復讐は成った。
後は?
“私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。
その通りかもしれない”
…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?
錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、
日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。
***
ミステリ好きならこれを読まなきゃもぐりだろ、と言われているほどの作品なので、
なにぶん期待しすぎたのかも。
これが1981年に書かれたものであるにも関わらずまったく古めかしさを感じさせないところは
すごいと思うけど、読後それほどの驚きはなかった。
だいたい麻薬売買絡みのミステリというのがもともと入り込めない性質だし。。。
それにしてもあの犯人、どうしてあんなにナイフ捌きがすごいんだ?
それだけが説明してほしかったところ。
まあ、村上春樹の〝1Q84〟でもそれらしき説明は確かなかった気はするけど。。。
もちろん決して駄作じゃないです。
幕の引き方は華麗で好き。
聞いているよ。安心して。
ちゃんと、聞いているから。
北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、
病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、
人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?
高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
***
もう5・6回は読んでるんじゃないかという本作。
最近本を読みすぎてうんざりしつつあったので初心に返る?つもりでまた手にとってしまった。
さすがに内容を把握しきっているから緊迫感も何もあったもんじゃないけど
やっぱり面白い。
貴志氏の書く主人公の恋愛運のなさと必ず蜘蛛恐怖症の人物が出てくるところは
マンネリ調だけどでもやっぱり面白い。
こんなものが実際にこの世に存在したら恐ろしい反面飛びつく人も必ずいるんだろうな。。。
そう考えられてしまうことが何より怖い。
人間恐怖を感じずに生きている人なんていないものだから。
ラストは主人公のやっていることはホラーなのに泣けてくるから好きです。
おすすめ。
ダメ親父のバッタもの商売が原因で尼崎を追われ、茨城県は下妻に越してきたロリータ少女・
竜ヶ崎桃子は、絶滅寸前のヤンキー少女・白百合イチゴと出会い、ふたりは無二の親友となった
(ここまで前作。ただし、親友については桃子は認めていない)。
桃子は、大好きなブランドBABY,THE STARS SHINE BRIGHTでモデルをやるようになっていた
イチゴと、連れだって代官山へ行くようになっていたが、ある日いつものように高速バスに乗ると
殺人事件に巻き込まれ、足止めを食らってしまう。殺されたのは歌舞伎町のヤクザの幹部。
アリバイがないのと疑惑たっぷりの見た目で、イチゴに容疑がかけられる。
桃子探偵は真犯人捜しを始めるが…。
***
うーん、シリーズ一作目で感動した人は読まないほうが吉かも。
ラストはそれなりにいいですが、前作でのヒロイン二人をはじめ、
主要キャラの魅力が激減してしまっているので。
考えてみりゃラストもまんま矢沢あいの〝NANA〟だしな。
今回は殺人事件など出てきて所謂ミステリの風格をかもし出していますが、
ミステリとして読むことは正直おすすめしません。
あくまで青春コメディとして楽しむことを推奨します。
んーそれにしても本作、決して駄作ではないんだけど、私の中ではなかったことにしよっと。。。
〝ターミネーター3〟や〝チャイルド・プレイ4〟や〝SAW2〟のように。。。笑。。。
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を
捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――。
なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?
いったい彼女は何者なのか?
謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。
山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
***
正統派本格ミステリ。
最近の起伏の激しいややエキセントリックなミステリを読み慣れている身にとっては、
あまりに王道的展開を見せる本作に少しかったるさも感じたり。
いや、そういうのを差し引いてもちょっと冗長だった気がする。
説明文がやたら多いのも物語の性質上仕方のないこととはいえ気になった。
名作と称えられている本作にそんなことをいうのもなんですが。。。
(まあそれは個人の勝手だしね)
東野圭吾氏の〝白夜行〟とどこかテイストというか雰囲気が似ているので、
片方を面白いと思った人はもう片方を手にとってみるのも一興かも。
(まあ、私は白夜行ほど楽しく本作を読めませんでしたが。。。)
東京でタフに生き抜く「悲しみのエキスパート」神田憂の思考の奔流。
カイズさんとウツイくんも登場し…。これは現実か、エロティックな妄想か?
女×男×男の妄想ジョイライド全7篇を収録。
★収録作品★
デリラ
ミンク
デンマ
マンボ
ピアス
ゼイリ
ジビカ
***
手塚治虫作品みたく、同じキャラが立場を変え性格を変え
主人公の前に現れる構成は興味深く読めた。
ていうかこの主人公、鬱っていうかノイローゼ。
鬱の人間はここまで神経ビンビンに研ぎ澄まされてません。
ヒロインの負の妄想力にはただただ唖然とするばかり。
金原ひとみさん、あなたの頭の中は一体どうなってるんだろうか?
