勘付いてしまうものだけど、
本作がまさにそれ。
お陰で緊迫感がない上にオチもある程度読めてしまった。

二つ、主人公が元恋人を想う気持ちの強さが一番のテーマであるはずなのに、
肝心のその〝気持ち〟がほとんど伝わってこないということ。
まだ慕い合っていたころのエピソードなんかを挟んだりしてくれればこっちも感情移入できたのに
まったくそれがない。しかも相手の女性に魅力がないので(むしろ嫌いな部類)
「何でそこまで(こんな女に)執着すんの?」としか思えない。

終盤は読んでいて恥ずかしくなるぐらいのクサい展開&台詞のオンパレードだし。

決してつまらなくはないんだけど。。。電車の中でさらっと読む、とかにはいいかも。

それにしてもタイトルと内容がいまいち合ってない気がするのは私だけ?

いまこそ人間らしさから脱出する時だ。



空から落とされた無数の黒い犬が戦争を終わらせ、人々を喰い殺す。
生きて戻った父は図書館を占拠し、凶行の限りを尽くす。
私は父と対峙することで自らの悲しみを獲ようとするが…。
表題作ほか、「血脈」「聖書の煙草」を収録。

***

大好きな田中氏の作品の中では唯一、いいと思えなかった作品。
文章もデビュー作に比べればだいぶこなれてきてはいるけれど、
心に訴えかけてくるものは初期の作品のほうがずっと上だった。
収録されている三つの短編のうち、どれも著者の言わんとすることがわからなかった。
敵兵の襲撃を犬に例えるのもイメージ湧きづらかったし、
三編共に登場する性描写が気持ち悪い(別にそこまで具体的に書かれているわけじゃ
ないのに、なぜか読んでいて気分が悪い)。

ていうか〝聖書の煙草〟。。。これたぶん半分は実話なんだろうなやっぱり。

この人の著作は(マザコンという意味ではなく)母親にこだわる主人公が多いけど、
やっぱり物語というのは書き手本人の実体験が滲み出てしまうものなのかな(どういう意味?
という人は著者の経歴参照)。
何はともあれ本編のお母さんが著者の母親をモデルに書かれたものだとしたなら、
自分はこういう母ちゃん好きです。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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