個人的見解としては、作中に登場するウツイ=著者の中の鬱屈、
カイズ=著者が自分自身に抱いている様々な感情の顕れ、
に思えたんだけど読んでいる間あんまり調子がよくなかったからいまいち自信がない。
まあいっか。あくまで個人的見解だし。
ただ〝憂鬱〟がテーマの本作で、著者の中の鬱屈の象徴であるウツイが
自分を神だと豪語してる以上一応理に適っている気はするけど。
それにしても金原さんは〝カタカナにするとかっこいい日本語〟を
拾ってくるのがうまいなと各話のタイトルを見て思った。
憂鬱に見捨てられたい。
アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎は
テレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのって
ベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、
大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。
大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。
超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。
日本推理作家協会賞受賞作。
***
読むのはこれで二度目ですがあまりの面白さに一気読み。
超能力とか普通に出てくるのにリアリティ溢れる圧倒的描写力でまったく違和感なく読める。
これ映画化されたら絶対(スタッフさえよければ)ヒットすると思うんだけどな。
誰かしてください。
ていうかやっぱらもさんの小説って、
酒
ヤク
下ネタ
が必ず出てくるんだよね。。。まあらもさんらしいんだけど。
中島らもを読んだことのない人には一番最初に薦めたい作品。
やっぱりこれが一番好きです。
1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。
主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で
亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、
彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。
乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。
彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を
盗み聞きするようになるのだが…。
呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない――。
青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。
***
純文テイストの強いミステリ。
その割りには主人公、あれだけのことをしておいて何で自殺しようとか思わないの?と
心理描写の描き込みの甘さをちょっと指摘したくなったけど。
特に葛藤するでもなく結婚して子供まで作ってってのもちょっとなあ。。。
タイトルもいまいち内容に合ってない感じ。
ありがちに蛇=死とたとえるならまだわからなくもないけど。
そしてサヨという少女、彼女のキャラをもっと活かせたんじゃないかと残念。
それは智子も一緒かな。
それにしてもこういう、自分に非があるのかないのかわからない罪で
苦しんで自分を責めている人っていうのは思った以上に世の中に存在するんだろうな。
しかし道尾氏、〝星の王子さま〟好きですね。
蛇足ですが本作を面白いと感じた人は似たテイストの〝チューイング・ボーン〟もおすすめ。
再会は地獄への扉だった。
十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が、今鮮やかに蘇る――。
***
ドラマ化もされた有名作。
初めて原作読んでみました。
文章は端正、ただ抑揚に欠けていて読んでいてややだるい。
あまりに丁寧に書き込まれていて教科書めいているというか。。。
文体やストーリー運びに緩急をつけてもうちょっと短くまとめたほうが尚良作になったのではと
読者として惜しく思う。
少年期にそれぞれ虐待を受けた三人の主人公のエピソードも、
「ああそんな目に遭った子ならその心情は当たり前だな」
「え? そんな目に遭った子がそんな思考展開するかな?」
の二つを行ったり来たりして統一性がない感じ。ヒロイン過去の割りに図太すぎるし。
(まあこれは、二つの大きな支えがあったからという見方もあるけど。。。)
ぽんぽん人が死んだりあり得ない(いかにもフィクション的な)展開があったりと
どうなのよこれ感は多少ありますが、
人は誰も生きるということに苦しみを同居させているのだなあとやり切れない気持ちになった。
〝彼らは皆トラウマを克服し幸せに暮らしましたとさ、おしまい〟
みたいなご都合主義的なハッピーエンドはないけれど、一読に値する物語。
読む人によっては救いにもなる物語かもしれません。
父さんは浮気のあげく帰ってこない。だから母さんは沈んでいる。
香緒里と友徳の姉弟はそんな家庭で成長してゆく…。
恋・成長・ときどきドキドキ。優しくて逞しい、ネオ青春・家族小説。『新潮』掲載を単行本化。
***
リアルです。
フィクション丸出しなのに超リアル。
改めて思う。舞城さんは不思議な作家だ。
会話のリアルさが世界観までリアルに見せてしまうのかな。
ビッチマグネット=どうしようもない異性ばかり惹き付ける人間。
私の周囲にも男女問わず結構いるので大いに楽しく読めてしまった。
モテる人間のほうがその率高いんだよな、不思議と。
って私的な話はどうでもいいか。
主人公の弟かっこいいです。
主人公の父親の愛人魅力的です。
肝心の主人公はテンションが上がったり下がったり何だかんだ悩んでも全部あっさり解決したり
何かとムカつく存在ですが、
カウンセリングでテストやらされて
設問の①~④どれにも自分が当てはまらないからって
自分で⑤を創っちゃうセンスは大いに好きです。
〝ディスコ探偵水曜日〟のインパクトがあまりにあんまりだったために(←ほめてる)
若干薄っぺらな印象ですが、こちらはこちらでちゃんとおすすめ。
素朴ながらもちゃんと舞城ワールド。
表紙も斬新だし何かとおすすめ。
子煩悩な母(パート主婦)、
わがままな姉(フリーター)、
堅実派の妹(信用金庫勤務)。
女3人が連れ立って、初めての海外へ(父は留守番)。
楽しいはずの道中は、天気も気分も荒れ模様――。
遺伝子は一緒なのに、どうしてこんなにバラバラなのか。やっぱり「世代」が違うせい?
21世紀の家族の心の叫びをリアルに描き切った傑作。
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本谷作品にしては今ひとつパンチが足りないような。。。(キャラの魅力も)
でもオチは好きです。思わずほくそ笑んでしまった。
家族だろうが友達だろうが、旅行というものはその場所が遠ければ遠いほど
皆の神経がピリピリし出してトラブルの連続ですが、
そこに人情味&ユーモアを加えて一つのストーリーにしてしまえる本谷さんは
やっぱりさすがだと思う。
空気読めない父ちゃんと不器用な母ちゃんがいい味出しててよかった。
おすすめ。
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